LOGINセレスティンはアーノルド公爵家の令嬢でアルベール帝国の皇太子の婚約者だったが、聖女が現れたことで皇太子に蔑ろにされる。 悪役令嬢と呼ばれ、周りからも白い目で見られてしまう。 しかも肝心の聖女が何者か殺されてしまい、その殺人容疑の疑いが!? 婚約破棄だけではなく、酷い裏切りに絶望的に。 だが第二皇子・レンデルに助けれられ、身体を小さくなる。 レンデルの協力で犯人を捕まえるため奮闘する。しかし疑わしい犯人は数人。 数々のピンチを乗り越えていくうちに、真相にたどり着く。 そして意外な犯人は? 悪役令嬢のスカッと謎解き恋愛ファンタジー
View More「お前が聖女を殺したんだ!? セレスティン」
外では雷鳴と激しい雨が降っている。その中で皇帝陛下の寝室では、現在の皇太子・ウィルモット・アルバーンが、大声で怒鳴り散らしていた。
彼の腕の中にはナイフで刺されて血だらけになっている聖女・カトリーヌの遺体が。 セレスティンは恐怖で震え上がる。「ち、違います。私は、殺してなんていません」
「じゃあ、誰がカトリーヌを殺すと言うんだ!?」
まさか聖女を殺した犯人にされるとは、あの時は想像もつかなかった。
悪役令嬢として……崖っぷちに立たされるなんて。ここは、アルバーン帝国。緑が多く海が近い大陸。自然の豊かな国でもあり、魚介類や山の動物などの商売も盛んだ。騎士の育成などにも力を入れている。
その中心人物である皇族。皇太子であるウィルモット第1皇子には婚約者がいた。 そして婚約者の名は、セレスティン。アーノルド公爵家の長女だ。 サラサラのストレートロングの金髪と碧眼がトレードマーク。純粋で、真面目。 気弱で大人しい性格だが、皇妃になるために必死に努力する。 皇妃になるための教育は過酷なものだった。朝から就寝時間まで出される課題の山。 それに加えてマナーやダンスレッスン。泣き言を吐くことも許されず、ちょっとでもミスれば家庭教師とウィルモットの実母である皇后に散々嫌味を言われる始末。「皇妃になるには、これぐらいは出来て当然です」
「これぐらいも出来ないのですか? それでは、皇太子の妻として相応しくありませんよ」
しかし、そんな努力もウィルモットは、気に入らなかったようだ。
勝手に決めた婚約者。控えめのせいか、見た目よりもパッしない態度や格好すら不愉快に映り、婚約者が優秀なのも自分と比較されるからと嫌がっていた。 ウィルモットは、とにかく勉強や努力が嫌いだ。剣術も大した才能もなく、遊ぶ事に夢中。 それでも皇后から言われたように、自分がいずれ妻になるのだから、そこも含めて支えればいいと思っていた。そうなるように教えられてきたからだ。だが、彼は違った。セレスティンが18歳。ウィルモットが19歳になった頃。
他の貴族の令嬢達と親しくなることが増えていく。あくまでも親しい友人だと言い続けるが、彼の首筋にキスマークがあることは日曜茶飯。それとなく注意しても、「うるさい。皇太子の俺が何をやろうが俺の勝手だ。お前に指図される筋合いはない。嫉妬深いぞ」
結局は怒らせてしまうだけ。その度に皇后・ローザに叱られた。
「あの子が他の女性に行くのは、あなたが、ちゃんと支えてあげられていないからよ。婚約者として、もっと努力をしなさい」
「浮気ごときで騒ぐなんて情けない。ウィルモットは、皇太子なんだからモテるのは当然のこと。あなたは婚約者なんだから、堂々としていればいいのよ」
我慢するどころか、それより努力を要求される。
皇太子を支えることが、あなたのためになると言われると何も言えなくなってしまう。両親に言ったところで同じことを言われるのは目に見えて分かっている。 自分さえ我慢すれば……何事も上手くいく。(私が将来の皇妃としてウィルモット様を支えないと)
今はそれが、自分のためになる事だと、信じる事しか出来なかった。
しかし、そんな事も言っていられなくなった。あれから数日後。
