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帰国したその日、妻は俺をパトロン扱いした
帰国したその日、妻は俺をパトロン扱いした
Autor: 卵とトマト

第1話

Autor: 卵とトマト

国内の警察は対応が早かった。

卒業式の会場を出た途端、俺は警察官に呼び止められた。

身分証や結婚を証明する書類を提示し、事情を説明すると、ようやく警察も納得してくれた。

警察が立ち去るとほぼ同時に、スマホが震える。

送信者は妻の相沢遥だった。

【誠、さっきのことにはちゃんと理由があるの。だから変に考えないでね。

先に家で待っていて。帰ったら全部説明するから】

短いメッセージだった。

それを見つめた瞬間、不思議なくらい待つ気持ちがなくなっていた。

遥と結婚して間もない頃、彼女は博士課程へ進みたいと言った。

妻とその家族に少しでもいい暮らしをさせたくて、俺は大学時代の友人とともに海外へ渡り、働く道を選んだ。

あの頃の俺は、自分の生活を切り詰め、稼いだ金のほとんどを遥へ送り続けていた。

ただ、彼女に少しでも不自由のない生活を送ってほしかったからだ。

そして去年、AIブームの波に乗り、俺が開発した製品が次々とヒットした。

そのおかげで会社を立ち上げ、わずか一年で急成長を遂げ、業界でも注目される新興企業へと成長した。

今回帰国したのも、本社を国内へ移し、ようやく妻や家族と一緒に暮らそうと思っていたからだった。

起こり得る問題はすべて想定していた。そのための対策も、できる限り用意してきた。

それでも、唯一予想できなかったことがある。

その想定外が、遥自身だった。

タクシーを拾おうとしたそのとき、ポケットのスマホが再び鳴る。

親友の高瀬礼(たかせ れい)からだった。

「もう着いたんだろ? いつもの店で待ってるから、早く来いよ。今日はお前の帰国祝いだ」

通話を切ると、俺はタクシーで「路地裏バー」へ向かった。

礼たちはすでに店で待っていた。

俺の姿を見つけるなり、礼が満面の笑みで立ち上がる。

「やっと誠が帰ってきたな。ほら、こっち座れ」

席に着くなり、俺は目の前にあった酒を一気にあおった。

そんな様子を見た礼が苦笑しながら肩をすくめる。

「どうした? せっかく帰国した初日だってのに、そんな暗い顔して。独り身が長すぎて、寂しくなったか?」

その言葉に、俺は思わず目を瞬かせた。意味が分からず、礼の顔を見返す。

「独り身って、何の話だ? 俺は何年も前に結婚しただろ。お前も知ってるはずだ」

礼は驚いたように目を見開いた。

「お前、離婚したんじゃなかったのか? 2年前、うちの嫁が出産したとき、隣の病室にいたのが遥だったんだ。あいつ、自分で『もう離婚した』って言ってたぞ」

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