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35.二人の想い

Auteur: 望月 或
last update Dernière mise à jour: 2025-04-22 15:48:19

「今日は良い天気だ。雲一つ無いぜ。あぁ、鳥が羽ばたいてった。気持ち良さそうに飛んでたな」

「ふふ、そっか」

 草原の道を、ヴィクタールはリシュティナの細い指に自分の指を絡ませながら歩く。

 リシュティナはヴィクタールの言葉を聞きながら、優しく微笑んでいた。

 心地良い風が、彼女の前髪を揺らす度、光の無い蒼色の瞳が見え隠れする。

 それでも、その瞳は吸い込まれるようにとても綺麗だった。

 ヴィクタールが景色よりもリシュティナを眺めている時間の方が多い事は、見えない彼女には気付かないだろう。

 ふと、リシュティナがヴィクタールを見上げて、ふわりと笑った。

 途端、ヴィクタールの心臓が大きく跳ねる。

「ヴィル、ありがとう。私の為に、どんな景色か教えてくれてるんだね」

「あ……あぁ」

「だから……楽しいよ、私。とっても」

 目を細め、嬉しそうに微笑むリシュティナに我慢出来ず、ヴィクタールは彼女の身体を引き寄せ抱きしめた。

「えっ?」

 瞬間、彼女の頬が真っ赤に変わった。

「も、もうっ! 外ではいきなりやらないでって言った!」

「あぁ、悪ぃ……。お前が可愛過ぎて我慢出来なかった」

「!!」

 正直に告げると、リシュティナの顔が更に朱に染まる。恥ずかしがる彼女も可愛くて堪らない。

 自分の腕の中に一生閉じ込めていたい思いに囚われ、バタバタと身体を動かす彼女を深く抱き込んだ。

 ――あの時。

 元婚約者に裏切られ、“恋”だの“愛”だの、『好き』だの『愛してる』だの、もう沢山だと辟易した。

 けれどリシュティナと出会い、いつの間にか自分の中は彼女で埋め尽くされ、彼女無しではいられないようになった。

 “恋”や“愛”という陳腐な言葉では言い表せない、『好き』だの『愛してる』だの、そんな軽い言葉で言い表したくない、酷く深く重く熱い想いが自分の胸を焦がした。

 その熱情に身を任せ、彼女の滑らかで柔らかい身体を余す事無く貪り尽くしたい気持ちに必死になって蓋をした。

 こんな強い欲望があったなんて自分でも驚いた。

 懸命に我慢はしているが、想いは留まる事を知らず、きつく閉じた蓋から少しずつ漏れてきて。

 手繋ぎから抱擁、そして額への口付けと、彼女への欲が止まらず出てきてしまっていて。

 それ以上は彼女が自分を好きになるまで駄目だと、最後の砦のように理性を最大限にして抑えている。

 彼女が一
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