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第185話

مؤلف: 藤崎 美咲
結衣の表情がわずかに引き攣る。「彼女、そんなことまでしたの?でも……どうしてそれが彼女だってわかったの?」

花音は鼻で笑った。「あの日、私が会ったのはあなたとお兄ちゃんだけよ。じゃあ、あとは誰がいるっていうの?あなたと兄さんが私を陥れるはずないし」

結衣の瞳が一瞬だけ揺れたが、何も言わなかった。

花音はさらに言葉を続ける。「しかも腹が立つのは、その日、私は本気で彼女が優しくしてくれてるって信じそうになったのよ。まさか全部演技だったなんてね。きっとお兄ちゃんにも同じ手を使ったのよ。あんな女、絶対にお兄ちゃんのそばにいさせない」

「ねえ結衣さん、そう思うでしょ?あんな打算的な女、うちの冬川家の敷居なんてまたげるわけないでしょ」

花音は顔を上げ、結衣に問いかけた。

結衣は乾いた笑みを浮かべる。

花音は彼女の微妙な反応に気づかず、勢いよく続けた。「結衣さん、安心して。お兄ちゃんがこれ以上惑わされるのを、私が絶対に止めるから。私が選ぶお義姉さんは、心がきれいで、お兄ちゃんにも私にも優しい人じゃないとダメなんだから」

そう言いながら、花音は拳を握って「任せて!」とでも言うようにポーズを取った。

結衣は口元を引き上げて、かすかに笑う。

けれど、その無邪気な仕草を見つめながら、胸の奥に小さな違和感が残った。

――花音は本当に、自分を疑っていないのだろうか?

それとも、さっきの言葉は探りを入れるためだったのか?

その頃、寿宴には多くの客が訪れており、ホテルの駐車場はすでに満車になっていた。星乃は地下駐車場を一周してようやく空いているスペースを見つけ、車を止めた。

エレベーターでロビーへ向かい、ドアが開いた瞬間――入口に立つ律人の姿が目に飛び込む。

今日の彼は、深いワインレッドのスーツに身を包み、もともと整った顔立ちがいっそう際立って見えた。

高い鼻梁の上にはいつもの金縁の眼鏡。だが、不思議なことに、以前よりもどこか柔らかく、上品な印象になっていた。

まるで別人のように穏やかで、どこか優雅さを纏っている。

星乃は思わず目を見張った。

その変化にも驚いたが、もっと驚いたのは――彼がこの場にいるという事実だった。

たとえ最近は冬川家の宴に顔を出すことが少なくなっていたとしても、噂で聞いている。白石家と冬川家の関係は決して良好ではない。

白石家の人間
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