LOGINセレスティンはアーノルド公爵家の令嬢でアルベール帝国の皇太子の婚約者だったが、聖女が現れたことで皇太子に蔑ろにされる。 悪役令嬢と呼ばれ、周りからも白い目で見られてしまう。 しかも肝心の聖女が何者か殺されてしまい、その殺人容疑の疑いが!? 婚約破棄だけではなく、酷い裏切りに絶望的に。 だが第二皇子・レンデルに助けれられ、身体を小さくなる。 レンデルの協力で犯人を捕まえるため奮闘する。しかし疑わしい犯人は数人。 数々のピンチを乗り越えていくうちに、真相にたどり着く。 そして意外な犯人は? 悪役令嬢のスカッと謎解き恋愛ファンタジー
View Moreそして、こっそりと宝石を返すことで終わらせたかった。 だから、セレスティンの周りをウロウロしていたのだと、キャサリンの時でも正直に話してくれた。 レオネルは、ポケットからエリアスの宝石を取り出す。たしかにキラキラと光るエメラルの色柄で『王国の家宝』で間違いなさそうだ。 ソッとエリアスが持つと眩い黄金の輝きになり、彼を包み込んだ。「本物です。そっか、君が持っていたんだね? レオネル」「……ごめんなさい」 本物だと証言し、優しく聞き返すエリアスと違い、レオネルは涙を流しながら謝罪を口にする。 悪気はなかったとはいえ、罪は罪なので、今後どうするかはエリアスの指示次第だろう。 そして母親でもあるミライダは、観念したのか座り込んでしまい、泣き崩れていた。 親子は、後日の処分が決まるまで自宅で謹慎処分することに。 今回の事件は幼い子供による窃盗事件ということで終わりを告げる。 1週間後。ミライダ親子の処分が決まる。 上層部共に話し合いを行われたが、やはり大切な『王国の家宝』を盗んだことは大きい。そのため犯人であるレオネルは王族から廃嫡。辺境の地に移り住むことに。 今後は辺境伯として国を守っていくことになるだろう。 そして母親であるミライダは、そのことを後から知ったにしろ、それを利用して騒ぎを大きくした罪は大きいとされた。 王族の名誉を傷つける行為は重く、王太后を廃嫡。 しかし母親としての責任を取る形として息子と一緒に辺境に移り住み、教育することになった。まだ幼い息子を支えてほしいというエリアスの優しさからだ。 2人が出て行く日。エリアスはレオネルのこう話した。「もし困ったことや悩んでいることがあれば、いつでも頼るといい。私にとって君は大切な弟に変わりはないから」 例え離ればなれになったとしても、エリアスにとったらレオネルは可愛い義弟。それは今でも変わらない。優しく頭を撫でてあげる。「はい……ありがとうございます。エリアスお義兄様」 少し寂しそうに涙を浮かべながらも、ニコッと笑顔を見せるレオネルは、まだおどけない子供。 これから罪を償いながらも立派に成長することを願うばかりだ。 親子が旅立ってから2ヶ月後にエリアスとアシュリーの結婚式が行われた。 一旦帰国したセレスティンとレンデルは日を改めて出席することに。 結婚指輪になった
オスカーはそう発言をすると、チラッとメリッサの方を見る。 メリッサは庇ってくれたことに驚いていたが、彼の言いたいことを察したのかコクリと頷いた。オスカーは観念したのか正直に口を開く。「……ミリア。黙っていて、すまなかった。俺は同性愛者なんだ。そして彼女の本当の性別は男性。俺は……男であるメリッサのことを愛している」 ずっと隠していたこと。 その事実を打ち明けて、1番ショックを受けたのはミリアだった。「う、噓でしょ!? あなたが同性愛者だなんて」 必死にオスカーの腕を掴んで訴えてくるが、オスカーは苦しそうな表情で首を横に振る。ミリアは絶望的な表情になり、足元がよろめいた。 信じたくはないだろう。それでも現実は突きつけてくる。「だから私と夫婦生活をするのを拒んだのね? そ、そんなの……どうすることも出来ないじゃない。あなたの恋愛対象が男では」 まだ恋愛対象が女性なら勝ち目があっただろうが、男性となるとそうはいかない。 彼女は男性にはなれないからだ。 動揺して言葉にならなくなっていくミリアを置いて、セレスティンは話を続ける。「王太后陛下。オスカー殿下が同性愛者であること。メリッサ様が男性であることは知っておりましたよね? それでどうして、あのような噂を流したのですか?」