공유

対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら
対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら
작가: さいだー

1話

작가: さいだー
last update 게시일: 2025-06-06 19:37:20

夏休みが始まり、何日か過ぎ去った何ら特に予定のない平日。桐生陽葵《きりゅうはるき》は嫌な思いでを払拭する事ができず、ダラダラと部屋で過ごしていた。

昼ごはんを食べて、外は暑いしなー昼寝でもしようかなーと思っていた矢先、唐突にスマホが振動をした。

吉岡あたりがまたアニメやらアイドルやら俺にはよくわからないが、推しを熱く語るメッセージでもよこしたのかと思って、少し辟易とした気持ちになりながらスマホのスリープを解くと、メッセージは全くの別人から届いていた。

メッセージの送り主は笹川秋斗《ささがわあきと》。

サッカーをやっている爽やかな青年で、物心がつく前からずっと一緒に過ごしてきた幼馴染だ。

推薦で県外の高校に進学をしてしまってからのここ数ヶ月は、すっかり疎遠になってしまっていた。いったいなんの用だろうか?

メッセージを開いて見ると、そこにはこう書かれていた。

『あまり時間はないんだけどさ、こっちに帰ってきたからせっかくだからこれから会わない?』

断る理由は無い、むしろ久々に俺だって会いたかった。でも、部屋から出る気力が無かったから、「家にいるから来てくれ」と返信すると、すぐに既読がついて最近流行っているらしい、可愛らしいアニメのスタンプで『OK』とだけ返ってきた。

それを確認したあと、すぐにスマホをベッドに放り投げうだうだと過ごしていると、程なくして秋斗がやってきた。

「よう陽葵《はるき》、久しぶりだな!」

そう言いながら俺の部屋に上がり込んできた秋斗は数ヶ月前より少し体格がガッチリしたように見えた。

普段からかなり鍛えているのだろう、健康的にこんがりと揚げパンみたいに日焼けもしていた。

エアコンの設定温度は二十六度にしているはずなのに、秋斗が入ってきた瞬間に部屋が熱気を帯びたような気がした。

いや、間違いなく体感温度が上がったから、設定温度を二十四度まで下げてから起き上がった。

「よう。相変わらずサッカー頑張っているみたいだな」

「おう。サッカーだけじゃねえぞ。勉強も前より頑張るようになったし、恋愛だって頑張っているぞ」

ニカッと口角を上げて笑う秋斗に俺は違和感を覚えた。

苦手なりに勉強は以前から頑張ってはいた。

しかし、サッカーバカの秋斗が恋愛?

