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第420話

Author: シガちゃん
歩実の片耳は、外部から受けた衝撃で鼓膜が剥がれ、すでに壊死していた。それでも彼女が手術を拒み続けていたのは、ただ一つ――逃げ出す機会を待っていたからだ。

彼女はずっと思い込んでいた。自分をこんな惨めな姿にしたのは、留置場にいるあの憎たらしい女たちのせいだと。

だが――

すべてを仕組んだのは、目の前に立つこの男。かつて、あれほどまでに自分を守り、甘やかしてくれた男だった。

祐一が自分を憎んでいることは、歩実も分かっていた。それでも――彼が本当にここまで冷酷になれるとは、どうしても信じたくなかった。

だって、あの時。彼は確かに自分を見逃したのだから。

だからこそ、心のどこかで思っていた。まだ少しは、自分への情が残っているのではないかと。

……本当に、滑稽だ。

男なんて、「愛している」と言っていたくせに、ある日突然、何もかもが消えてしまう。

歩実の頬を涙が伝い落ちる。だが次の瞬間、その瞳に浮かんだのは――激しい憎しみだった。その衝動のまま、彼女はテーブルの上にあった物をつかみ、祐一めがけて投げつけた。

祐一はとっさに腕を上げて受け止めたが、衝撃で腕を打たれる。

由奈が思
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