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第1112話

Author: 浮島
敬一郎がそのまま気を失うなど、二人にとってはまったく予想外のことだった。

優奈は慌てて駆け寄り、執事と一緒に敬一郎の体を支える。

「おじいちゃん、おじいちゃん!」

執事は歯を食いしばり、こめかみの血管を浮き立たせながら言った。

「気を失われました」

いまや松木家の要となる二人が同時に倒れ、屋敷の中はほとんど大混乱に陥った。

優奈は無理やり冷静さを取り戻し、執事に運転手を呼ぶよう指示する。

車を二台出させ、敬一郎と佑人を最寄りの私立病院へ運ばせた。

彼女は佑人を乗せた車に同乗し、佑人が書いた「遺書」と睡眠薬をそっとポケットに押し込む。

助手席に座る優奈の表情は強張り、呼吸は荒く、心臓は今にも張り裂けそうなほど激しく打っていた。

彼女は時間を計算していた。

さきほどからすでに十数分が経過している。

松木家から病院までは20分もかからない。

合計30分。

病院に運び込めさえすれば、佑人は助かるはずだ。

優奈は時間を頭の中で整理し、服で手のひらの細かな汗を拭う。

眉間の皺はますます深くなっていく。

――けれど、おじいちゃんは?

敬一郎はその衝撃で倒れてしまっ
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