一体何が起こったのか、まさか変な女に騙されているんじゃないだろうなと少し不安な気持ちがよぎる。

小さな頃から男女問わず友達が多かった印象はあるけれど、秋斗から誰が好きだの、惚れただの聞いたことは一切無かった。良くも悪くも男も女も同じように扱っていた。

「恋愛って……秋斗。お前、そんなキャラじゃ無かっただろうよ」

「まあな。色々、心境の変化があってよ」

そう言って秋斗は部屋の中央に置かれているローテーブルもとい、こたつ布団無しのこたつ前にドカット腰を下ろした。

「心境の変化って、なんだよそれ」

「俺達ももう高校生なんだからさ、そろそろそういう経験もしたほうが良いだろ」

「……まあ、それもそうか」

ごもっともな事を言われて返す刀を失ってしまった俺は、頷く事しか出来なかった。

秋斗とは違い、地元に残った俺の周りでは、秋斗と同じように急に彼氏、彼女を作り始める奴が増えた事が脳裏をよぎる。

たしかにそうなのかもしれないな。俺はまだそういうのは興味というか、この前の失敗のせいで敬遠をしているけれど、いつかはまた、そう思う日がやってくるのだろうか。

俺がおかしいのかもしれないな。

考えを改めて質問を変えることにする。

「どんな子なんだよ」

「ああ。サッカーの練習をよく見に来てくれる子でさ、笑顔がとても可愛いんだ」

屈託のない笑顔でそんな事を言われると逆にこっちが小っ恥ずかしくなってくる。

少し俯き気味に「そうなんだ」とだけ答えると秋斗は彼女の話を色々と聞かせてくれた。

幼馴染の恋バナを聞かされるのってこんなに心がざわつくんだな。初めての感覚にどう対処して良いか分からずに適当に相槌だけを打ってしばらく話を聞いていた。

どうやら秋斗は今の彼女にそうとう熱を上げているらしい。

「そのうち陽葵にも紹介するからさ。……そうだな、陽葵も彼女作って、俺の試合見に来てくれよ」

「ハハハ。俺に彼女?想像もつかないなあ。でも、試合はいつか見に行くよ」

なるべくなら涼しくなった頃、秋に見に行こうかな。暑い中観戦してたら倒れる自信しかない。

「どうなるかなんてわからないだろ。……そうだ」

秋斗は何か思いついたように、背後に置いたエナメルカバンをゴソゴソと探り出す。

そして、一冊のハードカバーの本をこたつの上に置いた。

「これ、俺にはもう必要ないからな。秋斗にやる」

「なんだよこれ?」

その本のタイトルはズバリ『恋愛心理戦──恋愛心理学を制す者は青春を制す──』。

口にするのも恥ずかしいタイトルである。

「有希ちゃんにアプローチしたかったけど、ずっとサッカーしかしてこなかったし、どうしたらいいか分からなかったから、これを買ったんだ。そしたらズバリ大成功だ」

そう、爽やかな笑顔にサムズアップしてみせるが、こいつの顔で、高身長、スポーツマン。サッカーの練習を見学に来ていた程の女の子。

それら全てを踏まえて考えると、これがなくても上手く行っていたんじゃないかと思えてしまう。

いや、きっと上手くいっていただろう。

しかし、せっかくの努力を否定してやるのもおかしな話だよな。

俺の人生にな毛ほども約に立たないだろうけど、秋斗の努力を卑下する気にはなれなかった。

だから俺は読む事はないであろうその本を受け取った。

「ありがとうな」

「おう!秋斗も頑張って彼女作って試合見に来いよ!」

「ああ。そうだな」

「っと、そろそろ行かねえと。明日から合宿なんだ」

「それでその大荷物なわけか」

秋斗の背後に置かれているエナメルカバンに目を向けてそう言うと、彼は頷く。

「じゃあ、合宿が終わったて来れるようならまた来るわ」

「おう。頑張ってな」

そう言って秋斗を送り出した。

すっかり静かになってしまった部屋に、ゴーとエアコンが唸るように冷房の音だけが響いていた。

「……ちょっと寒いから設定温度上げるか」

そうして肌寒い部屋には、秋斗の残温、そして俺と、読むことのない痛いタイトルの本だけが残された。

이 작품을 무료로 읽으실 수 있습니다
QR 코드를 스캔하여 앱을 다운로드하세요

최신 챕터

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   97話

     乾杯の声が狭いワンルームに弾けた。 六畳にローテーブル一つ、ソファなんて高価な物はないから畳に直に座る。 キッチンの換気扇がうなり声をあげ、窓の外では近所の犬が遠吠えを上げていた。まるで俺たちの打ち上げをお祝いするように…… 買い込んできた総菜のパックがひしめき合って、唐揚げ、ポテサラ、枝豆、コンビニ寿司、なぜか甘いプリンまで並ぶ。 冷蔵庫の野菜室から引っ張り出されたペットボトルが汗をかき、コップは足りないので紙コップに名前を書いた。壁際には乾いた洗濯物のハンガー。ベッドは布団を上げて畳んであり、その上に学校鞄が二つ。凛の生活の全部が、狭い四角にぎゅっと詰まっている。「改めて、謹慎前夜に────かんぱーい!」 エマが音頭を取り、紙コップが触れ合った。パシ、と軽い音。「「「かんぱい」」」 吉岡は遠慮なく唐揚げに箸を突き立て、梅田はプリンを見つめ、竹田は缶のプルタブを器用に開ける。 陽川は最初、座布団に正座していたけれど「足がしびれる」と小声で言ってあぐらに変えた。凛は湯呑みみたいに紙コップを両手で包む。「でさ、処分どうなるのかなあ……」と唐揚げをほうばりながら吉岡。「けんちゃん。行儀が悪いよ」と陽川。「覚悟を決めるしかないんじゃないかなあ」と半笑いでエマが変わりに答えた。「覚悟は……まぁ……」 吉岡は語尾を濁して唐揚げをもう一個口に放り込んだ。「唐揚げで覚悟を決めるな」 俺が突っ込むと、エマがクスクス笑った。 そんな軽口が二、三巡したあとだった。エマが唐突に手を叩く。「はい注目。ここで本日のメインイベント~」「……いや、もう終わっただろ。トークショーは」「違う違う。恋バナ。みんな、知らないんでしょ? 桐生くんと凛ちゃんの“アレ”」 紙コップを持つ手が止まる音が、一斉にあった気がした。「アレ?」竹田の目がきらり。「アレって何……?」梅田はプリンのスプーンを宙で止める。「え……えぇと、その」凛はコップを胸元まで引き上げ、俯いた。「え、え、何それ。マジでニュース?」吉岡がソワソワし、陽川は無言でこちらを見る。目だけで「説明」と言ってくる。 エマはわざとらしく咳払いを一つして、にこっと笑った。「凛ちゃんが桐生くんに告白したんだよね?」「ぶふっ!?」吉岡が炭酸を吹き出し、竹田と梅田が同時に「えぇぇ~!」と声を上げる。凛

