第194話

まるで魂の抜けた抜け殻みたいに、私はベッドへと倒れ込んだ。もともと広くないこの客室は、慎一がいるせいで、空気さえも薄く感じられる。

言葉を発する気力もなく、ただ黙っていると、慎一は私が病気なのだと思ったのか、いきなり抱きしめようとしてきた。私は身をかわしきれず、かろうじて声を絞り出した。「触らないで、少し寝かせて……」

本当なら病院に行くのが一番いい。でも、病院に行けば慎一に妊娠がバレるかもしれない。

それだけは絶対に避けたい。

彼は不機嫌そうに言った。「結婚する前にお前のの知能テストでもやっとくべきだったな」

私は反論する余力もなく、ただやるせなさだけが残った。きっと彼は、私が地下室に閉じ込められたのも、全部私自身の不注意だと思っているんだろう。

私は力なく笑った。たとえ雲香がやったと告げても、彼は信じないか、もしくは気にも留めないだろう。それで私がもっと失望するだけだ。

私は寝返りを打ち、背中を向けて、もう会話を拒む意志をはっきり示した。

背後から彼の歯ぎしり混じりの声が聞こえる。「お前、その調子で離婚した後、一人でやっていけるのか？」

私はまるで魂と肉体が分離したような感覚だった。体は重く、でも頭だけは妙に冴えている。

真剣に考えた。今だって彼と離婚してなくても、自分で自分の面倒を見れていないし、彼も私のことを気にかけてはいない。

喉が痛むようなかすれ声で言った。「だったら霍田社長、慰謝料を多めにください。そしたら早く田中さんを呼んで世話してもらえる」

彼は皮肉気に笑い、拳をぎゅっと握った。「お前も田中も、まとめて出て行け！」

昨晩、彼が私に「荷物も全部まとめて持ってってくれ」と怒鳴ったのを思い出し、私はゾンビのようにベッドから体を起こし、バッグを探し始めた。

中身をベッドにぶちまけると、スマホと……処方薬が一緒に転がり出た。

慌てて包み隠そうとしたけど、慎一の鋭い目に気づかれてしまう。

「お前、病気なのか？その薬、何だ？」

心臓が跳ねたが、平然を装って薬をしまい直した。「私のじゃない、穎子のよ。この数日ずっと一緒だったから」

彼は眉をひそめて私を見たが、結局何も言わなかった。

私は穎子に電話しようとしたが、スマホを手に取って思い出した。昨日の夜、写真のピースをつなげるためにライトをつけていたせいで、電池が切れていたんだっ