殺人容疑をかけられた悪役令嬢

殺人容疑をかけられた悪役令嬢

last updateÚltima actualización : 2026-04-04
Por:  愛月花音Actualizado ahora
Idioma: Japanese
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セレスティンはアーノルド公爵家の令嬢でアルベール帝国の皇太子の婚約者だったが、聖女が現れたことで皇太子に蔑ろにされる。 悪役令嬢と呼ばれ、周りからも白い目で見られてしまう。 しかも肝心の聖女が何者か殺されてしまい、その殺人容疑の疑いが!? 婚約破棄だけではなく、酷い裏切りに絶望的に。 だが第二皇子・レンデルに助けれられ、身体を小さくなる。 レンデルの協力で犯人を捕まえるため奮闘する。しかし疑わしい犯人は数人。 数々のピンチを乗り越えていくうちに、真相にたどり着く。 そして意外な犯人は? 悪役令嬢のスカッと謎解き恋愛ファンタジー

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Capítulo 1

第1話・皇太子との婚約。

 「お前が聖女を殺したんだ!? セレスティン」

 外では雷鳴と激しい雨が降っている。その中で皇帝陛下の寝室では、現在の皇太子・ウィルモット・アルバーンが、大声で怒鳴り散らしていた。

 彼の腕の中にはナイフで刺されて血だらけになっている聖女・カトリーヌの遺体が。

  セレスティンは恐怖で震え上がる。

「ち、違います。私は、殺してなんていません」

「じゃあ、誰がカトリーヌを殺すと言うんだ!?」

 まさか聖女を殺した犯人にされるとは、あの時は想像もつかなかった。

 悪役令嬢として……崖っぷちに立たされるなんて。

 ここは、アルバーン帝国。緑が多く海が近い大陸。自然の豊かな国でもあり、魚介類や山の動物などの商売も盛んだ。騎士の育成などにも力を入れている。

 その中心人物である皇族。皇太子であるウィルモット第1皇子には婚約者がいた。

 そして婚約者の名は、セレスティン。アーノルド公爵家の長女だ。

 サラサラのストレートロングの金髪と碧眼がトレードマーク。純粋で、真面目。

 気弱で大人しい性格だが、皇妃になるために必死に努力する。

 皇妃になるための教育は過酷なものだった。朝から就寝時間まで出される課題の山。

 それに加えてマナーやダンスレッスン。泣き言を吐くことも許されず、ちょっとでもミスれば家庭教師とウィルモットの実母である皇后に散々嫌味を言われる始末。

「皇妃になるには、これぐらいは出来て当然です」

「これぐらいも出来ないのですか? それでは、皇太子の妻として相応しくありませんよ」

 しかし、そんな努力もウィルモットは、気に入らなかったようだ。

 勝手に決めた婚約者。控えめのせいか、見た目よりもパッしない態度や格好すら不愉快に映り、婚約者が優秀なのも自分と比較されるからと嫌がっていた。

 ウィルモットは、とにかく勉強や努力が嫌いだ。剣術も大した才能もなく、遊ぶ事に夢中。

 それでも皇后から言われたように、自分がいずれ妻になるのだから、そこも含めて支えればいいと思っていた。そうなるように教えられてきたからだ。

 だが、彼は違った。セレスティンが18歳。ウィルモットが19歳になった頃。

 他の貴族の令嬢達と親しくなることが増えていく。あくまでも親しい友人だと言い続けるが、彼の首筋にキスマークがあることは日曜茶飯。それとなく注意しても、

「うるさい。皇太子の俺が何をやろうが俺の勝手だ。お前に指図される筋合いはない。嫉妬深いぞ」

 結局は怒らせてしまうだけ。その度に皇后・ローザに叱られた。

「あの子が他の女性に行くのは、あなたが、ちゃんと支えてあげられていないからよ。婚約者として、もっと努力をしなさい」

「浮気ごときで騒ぐなんて情けない。ウィルモットは、皇太子なんだからモテるのは当然のこと。あなたは婚約者なんだから、堂々としていればいいのよ」

 我慢するどころか、それより努力を要求される。

 皇太子を支えることが、あなたのためになると言われると何も言えなくなってしまう。両親に言ったところで同じことを言われるのは目に見えて分かっている。

 自分さえ我慢すれば……何事も上手くいく。

(私が将来の皇妃としてウィルモット様を支えないと)