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   96話

     生徒指導室へ続く薄暗い廊下を、俺たちは縦一列に並んで歩いた。 前から順に、俺、エマ、凛、陽川、吉岡、竹田、梅田。前後には見張りの先生が二人。はたから見たら完全に護送だ。「ねえ桐生くん、これってさ……」 小声でエマ。「囚人移送ごっこじゃないからな。現実だよ」「うわ、辛辣」「二人とも喋るな」「「はい」」ピリッとした雰囲気を帯びた体育教師が振り返り注意をしてきたら、そう返事をするしかなかった。 曲がり角を抜けるたび、好奇と不安の視線が飛んでくる。「なにしたの?」「配信炎上組?」みたいなヒソヒソ声が背中を刺す。 吉岡が俺の肘を小突いた。「なあ姫、俺らって……ニュースに出る?」「こんなことでニュースになってたら世の中のメディアはきっとパンクしてしまっているわ」 注意されても喋るのをやめない俺たちに呆れたのか体育教師は大きな咳払いをした。それを受けて吉岡も陽川も黙った。吉岡に関しては本来関係ないはずなのに悪いことをしてしまったなとも思ったが、責任者は責任を取るためにいるんだよな。 生徒指導室の扉が開く。中には、腕を組む理科ちゃんと、書類を持つ横島先生。二人の背後の窓から、傾いた光が床に長い影を落としていた。「座りなさい」 全員が並んで座ると、理科ちゃんが机を指で二回、コン、コンと叩いた。鼓動がそこに重なる。「質問するわ。────誰の指示?」「わた────」 陽川が声を名乗り出ようとすると、全員の視線がいっせいに俺へ刺さる。知ってた。 俺は椅子から半分浮いて、軽く頭を下げた。「……俺です」 理科ちゃんは鼻で笑った。「無断で外部者を呼び、宣伝をし、集客を煽動した。学園祭は学校の行事なのよ。私物化するのはよくないよね」「結果的にですけど……来場者は増えました」 エマが、笑っていない笑顔で口を挟む。「お黙りなさい」 机がびしりと鳴った。エマは「はーい」と肩をすくめ、凛がびくっとする。 先生の視線が俺に戻る。「桐生くん。君は危険性を考慮したの?怪我人が出たらどうする。責任は誰が取る」「……そこまで、考えが、足りませんでした」 横島先生が、ふっと息を吐いた。叱責のための息ではなく、場を落ち着かせるための、あの息だ。「状況を整理する」 横島先生が書類をちらりと見る。「志津里アイリさんと、その同行者には先ほど帰ってもら