そして、こっそりと宝石を返すことで終わらせたかった。 だから、セレスティンの周りをウロウロしていたのだと、キャサリンの時でも正直に話してくれた。 レオネルは、ポケットからエリアスの宝石を取り出す。たしかにキラキラと光るエメラルの色柄で『王国の家宝』で間違いなさそうだ。 ソッとエリアスが持つと眩い黄金の輝きになり、彼を包み込んだ。「本物です。そっか、君が持っていたんだね? レオネル」「……ごめんなさい」 本物だと証言し、優しく聞き返すエリアスと違い、レオネルは涙を流しながら謝罪を口にする。 悪気はなかったとはいえ、罪は罪なので、今後どうするかはエリアスの指示次第だろう。 そして母親でもあるミライダは、観念したのか座り込んでしまい、泣き崩れていた。 親子は、後日の処分が決まるまで自宅で謹慎処分することに。 今回の事件は幼い子供による窃盗事件ということで終わりを告げる。 1週間後。ミライダ親子の処分が決まる。 上層部共に話し合いを行われたが、やはり大切な『王国の家宝』を盗んだことは大きい。そのため犯人であるレオネルは王族から廃嫡。辺境の地に移り住むことに。 今後は辺境伯として国を守っていくことになるだろう。 そして母親であるミライダは、そのことを後から知ったにしろ、それを利用して騒ぎを大きくした罪は大きいとされた。 王族の名誉を傷つける行為は重く、王太后を廃嫡。 しかし母親としての責任を取る形として息子と一緒に辺境に移り住み、教育することになった。まだ幼い息子を支えてほしいというエリアスの優しさからだ。 2人が出て行く日。エリアスはレオネルのこう話した。「もし困ったことや悩んでいることがあれば、いつでも頼るといい。私にとって君は大切な弟に変わりはないから」 例え離ればなれになったとしても、エリアスにとったらレオネルは可愛い義弟。それは今でも変わらない。優しく頭を撫でてあげる。「はい……ありがとうございます。エリアスお義兄様」 少し寂しそうに涙を浮かべながらも、ニコッと笑顔を見せるレオネルは、まだおどけない子供。 これから罪を償いながらも立派に成長することを願うばかりだ。 親子が旅立ってから2ヶ月後にエリアスとアシュリーの結婚式が行われた。 一旦帰国したセレスティンとレンデルは日を改めて出席することに。 結婚指輪になった
オスカーはそう発言をすると、チラッとメリッサの方を見る。 メリッサは庇ってくれたことに驚いていたが、彼の言いたいことを察したのかコクリと頷いた。オスカーは観念したのか正直に口を開く。「……ミリア。黙っていて、すまなかった。俺は同性愛者なんだ。そして彼女の本当の性別は男性。俺は……男であるメリッサのことを愛している」 ずっと隠していたこと。 その事実を打ち明けて、1番ショックを受けたのはミリアだった。「う、噓でしょ!? あなたが同性愛者だなんて」 必死にオスカーの腕を掴んで訴えてくるが、オスカーは苦しそうな表情で首を横に振る。ミリアは絶望的な表情になり、足元がよろめいた。 信じたくはないだろう。それでも現実は突きつけてくる。「だから私と夫婦生活をするのを拒んだのね? そ、そんなの……どうすることも出来ないじゃない。あなたの恋愛対象が男では」 まだ恋愛対象が女性なら勝ち目があっただろうが、男性となるとそうはいかない。 彼女は男性にはなれないからだ。 動揺して言葉にならなくなっていくミリアを置いて、セレスティンは話を続ける。「王太后陛下。オスカー殿下が同性愛者であること。メリッサ様が男性であることは知っておりましたよね? それでどうして、あのような噂を流したのですか?」「そ、そんなこと……知らなかったわよ!?」 セレスティンの質問にビクッと肩を震わせたミライダは慌てて言い訳を述べるが、それは既に調べはついている。「それはおかしいですわね? エリアス陛下からは、王族なら知っていると聞いているはずですが?」「そ、それは……」 動揺を隠し切れていない様子のミライダはドレスの裾をギュッと握っていた。 するとレイデルが口を開いた。「噓をついても罪が重くなるだけだぞ? そもそも揉め事の発端は、王太后陛下にあることは、既に調べはついている。そうなると今回の宝石の件も、あなたが盗んだのではないのか?」 鋭い質問をついてくるレンデルにミライダの表情は一層真っ青になっていく。「そ、それは……」「違うよ。それを盗んだのは僕だもん!」 その瞬間、彼女を庇ったのはレオネルだった。周りは驚いていた。 まさか幼いレオネルが名乗り出るとは誰も思わなかっただろう。セレスティンとミライダ以外は。「レオネル。およしなさい!?」「ぼ、僕が……悪いんだ。お母