 今はそれが、自分のためになる事だと、信じる事しか出来なかった。

 しかし、そんな事も言っていられなくなった。あれから数日後。

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第1話・皇太子との婚約。
「お前が聖女を殺したんだ!? セレスティン」 外では雷鳴と激しい雨が降っている。その中で皇帝陛下の寝室では、現在の皇太子・ウィルモット・アルバーンが、大声で怒鳴り散らしていた。 彼の腕の中にはナイフで刺されて血だらけになっている聖女・カトリーヌの遺体が。 セレスティンは恐怖で震え上がる。「ち、違います。私は、殺してなんていません」「じゃあ、誰がカトリーヌを殺すと言うんだ!?」 まさか聖女を殺した犯人にされるとは、あの時は想像もつかなかった。 悪役令嬢として……崖っぷちに立たされるなんて。 ここは、アルバーン帝国。緑が多く海が近い大陸。自然の豊かな国でもあり、魚介類や山の動物などの商売も盛んだ。騎士の育成などにも力を入れている。 その中心人物である皇族。皇太子であるウィルモット第1皇子には婚約者がいた。 そして婚約者の名は、セレスティン。アーノルド公爵家の長女だ。 サラサラのストレートロングの金髪と碧眼がトレードマーク。純粋で、真面目。 気弱で大人しい性格だが、皇妃になるために必死に努力する。 皇妃になるための教育は過酷なものだった。朝から就寝時間まで出される課題の山。 それに加えてマナーやダンスレッスン。泣き言を吐くことも許されず、ちょっとでもミスれば家庭教師とウィルモットの実母である皇后に散々嫌味を言われる始末。「皇妃になるには、これぐらいは出来て当然です」「これぐらいも出来ないのですか? それでは、皇太子の妻として相応しくありませんよ」 しかし、そんな努力もウィルモットは、気に入らなかったようだ。 勝手に決めた婚約者。控えめのせいか、見た目よりもパッしない態度や格好すら不愉快に映り、婚約者が優秀なのも自分と比較されるからと嫌がっていた。 ウィルモットは、とにかく勉強や努力が嫌いだ。剣術も大した才能もなく、遊ぶ事に夢中。 それでも皇后から言われたように、自分がいずれ妻になるのだから、そこも含めて支えればいいと思っていた。そうなるように教えられてきたからだ。 だが、彼は違った。セレスティンが18歳。ウィルモットが19歳になった頃。 他の貴族の令嬢達と親しくなることが増えていく。あくまでも親しい友人だと言い続けるが、彼の首筋にキスマークがあることは日曜茶飯。それとなく注意しても、「うるさい。皇太子の俺が何をやろうが俺
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第2話
 大勢の騎士を連れて戦争に参戦していた側室の子で、ウィルモットの異母兄弟であるレンデル第2皇子が帰還と知らせが届いた。もちろん完全勝利。 本来なら喜ばしいことなのだが、皇后とウィルモットの顔色は真っ青になっていた。 側室の子で1つと年下だったため王位継承権はなかったものの、その実力と剣術は相当なもの。 特にレンデルは騎士団の団長として多くの実力を確かなものだと証明してきた。 それだけではない。ウィルモットと比べて子供の頃から成績も優秀だったし、何でもそつなくこなす。クールで真面目な性格。 そのせいもあって皇太子は第2皇子でいいのでは? と周りは影で疑問を囁かれるように。 ウィルモットは彼に酷い劣等感を抱くようになっていく。以前、機嫌が悪い時に「お前を見ていると、あの男を思い出して腹が立つ」 と言われた事があった。どうやら彼の目から見たら、セレスティンはレンデルに似ていてイラ立たせる存在らしい。真面目で自分よりも優秀なところ。 それが嫌われる主な原因の1つだと言うのなら皮肉なものだ。 戦争を勝利したレンデルの生還パーティーが行われることになったのだが、その間もウィルモットの機嫌は最悪なものだった。 やはり指揮力に剣術など大きく才能を持ったレンデルを後継者にしたいと思っている一部の貴族や騎士達が、これといわんばかりに彼を褒めただえる。「流石ですよ。