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第114話

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昭彦は廊下を早足で進み、洗面所へ向かった。

まずは軽くドアをノックしたが、中から反応はない。

「朝霧君?」

もう一度呼んでみたが、やはり返事はなかった。

嫌な予感が胸をよぎる。

彼はそのままドアを押し開けた!

洗面所は空っぽで、静まり返っていた。

「どこへ行ったんだ?」

昭彦は眉をひそめ、すぐに携帯を取り出して静奈に電話をかけた。

しかし、受話器から聞こえてくるのは、無機質な呼び出し音だけだった。

病院へ向かう道中。

湊の車が三つ目の交差点を曲がった時だった。

助手席から、苦しげな、押し殺したような呻き声が漏れた。

彼が視界の端で捉えると、ハンドルを握る手に力がこもった。

薬効が完全に静奈の意識を支配していた。

彼女は目を固く閉じ、長い睫毛が不安げに震え、額には玉のような汗が滲んでいる。

両手は無意識に自分のブラウスの襟元を引きちぎろうとしていた。

ボタンが二つ弾け飛び、鎖骨のあたりの、蠱惑的で目に痛いほどの紅潮があらわになった。

その雪のような肌がさらに露出しようとした瞬間、湊は息を呑み、急いで片手を伸ばして彼女の手首を押さえた。

「朝霧さん!」
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