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第344話

Auteur: シガちゃん
耳の奥で不快な耳鳴りが続き、周囲の音が遠のいていく。由奈の意識はゆっくりと戻ってきたが、視界は上下が逆転し、体が宙吊りになっているような感覚に襲われた。

車は完全に横転し、底を空に向けていた。燃料タンクから漏れ出したガソリンの鼻を突く臭いが、車内に充満していく。

由奈が完全に意識を取り戻したとき、目に飛び込んできたのは、血に染まった祐一の横顔だった。

「……祐一!」

自分の声さえ耳鳴りに阻まれて聞こえない。由奈は腕の激痛に耐えながら、運転席でぴくりとも動かない彼に手を伸ばし、まずは自身のシートベルトを外した。

体勢を立て直し、彼の頬を叩く。「祐一、起きて!目を開けて、寝ちゃだめよ……!」

不意に、彼女の指先が止まった。祐一の胸元に、鋭いガラスの破片が深く突き刺さっていたのだ。黒いシャツは、流れ出した鮮血で色を変えている。

車内の異臭はますます酷くなり、一刻の猶予もなかった。由奈は迷わず彼のシートベルトを外したが、激しい衝撃を受けた運転席側はひどく歪み、彼の両足が座席の間に挟まって身動きが取れない状態になっていた。

彼女は奥歯を噛み締めると、備え付けの緊急脱出ハンマーでサ
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