セレスティンは、全員をエリアスの執務室に呼ぶ。 集まったのは、レンデル以外にエリアスとアシュリー。メリッサとオスカー夫婦。 そしてミライダとレオネル9人だった。他にも騎士たちが数人。「皆様お集まり下さりありがとうございます。今回の事件の真相が分かりましたが、その前に誤解を解きたいと思います。まず今回のアシュリー様とオスカー殿下の恋仲の件ですが、それは間違いだと確認が取れました」 セレスティンがそう言うと、真っ先に口を開いたのはミリアだった。「ちょっと待って。どういうことよ!? オスカーの愛人は、この女でしょ?」「では、それは誰から聞いたのです?」 ミリアの意見に反論するセレスティン。「それは……王太后陛下だけど」「では、どうして、それが真実だと思ったのですか? 王太后陛下が噓をついたとも考えられますよね?」「……それは」 セレスティンと正論に一瞬戸惑うミリア。それを信じて、怒り任せで攻撃してきたのはいいが、いざ聞かれると言葉が出てこないようだ。「ちょっと、人聞き悪いことを言わないでちょうだい。それでは私が噓をついているみたいじゃないのよ!?」 それを聞いて怒り出すミライダだったが、セレスティンは負けてはいない。「では逆にお聞きしますが、どうして2人が愛人関係だと思ったのですか? イチャつく姿を見た者が居たとお伺いしましたが、その方にもう一度詳しくお聞きしたいので教えていただけませんか?」 反論を返すと、ミライダが何も言い返せずグッと歯を食いしばる。「言えないはずです。だって、これはまったくの噓。そもそもオスカー殿下のお相手は違います。本当の相手はメリッサ様なのですから」 セレスティンは本当のことを告げた。隠していたことではあるが、真実を話すためには打ち明けないといけないこと。そのためにメリッサには承諾をもらっている。 その言葉に動揺したのはミリアとオスカーだけではない。ミライダもだ。「あら……そうだったかしら? だとしたら、私の勘違い」「いえ、勘違いではありません。あなたは、ワザとそうなるように教えましたよね? そうすることで、揉めるように仕向けた。それだけではないわ。アシュリー様にもエリアス陛下とメリッサ様が恋仲だと言いふらした。それで婚約が破綻し、陛下の評判を下げることを狙って」 惚けようとするミライダをセレスティン
「もう一度言う。私と結婚してくれないか?」 その綺麗な目には噓はなかった。「はい……喜んでお受け致します」 アシュリーはプロポーズを受け入れることにしたようだ。噂が間違いだと分かり、彼女も悩む必要がなくなった。彼の想いを聞いて、ようやく両想いになれたようだ。 しかし、これで良かったと終わるわけにはいかない。 まだ肝心な『王国の家宝』であるエリアスの宝石が見つかっていないのだ。「そうなると、後は宝石を見つけるだけですが、誰が盗んだのでしょう?」 セレスティンは、もう一度そのことに触れた。 とりあえずメリッサとオスカーの疑いは晴れた。そうなると、残りはミリアとミライダだけとなるが。 するとエリアスが口を開いてきた。「倉庫に出入りする者は記録されるはずです。警備担当の騎士たちが極秘で書いているので、それをきちんと調べれば」「ああ、それなら、既に調べはついている。盗まれる前に記録されていたのは、君とオスカー。それとミリア公爵夫人とミライダ王太后親子だけだ」 エリアスの意見に反論したのはレンデルだった。さすが優秀なだけあって、既にそこまで調べはついていたようだ。 エリアスとオスカーは無効。だとすると、やはりミリアとミライダだが……。「あら? どうして親子で行ったのかしら?」 犯人としてミライダが1人で行ったとしたら分かるのだが、親子で行く必要性があるのだろうか? セレスティンが疑問を抱く。「ああ、どうやらレオネル殿下は母親に見たいとワガママを言っていたらしい。まぁ、それが盗むチャンスだと思ったのかもしれないが」 レンデルの言葉に先に驚いたのはセレスティンではなくエリアスだった。「えっ? レオネルがですか? あの大人しい子がワガママを言うなんて珍しいな。特に母親にはワガママとか言わないのに」 たしかにシャイで大人しい性格の子だろう。好奇心旺盛でもあったが、あの怖い母親に盾突く感じではないとセレスティンは思った。(ならどうして、そんなことをしたのだろうか?) レンデルの言葉にハッと何かをと思い出すセレスティン。そうえば、彼は気になる発言をしていた。 もしそうなら彼は、その答えを知っているはずだ。 セレスティンは、その後。また子供の姿になってレオネルに近づいていく。 大切な情報を聞くために。 居場所をメイドから聞くとレオネルは丁