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第855話

작가: かおる
優芽利の眼差しが、一瞬で冷え切った。

その声には、これまでにない強さと圧が宿っていた。

「明日香、皆に広めて。

仁志は私の人。

私の許可なく、誰も彼に手を出してはならないって」

明日香は息をのんだ。

「優芽利......本気なの?」

彼女は、優芽利が仁志を単なる挑戦対象として、面白半分に扱っているだけだと思っていた。

確かに彼の容姿は整っていて、遊びの相手としても悪くはない。

こういう令嬢にとって、貧しい男とは恋をし、金持ちとは利益を語る――それはごく普通の姿だ。

だからこそ、明日香は慌てて言った。

「優芽利、お兄さんは賛成しないわよ」

優芽利の唇に、得体の知れない微笑が浮かんだ。

「いいえ、賛成するわ」

明日香は眉を寄せた。

「優芽利......たとえ仁志に多少の家柄があったとしても、司馬家のようなトップクラスの名家とは比べものにならないわ」

優芽利はゆっくり振り返り、唇に奇妙な笑みを刻んだ。

「誰が彼を普通の家柄だと言ったの?」

明日香の瞳が揺れた。

「もう、彼の身元が分かったの?」

「いいえ。

本当はじっくり調べるつもりだったのに....
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