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   95話

    「陽川!」 扉を開けた先には、こめかみを押さえた陽川が立っていた。「まったくあなたたちは……教室の前で話していたら嫌でも耳に入ってきちゃうじゃないの」 どうやら俺たちの相談は全て丸聞こえだったらしい。「竹田さんに梅田さん。あなたたちはもっと冷静な人だと思っていたわ。残念だわ」 ピシャリと告げる声に、教室の空気が一気に張り詰める。 けれど、ここで退いてしまったら全てが水の泡になる。「……陽川、聞いてくれ。俺たちは本気なんだ」 俺がそう言うと、陽川は鋭い目をこちらに向けた。「本気?今さら三時間もないのに?観客を集めて、進行もして、何事もなく終われるとでも思ってるの?」 言葉は正論で、ぐうの音も出ない。 だが、ここで怯んでいる場合じゃない。「……でも、私たち、やりたいの」 一歩前に出たのは凛だった。 彼女は真剣な眼差しで陽川を見据え、声を震わせながら続ける。「誰も来てくれなくて悔しかった。準備を頑張ったのに、報われないのは嫌なの」 陽川の眉が、わずかに動いた。 その揺れを見逃さず、エマが軽やかに口を挟む。「そうそう!このまま灰色の文化祭で終わるなんて、私たちらしくないよね?」 ふざけているようで、その笑顔には本気の熱が宿っていた。 凛の直球と、エマの軽口。二人の声が合わさって、重い空気を少しずつ溶かしていく。「……だけど、人はどうやって集めるの?宣伝なんて、もうできるはずもないし」 陽川は最後の砦を崩させまいと、冷静さを装った。 しかし────「拡散なら任せて!」 梅田が勢いよく手を挙げ、スマホを取り出した。「うちのフォロワー三千人いるんだよ!【志津里アイリが緊急トークショー】って書き込んだから、絶対話題になる!」「私だって二千はいるし!」竹田も負けじと画面を操作し始める。「森流祭のハッシュタグで回せば、地域の人も見るでしょ!」 ふたりは指をすべらせ、矢継ぎ早に投稿を投げていく。 タイムラインには「え、アイリが来てるの!?」「マジで!?」と興奮したコメントが次々と流れた。「ちょ、ちょっと待って!勝手にそんなこと────困るわ……」 陽川が慌てて止めようとするが、もう遅い。 リツイート数はうなぎ登り、あっという間に桁が一つ増える。拡散されてしまったものがもう元に戻らないということは陽川だって、俺は凛だって経験

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   94話

     アイリの言葉で空気が少し和らいだ気がした。 さっきまで固くなっていた凛の肩も、ほんの少しだけ落ち着きを取り戻しているように見える。「……協力してくれるのか?」 俺が確認すると、アイリは俺から目を逸らしながら頷いた。「あなたには借りもあるし。協力をしてあげる」 態度とセリフが伴っていない。こいつも素直じゃないんだな。 ストリーの正体を引き受けてくれたアイリ。むしろ借りがあるのは俺の方なのに。「こんなこと言ってるけど、居ても立ってもいられなくなって出てきたんだ許してやってくれ」 秋斗はそう言いながら肩をすくめる。「ちょ、ちょっと!」 アイリは秋斗のセリフを慌てて否定しようとするが、秋斗に真っ直ぐ見つめられると、頬を赤らめて黙った。 凛もそのやり取りに安心したのか、小さな声で「よかった」と呟いた。「じゃあ……あとは姫ちゃんだね」  陽川を説得しなければ、いくら俺たちが団結してもこの計画は実現できない。 その重みを感じ取ったのか、誰もすぐには言葉を発せなかった。 沈黙を破ったのは、アイリだった。「なら、すぐに行きましょう。迷っている暇なんてないもの」 俺はスマホを取り出し、エマにだけ短くメッセージを送った。 ────教室に来てくれ。大事な話がある。 送信を終えると同時に、俺たちは屋上を後にした。 狭い階段を下り、ざわめきに包まれた廊下を歩く。 外からは模擬店の片付けを始める声、焼きそばの焦げた匂いが漂ってくる。 教室前に着いたとき、ちょうど当番が交代するタイミングだった。 扉から出てきたのは竹田と梅田。竹田は俺たちの姿を見て、声をかけていた。「あなたたち、なにかやらかそうとしたんでしょ?陽川さんが愚痴をこぼしてたわ」「……まあ、ちょっとな」 言葉を濁して誤魔化そうとした。だけど、それをアイリが遮った。「あなたたちも桐生のクラスメイトなのでしょう?だったら協力しなさい」 アイリの態度を受けて、竹田はムッとしたような表情を見せたが、梅田が耳打ちをした。「……ねえ、この人、志津里アイリじゃない?」 内緒話をしているつもりなのだろうが、全てダダ漏れだ。 唐突に目の前に現れた芸能人を前に興奮を隠せなかったのだろう。 しかし──── 「芸能人だろうが関係ない。あなたなんなの?どういうつもり?」 高圧的に迫られた