どんな相手だろうが、向かって行く姿は救世主そのもの。その上、指揮能力も抜群とは……国も安泰ですな」「こんな方が皇帝になって頂ければ、我々も安心して生活が出来るのに」「私は次の皇帝は、第2皇子殿下だと思っています」 他に貴族の令嬢たちも熱い視線を向けていた。普段はクールで怖い印象が強いレンデルだが、端正な顔立ちをしているため絶大に人気も高い。 たしかに彼はサラサラの漆黒の髪にキリッとした二重の鋭い目。鼻筋もスッと高く、まるで絵に描いたような美しい顔立ちをしている。 ウィルモットも母親似のサラサラの金髪と美形な顔立ちをしているのだが、彼と並ぶと劣ってしまう。だからこそ余計に気に食わないのだろう。 そんな男と自分を比べられ、祝わられるのを、ただ指をくわえて見ていることしか出来ないのだから。今でもムスッと拗ねた状態で座っている。「何なんだ? あれは……皇太子は俺だぞ? なのに、どうして俺よりも第
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第3話
 後日、セレスティンは家庭教師と皇后に、どういう態度だと怒られてしまう。 だからと言って、下手に同意すれば睨まれるのはこちらだ。 前も頷くだけにしたら、ウィルモットは、彼女がそれを言っていたと噓をつかれたことがあった。たまたまそれを本人に聞かれてしまい、慌てて誤魔化したのが発端だ。 しかし、そのせいでセレスティンは陰で自分たちを見下しているとか、性格が悪いとか色々と言われてしまう。 大人しい性格のセレスティンが板挟みになることはしばしば。 逆にその態度がイラついたのか、ウィルモットは立ち上がってしまった。「えっ? ウィルモット様、どちらに?」「お前の態度が悪過ぎて気分が悪くなった。部屋で休んでいるから、そこで反省でもしていろ」 それだけ言うと、さっさと行ってしまう。 あわあわとしていると近くに居た夫人達に、コソコソと陰口が聞こえてくる。「まぁ、頼りない婚約者だこと。フォロー1つ、まともに出来ないなんて」 それを聞いてしまった皇后は、後でホールの外に呼び出されてしまう。「これは、どういう事なの? あなたは正式な皇太子の婚約者でしょう? それなのに、まともにフォローも出来ないだなんて。私まで恥をかいたわ」「申し訳ございません」「ああ、情けない。こういう時にさり気なくウィルモットに寄り添ってあげるのが婚約者の役目でしょう?」「……はい」「こんな状態で私の可愛い息子が傷ついたらどうするつもり? 皇妃になりたかったら、ちゃんと自覚を持ってやってちょうだい。いいわね?」 皇后に何度もキツく注意をされてしまい、セレスティンは、相当落ち込んでしまう。 それでも皇后の手前。セレスティンは頭を下げて黙って聞くしかなかった。たとえ理不尽だと思っても。 セレスティンは、皇后の説教が終わった後。庭園に設置されているベンチに腰を下ろした。ダンスホールから少し離れた場所にあるため人目も少ない。 静かな場所で座っていると彼女の目尻から涙が溢れてきた。泣くつもりはなかったが、涙がどうしても止まらない。 頑張ってきたつもりだったが、ウィルモットには届かない。皇后も責める一方で話をまともに聞いてくれなかった。 慰めることならやってきた。それでも彼はそれを皮肉に取ってしまい、逆に話にならなかったことが多い。大声で怒鳴り散らすだけで。(前だって、さり気なく慰
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第4話
