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番外編・第11話。

Penulis: 愛月花音
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-19 17:49:58

 しかし、それから数日後。

 気持ち悪くなり咳き込むと手には赤い血が。レイヴァンは吐血してしまった。

「殿下!? 大変だ……早く医師に診てもらいましょう」

 クレソンは、それを見て大騒ぎする。自分自身も驚いてしまう。これは……一体?

 いや、それよりも知られては、不味いだろう。

「あ、待て。医師を呼ぶのはいいが、周りには言うな。心配をかけてしまう」

「し、しかし」

「絶対にだ。下手に騒がれても面倒だ」

「承知しました」

 クレソンはそう答えると、そのまま皇族専用の医師呼びに行った。

 しばらくして慌てて医師が来て、レイヴァンの症状を診てもらったが、驚く事を告げられる。

「これは、胃潰瘍ですな」

「い、胃潰瘍!?」

 何かの病気なのかと思ったが、まさかの胃潰瘍と言う診断結果にレイヴァン自身も驚いてしまう。

 確かに最近胃がムカムカして、痛かったが……だからって胃潰瘍って。

「嘔吐や吐血も胃潰瘍が原因だと思われます。潰瘍のできた場所の血管が破れたのだろうな。どうしますじゃ? 胃潰瘍なら私よりも神官様達に頼んだ方がいいでしょう。 特に聖女のレイナ様ならすぐに治してくれるはずじゃ」

(レイナにだと!?)

 その名を聞いただけでも嫌悪感を抱いてしまう。

 そもそもレイナには、そんな能力はない。息子のクリスに言われて気づいた事だったが、確かに彼女は治療をしたふりだけだった。

 一度足を骨折した騎士を治療していたのを見た事がある。大げさなぐらいに喜んではいたが、その足は引きずっていた。クリスの話だと『魅了』で治ったと錯覚させられて

いるのだろうと言っていた。つまり思い込ませるだけの治療法。

 それで聖女と言われているのだから聞いて呆れる。どうしたものか……。

『ヘタレで泣き虫だと昔から分かっていたが、まさか精神的どころか体も弱いとわな。まったく情けない奴だ』

 考えていると、クリスの声が聞こえてきた。胃潰瘍だと聞いて呆れて、思わず声をかけてきたのだろう。不味い……このままだと役目を外れてしまう。

 レイヴァンは動揺する。そうしたらクリスが意外な言葉をかけてきた。

『私ならその病を治せるぞ?』

「ほ、本当か!?」

「殿下? どうなさられました?」

「あっ……いや。なんでもない。そ、そうだな。レイナに頼むとしよう」

 レイヴァンは咄嗟に誤魔化した。さすがに息子の事は言えない。

 そ
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