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彼は結婚から逃げたけど、私は何も感じられなかった
彼は結婚から逃げたけど、私は何も感じられなかった
Author: 青色の凡鳥

第1話

Author: 青色の凡鳥
英司は説明の電話すら一本もかけてこなかった。

翌日、私は彼の近況を初めてSNSのタイムラインで知った。

投稿時間は深夜3時。

添えられていたのは手をつないだ写真。

「俺の人生は駒のように進み続けた。それでも二度、君のために立ち止まった」

迷いなく「いいね」を押し、コメントを残した。

「お幸せに」

スマホを置いた瞬間、着信音が鳴り響く。画面には「夫」と表示されていた。

きっと私のコメントを見て、弁解するために電話をかけてきたのだと思った。

だが、通話ボタンを押した途端、聞こえてきたのは甘ったるい女の声だった。

微かな咳払いが混じる、壊れたガラスのようなかすれ声。

「如奈さん、けほっ、けほっ......私です、明美です」

最後の希望が胸の奥で音を立てて崩れた。

不快感を押し殺しながら冷たく言い放った。

「何の用?」

普段なら彼女が夫の電話を使っていることに詰問するところだが、今日はその気すら起きなかった。

相手は数秒間戸惑った後、口を開いた。

「英司さんが私の体を拭くためにお湯を汲みに行ったんですけど、電話を置き忘れたみたいで......本当におっちょこちょいですよね」

「如奈さん、昨日は......まさか病気がぶり返すなんて思わなくて、あなたと英司さんの結婚式を邪魔してしまいました」

「どうか、彼を責めないでください」

息も絶え絶えな声が続いた後、英司の優しい声が聞こえてきた。

「明美、どうして起きたんだ?横になりな。彼女には俺が説明するから」

「けほっ、けほっ......英司さんったら、私がちょっと具合悪くなるだけで泣きそうになるくらい心配するんだから。そんなに大したことじゃないのに」

明美が弱々しいふりをする手口には慣れきっていたので、これ以上の展開に興味はなかった。

ただ、二人して自分たちの愛を深め合うのに、わざわざ私を巻き込む必要はあるのか。

吐き気を催すような台詞は次々と繰り出される。

「君のことは絶対に守る」

英司の声にはかつて私にも向けられた優しさがあふれていた。

「わかってるよ、英司さんが一番私に優しいって」

「いいから、言うことを聞いて。先に結婚式を済ませておいでよ。如奈さん、あの結婚式を七年間ずっと待ってたんでしょ?今度こそちゃんと約束を守って、式には行かないようにするからさ......ね?」

最後には彼女の声が涙声に変わった。

英司は申し訳なさそうに彼女を宥めた。

「いいよそんなの、もう結婚式はやめにするよ」

「もう長い間夫婦なんだから、そんな形だけのことは必要ないだろう」

何か言おうとした瞬間、手が震え、スマホが落ちそうになった。

英司がそんな穏やかな口調で、私の心を容赦なく刺してきた。

胃が急にひっくり返ったような感覚に襲われたが、私はその衝動を抑え、冷静に笑みを浮かべた。

「そっちに話したいことが山ほどあるみたいだし、私はこれで失礼するわ」

「英司、あんた普段家にいないけど、どこにいるのか知らないわけじゃない。離婚届は明美の家に送るから、ちゃんと受け取ってサインしてね」

電話を切る前に向こう側から怒鳴り声が聞こえてきた。

「お前、毎日怨女みたいに離婚離婚って口にして楽しいのか?」

「昨日は突然のことで俺にどうしろって言うんだ?あの時、明美が死ぬのを見て見ぬふりをするというのか?」

私は唇をわずかに引き上げ、何も言わなかった。

これまで、彼はいつも冷たい沈黙で私たち三人の関係を放置してきた。

大抵の場合、私は泣き叫び、彼は静かにタバコを一本また一本と吸い続けた。

しかし今日、彼の怒声は長い間溜め込んできた感情を爆発させたようだった。

約束を破られたのは私なのに、何で彼が怒っているのだろう。

しかも、これまで聞いたことのないような評価を投げつけてきた。怨女?

彼は知らないのだろう。不幸な結婚生活が女性を「怨女」に変えるのだということを。

英司との出会いから十年、婚姻届を出してから七年。

私は彼と一緒にゼロから会社を上場させるまで支え続けてきた。

苦楽を共にしてきた私は、もはや色褪せたバラのようだった。

過去の全てが、この二文字の前では無価値に成り下がる。

「英司、離婚届にサインしないなら、法的手続きを取るわよ」

もう疲れた。

どれだけ未練があろうと、今回は自分を守るために手を引くと決めた。

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