 思わずそのハンカチをギュッと抱き締めてしまう。ドキドキと心臓の鳴る音を聞きながら。それが彼・レンデルの印象に残った瞬間だった。「また……会えるかしら?」 しばらく、そこで立ち尽くしていた。 それがレンデルとセレスティンの運命を変えるとは知らずに。 それから1ヶ月後。何者変わらずに忙しく過ごしていた。 ウィルモットは相変わらず令嬢達と親しくしているようだ。態度もそのままで特に変化のない毎日。 しかし、何やら廊下が騒がしかった。バタバタとしており、メイドたちも落ち着かない様子。(何かあったのかしら?) セレスティンは、近くで警備をしていた騎士に聞いてみることに。「どうかしたの? 騒がしいけど」「あ、はい。どうやら聖女が、この国で見つかったみたいで」「聖女!? それは本当なの?」 このアルバーン帝国で聖女が見つかるなんて初めてのことだ。 聖女とは神のご加護を頂いた特別な女性のことで、見つかると幸運をもたらすと言い伝えがある。 他の国で現れてから平和になったと古い伝説にはなっていたが、まさか本当のことだったとは。「事実みたいです。平民出身の方みたいですが、不思議な力で人の怪我を治すとか。さっき他の騎士から聞きました」「……そう」 本来なら大ニュースだし、国の幸運を願うなら喜ばしいことなのだが、何故だろうか? 何だか胸騒ぎがする。 チクリと胸の辺りが痛む。まるで良くない事でも起きるかのように。 気のせいだといいのだけど。 しかし、その予感は的中することに。それは聖女のお披露目パーティーで知ることになるとは……。 アルバーン帝国に誕生した聖女の名は『カトリーヌ・エイミス』 セレスティンと同じ18歳なのだが庶民出身。 しかし、ある日から人々の怪我や病気を治せる不思議な能力が覚醒。その上に優しくて、純粋な心の持ち主だと庶民の間で噂になっていたらしい。 姿を見せた彼女は、確かに純粋っていう言葉が似合っていた。綺麗な銀髪にふわふわのロングウエーブヘア。目も大きくて、タレ目で小さな口元。 華奢な身体と小柄。まるで守って上げたくなるような雰囲気のある美女だ。(この人が……聖女様!?) セレスティンは驚きで言葉を失った。まるで、そうなるために生まれてきたような神秘的な美しさがある。それは皇族も同じように思っていたようだ。 皇帝は大喜
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第5話
 傍まで行くと、ニコッと微笑みながら手を差し出した。「聖女・カトリーヌ。是非私と踊って下さい」 その言葉にセレスティンは絶句する。本来ファーストダンスは婚約者か妻と踊るのが暗黙のルール。既婚者や婚約者が他の異性と踊るのはマナー違反とされている。  それなのに皇太子であるウィルモットは、婚約者のセレスティンを置き去りにして、カトリーヌにファーストダンスの相手として申し込んだのだ。  ショックを隠せないセレスティンに、追い打ちをかけるようにカトリーヌは、戸惑いながらもその手を受け入れてしまった。  彼女は平民なので、正式なマナーを知らなくても当然だ。なのに……。 ウィルモットは、嬉しそうに彼女の手を握り返すと、引き寄せる。そして、片方の手をカトリーヌの腰に回すと、少しずつ踊り出した。  慣れないダンスに戸惑うカトリーヌだったが、ゆっくりとリードしながら踊る姿は、理想的な皇太子のよう。美しい2人の姿は、まさにお似合いだった。  周りの貴族達もそれを微笑ましそうに見ている。「まぁ、なんてお似合いなのでしょう」「聖女様も初々しくて可愛らしいわ。これでは、どちらが婚約者か分からないわね?」「あら、聖女様が現れたのよ? そうなれば聖女様が皇妃陛下になるのが当然ではなくて?」 令嬢たちの何気ない言葉にズキッとセレスティンの心が痛む。  セレスティンがもっとも恐れていること。それは彼の心が完全に離れて、婚約破棄をされることだった。もともと皇族の命令で決まったことだ。  いつ覆されるか分からないし、それでも皇妃になるために必死に頑張ってきた。  それなのに、聖女が現れた途端に自分の居場所が奪われることになるなんて。 不安になっているセレスティンを蔑ろにして、ウィルモットは二度目のダンスもカトリーヌと踊り出した。  二度目を許されるのも婚約者か妻だけ。これでは、婚約者が変わったと言っているようなもの。「……ウィルモット……さま」 セレスティンは苦しそうに彼の名を呼んだが、届くはずもなかった。  その後もセレスティンは、ウィルモットからダンスを申し込まれることは一度もないままパーティーが終了してしまう。  今まで嫌々でも踊ってくれたのに、存在すら忘れられてしまったかのように。  胸が押し潰されそうになる。  チラッと皇后の顔を見るとギロッとセ
