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第69話

Author: 浮島
小春は鼻で笑いながら席を立ち、蒼空の前に歩み寄った。

視線を上から下までゆっくりと這わせ、からかうように言葉を吐き出す。

「へえ......まだ少しは骨があるじゃない」

蒼空は姿勢を崩さず、本を抱えたまま小春の言葉を無視して横を通り過ぎる。

小春の表情が険しくなり、腕をつかんだ。

「おい、話してるんだけど?」

「小春さん、そんな奴に構うことないっすよ。こいつ、関水蒼空っていって――」

言葉を遮るように、蒼空がすっと振り返った。

冷ややかな視線が、喋っていた男子に突き刺さる。

蒼空は黙ったまま、その男子をじっと見据えた。

無表情のまま、淡々とした瞳。

男子の顔色がみるみる強張り、やがて口を閉ざして目を逸らした。

小春がまた口を開こうとした瞬間、授業のチャイムが鳴り響き、教師が前のドアから入ってきた。

結局、小春は蒼空を一睨みすると、黙って自分の席に戻った。

蒼空は視線を戻し、教室全体を見回す。

そして、最後列の隅――

机がひとつだけ置かれた、誰も隣にいない席に目を止めた。

悪くない。

鞄を抱えたまま通路を進むと、周囲の生徒たちはそっと体を引き、自然と距離を取った。

蒼空は驚きもしなかった。

席に着き、俯いて黙々と本を整理する。

前方の教師はちらりと彼女を一瞥しただけで、すぐに興味を失ったように視線を戻し、騒ぎ立てる生徒たちを無視したまま、だらけた声で授業を始めた。

蒼空も授業など聞いていなかった。

視線は前方、小春の背中に注がれていた。

今はまだ誰も知らない。

瑛司自身すら気づいていないだろう。

この少女が、将来彼にとって最大の商敵になることを。

もし自分が生まれ変わっていなければ、彼女自身も気づけなかったはずだ。

小春が、後にどれほどの人物になるのかを。

明晰で鋭いビジネスセンス。

決断力と行動力。

わずか数年で、瑛司をも無視できない巨大テック企業を築き上げた天才。

蒼空は、前世での結末を思い出す。

熾烈な商戦の末、小春は瑛司の包囲網に屈し、会社を強制的に買収された。

それでも小春は未練を残さず、潔く瑛司のチームに加わり、右腕として莫大な利益を生み出し続けた。

その実力だけではなく、彼女の人柄もまた卓越していた。

前世、誰もが蒼空を貶め、侮辱し続けたあの時、小春だけが、彼女を遠くの小さな町へ逃が
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長野美智代
松木社長は瑠々に盲目的になるのか。 こんな腹黒女は罰を受けるべき。前世でも今世でも悪事をやりたい放題。松木社長は目を覚ませ!
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