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第109話

Author: ASAMI
last update Petsa ng paglalathala: 2026-09-26 19:23:31

秋の深まりを感じさせる冷たい雨が、都内にある地方裁判所の重厚な外壁を濡らしていた。

傍聴席の最前列に腰掛けた私は、膝の上に置いた右腕を左手で静かに押さえていた。

リハビリを重ねているものの、雨の日は傷口の奥がまだ重く疼く。

けれど、その痛みすらも今の私には、生きている実感であり、彼から託された自由の証だった。

「被告人、入廷」

裁判長の声とともに、法廷の側面のドアが開いた。

刑務官に付き添われて姿を現したのは、神崎蓮だった。

黒のシンプルなスーツに身を包んだ彼の身体は、以前よりもいっそう痩せて見えた。

けれど、その背筋はすっきりと伸び、かつて私を恐怖で縛り付けた冷酷な暴君の面影はどこにもない。

そこには、己の犯した罪のすべてを受け入れ、贖罪の道を歩むと決めた一人の男の静かな覚悟だけがあった。

証言台に立った彼が、チラリと傍聴席へ視線を向けた。

私と視線が交差する。

傷ついた私の右腕に気づいた瞬間、彼の瞳が一瞬だけ激しく揺れ、胸を痛めるような切なさが走った。

だが彼はすぐに小さく深く頷き、まっすぐに正面の裁判官を見据えた。

検察官から読み上げられる罪状の数々。

神崎家による不正取引、監
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