「そ、そんなこと……知らなかったわよ!?」 セレスティンの質問にビクッと肩を震わせたミライダは慌てて言い訳を述べるが、それは既に調べはついている。「それはおかしいですわね? エリアス陛下からは、王族なら知っていると聞いているはずですが?」「そ、それは……」 動揺を隠し切れていない様子のミライダはドレスの裾をギュッと握っていた。 するとレイデルが口を開いた。「噓をついても罪が重くなるだけだぞ? そもそも揉め事の発端は、王太后陛下にあることは、既に調べはついている。そうなると今回の宝石の件も、あなたが盗んだのではないのか?」 鋭い質問をついてくるレンデルにミライダの表情は一層真っ青になっていく。「そ、それは……」「違うよ。それを盗んだのは僕だもん!」 その瞬間、彼女を庇ったのはレオネルだった。周りは驚いていた。 まさか幼いレオネルが名乗り出るとは誰も思わなかっただろう。セレスティンとミライダ以外は。「レオネル。およしなさい!?」「ぼ、僕が……悪いんだ。お母
セレスティンは、全員をエリアスの執務室に呼ぶ。 集まったのは、レンデル以外にエリアスとアシュリー。メリッサとオスカー夫婦。 そしてミライダとレオネル9人だった。他にも騎士たちが数人。「皆様お集まり下さりありがとうございます。今回の事件の真相が分かりましたが、その前に誤解を解きたいと思います。まず今回のアシュリー様とオスカー殿下の恋仲の件ですが、それは間違いだと確認が取れました」 セレスティンがそう言うと、真っ先に口を開いたのはミリアだった。「ちょっと待って。どういうことよ!? オスカーの愛人は、この女でしょ?」「では、それは誰から聞いたのです?」 ミリアの意見に反論するセレスティン。「それは……王太后陛下だけど」「では、どうして、それが真実だと思ったのですか? 王太后陛下が噓をついたとも考えられますよね?」「……それは」 セレスティンと正論に一瞬戸惑うミリア。それを信じて、怒り任せで攻撃してきたのはいいが、いざ聞かれると言葉が出てこないようだ。「ちょっと、人聞き悪いことを言わないでちょうだい。それでは私が噓をついているみたいじゃないのよ!?」 それを聞いて怒り出すミライダだったが、セレスティンは負けてはいない。「では逆にお聞きしますが、どうして2人が愛人関係だと思ったのですか? イチャつく姿を見た者が居たとお伺いしましたが、その方にもう一度詳しくお聞きしたいので教えていただけませんか?」 反論を返すと、ミライダが何も言い返せずグッと歯を食いしばる。「言えないはずです。だって、これはまったくの噓。そもそもオスカー殿下のお相手は違います。本当の相手はメリッサ様なのですから」 セレスティンは本当のことを告げた。隠していたことではあるが、真実を話すためには打ち明けないといけないこと。そのためにメリッサには承諾をもらっている。 その言葉に動揺したのはミリアとオスカーだけではない。ミライダもだ。「あら……そうだったかしら? だとしたら、私の勘違い」「いえ、勘違いではありません。あなたは、ワザとそうなるように教えましたよね? そうすることで、揉めるように仕向けた。それだけではないわ。アシュリー様にもエリアス陛下とメリッサ様が恋仲だと言いふらした。それで婚約が破綻し、陛下の評判を下げることを狙って」 惚けようとするミライダをセレスティン
「もう一度言う。私と結婚してくれないか?」 その綺麗な目には噓はなかった。「はい……喜んでお受け致します」 アシュリーはプロポーズを受け入れることにしたようだ。噂が間違いだと分かり、彼女も悩む必要がなくなった。彼の想いを聞いて、ようやく両想いになれたようだ。 しかし、これで良かったと終わるわけにはいかない。 まだ肝心な『王国の家宝』であるエリアスの宝石が見つかっていないのだ。「そうなると、後は宝石を見つけるだけですが、誰が盗んだのでしょう?」 セレスティンは、もう一度そのことに触れた。 とりあえずメリッサとオスカーの疑いは晴れた。そうなると、残りはミリアとミライダだけとなるが。 するとエリアスが口を開いてきた。「倉庫に出入りする者は記録されるはずです。