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   93話

    「……実は、俺、アイリのトークショーを推しとして発表しようとしてたんだ」 凛の問いに、しばらく沈黙していた俺はついに口を開いた。「でも横島先生に気づかれて、止められた。根回しもしないで突っ走ったから、無理だって」 凛は驚いたように目を見開いたが、やがて真剣な表情に変わった。「……陽葵がやりたいなら、私は協力するよ……でも、どうしてそんなことをやりたいと思ったの?」 きっと凛に嘘をついたって見破られる。だから全て本当のことを話そう。「ああ、それは────最初は、クラスで発表する【推し】についてなんにも思い浮かばなかったんだ。だから、それを誤魔化すためにアイリにお願いをすることにしたんだ────」 俺は凛から視線を外して、空を眺めた。そこには高い高い秋の空と、ゆったりと浮かぶ雲の姿があった。「でもさ、クラスのみんなで協力して【推し発つ】について取り組んでたらさ、少しずつ俺の考えも変わってきたんだ。こんなに一生懸命やっている奴らのために1番を取らせてやりたいなって。この学校の全部のクラスを見回したって、俺たちくらい情熱を持って取り組んでいたクラスはないと思うんだ。凛もそう思うだろ?」 凛は少し考えるように首を傾げた。そして、少しの間があって口を開いた。「……うん。私もそう思う」「凛だってあんなに一生懸命頑張ってたもんな。竹田と組まされるなんて最悪だったろうにさ」「今はもう、仲良しだよ」 たしかに、最後のほうは竹田も凛に敵対的な行動はとっていなかった。俺の相棒だった梅田だってそうだ。「最初は俺と凛の問題もあったから、こんなクラスって気持ちが強かったけどさ、今は違うんだ。こいつらに、いや、こいつらとテッペン取りたいなって」「うん。そうだね」「陽川がストリーでやらかした時、校門の前に人が凄い集まったろ?この分だと今は中身だってことになっているアイリは芸能人でもある。SNSで告知なんてしたら多分どえらいことになるぜ」「うん」「そしたらさ、きっとうちのクラスが後夜祭で最優秀クラスに選ばれるんだ」「うん」「陽川なんて、凄い入れ込みようだから喜ぶだろうな」 「そうだね。……まずは、どうしたらいいんだろう」「そうだな。まずはアイリの説得からかな。多分もうやらなくていいものだと思っていると思うから」 その瞬間だった、俺の横の扉のドアノブがガ

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   92話

     1-Dの教室前は我がクラスとは違い、多少の賑わいはあった。 模造紙にペンキで殴り描きした「お化け屋敷」の看板が、かろうじて風に揺れている。「……なんか、チープだね」 思わず凛の口をついて出た感想に、俺は笑ってしまった。 なにせ、それは昨日エマとこのお化け屋敷を訪れた時に発した言葉だったのだから。 でも、それは黙っておいたほうがいいだろう。なんとなくそう思った。「そうだな」「……入る?」「凛が入りたいなら、そうするか」「う、うん」 何組かの入場を見送ったあた、受け付けにチケットをもぎって渡し、俺たちは黒いビニールシートの入り口をくぐった。 中は窓という窓が黒布で覆われ、照明もろうそく風の豆電球が点々と並ぶだけ。昼間だというのに、足元が見づらいほどの暗さだ。 背後で入り口が閉じられると、凛がびくりと肩を跳ねさせた。「暗いところが苦手なのか?」「べ、別に……ちょっとびっくりしただけ」 そう言いながらも、凛の袖口が俺の手首に触れるくらい近づいてきている。 凛に暗いところが苦手なんてイメージはなかったな。一人暮らししてるわけだし。 通路の両脇には、新聞紙とガムテープで作った人形が並べられていた。 小学生、良くて中学生向が悪ふざけで作ったようなでき。でも、それが逆に不気味さを演出している。狙ってやっているのならすごいな。「……誰も出てこないな」 油断しかけたその瞬間。 ガサッ。 ビニールが揺れ、白い顔のお面をつけた誰かが飛び出してきた。「っ……!」 凛が小さな悲鳴を上げ、反射的に俺の腕にしがみついてくる。 彼女の指先が、制服越しに肌に食い込んだ。「お、おどかすなよ……」 俺が苦笑すると、演者はすぐに引っ込み、また闇に溶けていった。 小声で「また別の女と来てやがる。ちくしょう」と呟いていたような気がした。もしかしたら彼は昨日の彼だったのだろうか。 凛は腕をつかんだまま、下を向いて息を整えている。 鼓動の速さが、手首越しに伝わってくる。「……陽葵は、平気なんだ」「いや、びっくりはしたけどな。声は出さなかっただけ」 昨日も同じ目に遭っているとは言えない。言えるはずがない。 そう答えると、凛がかすかに笑った。その笑顔は出会った当初より自然に笑えていた。 そんな仕草を見て、普通に可愛いと思ってしまった。凛にこんな感