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第6話
 そう考えてしまう自分が虚しいと分かっていながら、ただ離れた場所で、その光景を見ていることしか出来なかった。 その後も、さらに追い打ちをかけるようにウィルモットはこんなことを言い出した。「カトリーヌのためにお茶会を開こう」 お茶会自体は問題ない。令嬢にとって、お茶会は交流の場でもあるからだ。 しかしウィルモットは、その準備などをセレスティンが仕切るように命じてきた。「私がやるのですか?」「当たり前だ。もちろん主催者はカトリーヌだ。お前は、影で準備や招待客を接待だけしていればいい。それ以外は黙って従っていろ」「ですが……それではあんまりかと」 彼は、何を言っているのか分かっているのだろうか? 初めだからサポートしてくれとなら分かる。 だが彼の言い分だと、セレスティンに雑用を押しつけるだけだ。将来の皇妃になる婚約者が、そのようなことをしていたら、周りからいい笑い者だ。「はっ? お前には、それぐらいの優しさはないのか!? 相手は聖女だぞ?」「でしたら、私が聖女様に教える形で……」「ふざけるな!? 聖女に雑用をやらせる気か?」 セレスティンの意見に怒鳴り散らしてくるウィルモット。 何度も説得を試みてみるが、彼にとったら婚約者よりも聖女の方が上らしい。 日付まで勝手に決められてしまい、周りにもそう伝えるものだから後に引けなくなっていく。 セレスティンは仕方がなく、お茶会の準備を進めることに。 当日までに招待客の令嬢たちに招待状を書いて送った。お茶会に必要なアフタヌーンティーを料理長に頼んだり、飾りつけなどを仕切る。 そのままお茶会の日を迎えることに。本来なら婚約者としてセレスティンも参加していいはずなのに、ウィルモットは、彼女を雑用係のように扱った。 新しい紅茶を淹れる準備などをセレスティンに取りに行かせた。他のメイドは関わりたくないのか知らん顔。 最初は招待客の令嬢たちは戸惑っていたが、ウィルモットのセレスティンとカトリーヌの態度の差を見て、確信と変わる。 ワザとティースプーンを落とす令嬢も出てくるように。慌てて拾おうとするセレスティンを見ては、クスクスと笑う。「まぁ、ごめんなさい。セレスティン様」「あら、ダメよ~落としたら、下品だと思われちゃうわ」「そうね。聖女様と殿下に見っともない姿を見せられないわね。フフッ」 令嬢
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第7話
 そう言って名乗り出てくれたのは幼い頃からセレスティンの世話をしている専属侍女のハンナだった。 ハンナは、唯一侍女の中でもセレスティンを慕い、傍にいてくれた。「いや、今はセレスティンに命令しているんだ。いいから、行ってこい。まったく、それぐらいの融通が利かないのか?」「は、はい」 理不尽だと思ったが、皇太子の命令は絶対だ。渋々セレスティンは取りに行く。 しかし去り際にウィルモットはカトリーヌに、「いや~まったく役の立たない婚約者で、すまない。少しでも聖女である君のように、国の役に立てばいいのだが、ただ傲慢で威張り散らしているだけでさ。俺も気苦労が絶えないよ」 と、まるでセレスティン自身に問題があるかのように言ってくる。(そんな……私はウィルモット様のためと思って、行動しているのに) いわれのない悪口にセレスティンの心は深く傷つく。 悲しみのあまり、早々とその場を後にする。ウィルモットの部屋まで時間がかかる。 階段の上り下りだけだって大変なのに、セレスティンに取りに行かせた理由は1つしかない。ただセレスティンが邪魔だったのだろう。 婚約者が傍にいてはカトリーヌと、いちゃつけない。だから、なかなか帰って来られないようにしたかったのだろう。(そこまでして……聖女様と一緒にいたいの?) ウィルモットにとったら可愛くない婚約者よりも、純粋で可憐なカトリーヌの方が魅力的だとしても、これはあんまりだ。 溢れてくる涙を拭きながらウィルモットの部屋からプレゼントを取ってきた。