警備担当の騎士たちが極秘で書いているので、それをきちんと調べれば」「ああ、それなら、既に調べはついている。盗まれる前に記録されていたのは、君とオスカー。それとミリア公爵夫人とミライダ王太后親子だけだ」 エリアスの意見に反論したのはレンデルだった。さすが優秀なだけあって、既にそこまで調べはついていたようだ。 エリアスとオスカーは無効。だとすると、やはりミリアとミライダだが……。「あら? どうして親子で行ったのかしら?」 犯人としてミライダが1人で行ったとしたら分かるのだが、親子で行く必要性があるのだろうか? セレスティンが疑問を抱く。「ああ、どうやらレオネル殿下は母親に見たいとワガママを言っていたらしい。まぁ、それが盗むチャンスだと思ったのかもしれないが」 レンデルの言葉に先に驚いたのはセレスティンではなくエリアスだった。「えっ? レオネルがですか? あの大人しい子がワガママを言うなんて珍しいな。特に母親にはワガママとか言わないのに」 たしかにシャイで大人しい性格の子だろう。好奇心旺盛でもあったが、あの怖い母親に盾突く感じではないとセレスティンは思った。(ならどうして、そんなことをしたのだろうか?) レンデルの言葉にハッと何かをと思い出すセレスティン。そうえば、彼は気になる発言をしていた。 もしそうなら彼は、その答えを知っているはずだ。 セレスティンは、その後。また子供の姿になってレオネルに近づいていく。 大切な情報を聞くために。 居場所をメイドから聞くとレオネルは丁
そう言って名乗り出てくれたのは幼い頃からセレスティンの世話をしている専属侍女のハンナだった。 ハンナは、唯一侍女の中でもセレスティンを慕い、傍にいてくれた。「いや、今はセレスティンに命令しているんだ。いいから、行ってこい。まったく、それぐらいの融通が利かないのか?」「は、はい」 理不尽だと思ったが、皇太子の命令は絶対だ。渋々セレスティンは取りに行く。 しかし去り際にウィルモットはカトリーヌに、「いや~まったく役の立たない婚約者で、すまない。少しでも聖女である君のように、国の役に立てばいいのだが、ただ傲慢で威張り散らしているだけでさ。俺も気苦労が絶えないよ」 と、まるでセレステ
そう考えてしまう自分が虚しいと分かっていながら、ただ離れた場所で、その光景を見ていることしか出来なかった。 その後も、さらに追い打ちをかけるようにウィルモットはこんなことを言い出した。「カトリーヌのためにお茶会を開こう」 お茶会自体は問題ない。令嬢にとって、お茶会は交流の場でもあるからだ。 しかしウィルモットは、その準備などをセレスティンが仕切るように命じてきた。「私がやるのですか?」「当たり前だ。もちろん主催者はカトリーヌだ。お前は、影で準備や招待客を接待だけしていればいい。それ以外は黙って従っていろ」「ですが……それではあんまりかと」 彼は、何を言っているのか分かってい
傍まで行くと、ニコッと微笑みながら手を差し出した。「聖女・カトリーヌ。是非私と踊って下さい」 その言葉にセレスティンは絶句する。本来ファーストダンスは婚約者か妻と踊るのが暗黙のルール。既婚者や婚約者が他の異性と踊るのはマナー違反とされている。 それなのに皇太子であるウィルモットは、婚約者のセレスティンを置き去りにして、カトリーヌにファーストダンスの相手として申し込んだのだ。 ショックを隠せないセレスティンに、追い打ちをかけるようにカトリーヌは、戸惑いながらもその手を受け入れてしまった。 彼女は平民なので、正式なマナーを知らなくても当然だ。なのに……。 ウィルモットは、嬉し
思わずそのハンカチをギュッと抱き締めてしまう。ドキドキと心臓の鳴る音を聞きながら。それが彼・レンデルの印象に残った瞬間だった。「また……会えるかしら?」 しばらく、そこで立ち尽くしていた。 それがレンデルとセレスティンの運命を変えるとは知らずに。 それから1ヶ月後。何者変わらずに忙しく過ごしていた。 ウィルモットは相変わらず令嬢達と親しくしているようだ。態度もそのままで特に変化のない毎日。 しかし、何やら廊下が騒がしかった。バタバタとしており、メイドたちも落ち着かない様子。(何かあったのかしら?) セレスティンは、近くで警備をしていた騎士に聞いてみることに。「どうかしたの