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   83話

     エマに指定された待ち合わせ場所、例の踊り場に早々にたどり着き、すでに1時間以上経過している。 なにせ、エマの当番が終わるのが俺と凛の2組後、一組が30分交代制になっているから、そもそも来るはずがないのだ。 それなのに俺は、はやる気持ちを抑えられず、吉岡に声をかけられたのも無視してここに座っている。 吉岡は陽川から逃げ回っているようで、俺と周る口実を作りたそうにしていたから、逆に陽川に吉岡の居場所をメッセージで教えてやった。 きっと今頃陽川は、吉岡と楽しい学園祭を送れているはずだ。 吉岡がどう思っているのかは知らない。 緊張を誤魔化すためにエマとはなるべく関係のないことを考えてい

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   51話

    「なあ、もし、ブラックホールに人が近づいたらどうなると思う?」『ブラックホールに人が近づいた場合、スパゲティ現象によって糸くずのように体が引き伸ばされます。また、ブラックホールの強い引力によって引き寄せられたら光すらも抜け出す事ができません。さらに、ブラックホールに近づきすぎると、歪みによって時間が永遠にも感じられる程に引き伸ばされます。よって、ブラックホールに、人が近づいた場合、糸くずのように引き伸ばされ、そこから離れる事もできずに、暗闇に囚われ、引き伸ばされた永遠とも感じられる時間を味わう事になるでしょう』「ふーん。だったら、そこに放り込みたい友人がいるんだけど、どうやればいい?」

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   10話

    「お、おまたせしました」 扉が開き、少し顔色の良くなった滝沢が顔を出した。「おう」 お風呂で暖まった効果が出ているようで良かった。  再度部屋に上がり込み、滝沢に促されるままにテーブルの前に置かれている座布団に腰を下ろした。「……む、麦茶で良い?紅茶もあるけど……」「なんか悪いな。滝沢が楽な方で良いよ」 滝沢がもう大丈夫そうなら長居するつもりはなかったのだけれど、善意を無下にするのも悪い気がしてそう答えた。「……うん」 コクリと頷きながら返事をしたあと、テトテトとした足取りで玄関横の台所へ向かっていった。 足取りをみる限り、体調の方は大丈夫そうだな。 あまりジロジロ見る

  • 対人スキルゼロの変人美少女が恋愛心理学を間違った使い方をしたら   9話

    「ここ」 滝沢が指差したのは、公園から歩いて十分程の場所にあるボロボロの二階建てのアパートだった。 照明は所々切れているし、鉄の階段はかなり錆びていて、今にも底が抜けそうだ。 これが……?と喉元まで言葉が上がってきたのだけれど、それは失礼な事だとすんでの所で踏み止まった。 「……何階だ?家の人は?」 「に、二階。一番奥の部屋。誰もいない」 この時間は出かけている、と言う事か。 恐る恐る階段を登り、部屋の前で立ち止まると、滝沢は玄関横にあるガスメーターを指さした。 「鍵。そこにある」 一度、ゆっくりと廊下に滝沢を降ろし、ガスメーターの下を覗き込むと、底の隙間に差し

더보기
좋은 소설을 무료로 찾아 읽어보세요
GoodNovel 앱에서 수많은 인기 소설을 무료로 즐기세요! 마음에 드는 작품을 다운로드하고, 언제 어디서나 편하게 읽을 수 있습니다
앱에서 작품을 무료로 읽어보세요
앱에서 읽으려면 QR 코드를 스캔하세요.
DMCA.com Protection Status