箱の中身はピンクダイヤモンドの宝石がついたネックレスだった。 国の中でも貴重で高価とされている宝石。皇族や身分の高い貴族ではないと、なかなか手にすることが出来ない品物だ。(私には宝石すら貰ったことがないのに……) セレスティンは絶望を味わいながら部屋を出ていく。ふらふらした足取りで廊下を歩いていると、メイドたちの話し声が聞こえてきた。「本当に聖女様って素敵よね。セレスティン様と大違い」「なんか噂によると、殿下は婚約破棄を考えているらしいわよ? 聖女様を新しい婚約者にしたいからって」「えっ? そうなの? でも、当然よね~扱い方が全然違うし」 その場を立ち聞きしてしまったセレスティンはショックを受ける。令嬢だけではなく、メイドたちまで、そんな噂が出回っているなんて。 こ
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第8話
「聖女様。令嬢が走るのはいかがなものかと」「あ、ごめんなさい。つい癖で……私、兄弟が多かったもので。よくお世話をして、弟たちを追いかけて走っていたから」「まぁ、そんなことでは……」 兄弟が多いのも驚かされるが、平民のカトリーヌにとったら日常のことなのかもしれない。セレスティンは、何かを言いかけたが、グッと我慢をする。 自分が言いたいのは、そういうことではないと思ったからだ。「それよりも、私に何か用ですか? お茶会の主催者であるあなたが、席を立つなんて普通ありえないことですわ」 どうしてか自分の言い方に棘があった。本来もっとやんわりと言うものだ。 なのに胸がギュッと締め付けられて、上手く言葉が出てこない。心臓の鼓動もバクバクと速く、手が小刻みに震えてしまう。 まるでカトリーヌに恐怖を感じているように。すると、カトリーヌは慌てて頭を下げて謝罪をしてきた。「あ、あの……ごめんなさい。私、知らなくて」「……えっ?」「その……セレスティン様が……殿下の」 カトリーヌが何かを言いかけた、その時だった。「おい、カトリーヌに何をしているんだ!?」 そう言って大声で叫んできたのはウィルモットだった。「えっ?」 ウィルモットは、慌ててこちらに来ると、ギュッとカトリーヌを抱き締めながらセレスティンを怒鳴ってくる。鋭い目つきでギロッとセレスティンを睨みつけてきた。「貴様、いくら聖女のカトリーヌが憎いからと言って彼女をイジメるとは、どういうことだ!?」「イジメる? 私が聖女様を……ですか?」 いわれない濡れ衣を着せられることに、セレスティンは驚く。 確かに注意はしたが、それは令嬢としてのマナーってだけで、イジメた訳ではない。「あの……誤解ですわ。私は聖女様に対してイジメなんて」「噓を言うな。さっきカトリーヌが頭を下げていただろーが!? 聖女に頭を下げさせるなんて、貴様何様だ?」 必死に言い訳をしようとするが、それが余計に気に入らなかったのか大声を上げる。 これでは、本当に自分がカトリーヌをイジメているように聞こえてしまう。「ち、違います。私は、けして聖女様をイジメてなど」「ああ、見苦しいぞ。謝るならまだしも、言い訳をするなんて。いくらカトリーヌが美しく、純粋だからと言って、貴様みたいな女がやっかみする相手ではない」 まったくセレスティン
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第9話・殺され聖女。
 噂が広まる一方でセレスティンは両親から実家に呼び出される。それが真実なのかと、どうしてそうなってしまったのか、原因を聞きたかったのだろう。 もちろん、セレスティンは否定する。しかし両親から言われた内容は、あまりにも酷かった。「あなたにも落ち度があったんじゃないの?」「未来の皇妃が聖女様に負けてどうする。もっと自覚を持って励みなさい」 セレスティンにも原因があるからと叱られる始末。「ですが……」「公爵令嬢が、こんな弱気だから殿下に愛想を尽かされるんだ。お前は、聖女様に比べて、人目をひくほど愛嬌や美人でもない。だったら、せめて殿下に好かれるように、もっと努力をするべきだ」 セレスティンがどんなに努力をしても、まだ足りないと言われる。 