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第606話

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それは山頂で撮影された写真だった。

朝の光がうごめく雲海を突き抜けようとする中、華奢な背中が雄大な日の出に向かい、髪が山風に揺れている。美しくで静寂な一枚だった。

竹政の視線はその小さなアイコンの上に長く留まった。

口角が、誰にも気づかれないほど微かに上がった。

数日後、謙は潮崎市で山積みになっていた仕事をようやく片付け、午後の首都行きのチケットを予約した。

静奈は竹政に食事をご馳走する約束を思い出していた。

電話で謙の都合を聞き、いつなら時間が取れるか尋ねた。

謙は電話の向こうで温かく笑って言った。

「俺の飛行機は午後二時半だ。そっちに着く頃には、ちょうどいい時間になる。今夜にするのはどうだ?」

竹政の静奈に対する感情が単純なものではないことを、彼は知っていた。

それなら、早くこの借りを返してしまった方がいい。彼女がずっと気に病むのも避けられる。

静奈は少し考えて、承諾した。

「分かりました。じゃあ、竹腰局長が今夜ご都合がいいか聞いてみますね」

彼女はSNSアプリで竹政のアイコンを見つけた。

言葉を選び、メッセージを送信した。

【竹腰局長、お疲れ様です。
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