両親にまでカトリーヌと比較をされてしまい、セレスティンは余計に複雑な表情になるのだった。 しかし、それだけでは終わらなかった。皇宮に戻ると、今後は皇后に呼び出される。 庭でお茶をしていた皇后も噂を聞いたようで、セレスティンに呼びつけた早々に、小言を言われた。「どうなっているの? 聖女がこの国に現れたのはいいことだけど、だからと言って、なぜウィルモットと噂になっているのよ?」「も、申し訳ございません。私も……どうしてかは、さっぱりで」「ちゃんとしなさい。これは、皇族の名誉に関わるわ。ああ、平民の聖女なんて……愛人として囲っておけばいいものを。あんな堂々とダンスまでして」 ブツブツと文句を言う皇后。 皇后としては、聖女が平民なのが問題のようだ。国を代表する皇族は高貴な貴族ではないといけない。 知性や品格。それと社交界でもやっていけるマナーが必須だからだろう。特にプライドが高く、息子のウィルモットを皇帝にしたい皇后は、それを重視する。 だからこそ、品格と名誉があるアーノルド公爵令嬢のセレスティンが婚約者として選ばれたのだ。「平民の聖女では皇妃に相応しくない。あなたが、もっとしっかりと、ウィルモットを捕まえておかないのがいけないのよ。いい? これは、あなたの責任よ」「……はい。申し訳ございませんでした」 理不尽にも、またセレスティンに責任を押し付けられてしまった。「可愛い息子は何も悪くない」 それが皇后の口癖。たとえ、そのせいでセレスティンが被害に遭おうとも。 セレスティンがグッと手を握り締めて耐え
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第10話
 胸がズキズキと傷んで苦しい。黒い感情が奥底で渦巻いて、溢れてくる。(婚約者は私なのに。聖女なんて……いなくなればいいのに!!) その感情にセレスティンはハッとする。(私……なんてことを!?) 聖女である彼女に対して、なんて酷い感情を持ってしまったのだろう。 セレスティンは、カトリーヌに嫉妬する。それ自体も自分自身にとったら驚くことだった。いつも清く美しい心を持つように言われて育ってきた。 気品を忘れてはならない。それが皇妃としての務めだから。だがこれでは、ただの品のない悪女そのものだ。 セレスティンは、ショックと自分が抱いてしまった醜い感情に耐えられずに、走ってその場を後にした。 自分の部屋に戻ってからもベッドの上にある布団に潜り込んで泣き崩れる。 侍女のハンナは心配そうに声をかけてくれたが、セレスティンは泣くのに精一杯で聞こえなかった。 ガタガタと体を震わせながら、しばらく潜り込んでいるとドアのノック音が。 ハンナが対応してくれたみたいだが、すぐにセレスティンに声をかけてきた。「セレスティン様。聖女様がお見えになりました」(えっ? 聖女様が!?) どうしてカトリーヌがセレスティンの部屋を訪れたのだろうか? さっきまで廊下でウィルモットと話し込んでいたはずだ。なのに、ほとんど関わりのない自分に会いに来たので、セレスティンは驚いてしまった。 断ることも出来たのだが、聖女が相手だ。無下には出来ない。仕方がなく会うことに。するとカトリーヌは話があると言ってきた。 ハンナにお茶の準備をしてもらい、ソファーに座りながら話をすることに。 何の話かと思えば、カトリーヌはすぐさま頭を下げて謝罪をしてくる。「本当にごめんなさい。私、本当に知らなかったの。あなたが殿下の婚約者だったことは」「えっ? 聖女……さま?」 驚いたことか、カトリーヌの謝罪はセレスティンがウィルモットの婚約者だったと知らなかったことだった。「私、兄弟の世話とかで忙しかったし、興味がなかったから本当にそういう話とか疎くて。セレスティン様が殿下の婚約者だったことは、後から知りました。殿下とは、初対面から何も知らない私に優しくしてもらえて、ついそれに甘えてしまって。本当に、なにもないとはいえ……誤解をさせることをしてしまってごめんなさい。深く反省をしております」 潔く罪
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