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第5話

Author: むぎむぎ
【患者は重度の心不全に陥っており、いつ心停止を起こしてもおかしくない状態です】

兄はその一文をじっと見つめ、振り返って走り出そうとした。

だが、ちょうどその時、背後の手術室の扉が開いた。

陽菜が運び出されたとき、まだ完全に意識が戻っていなかったが、それでも無意識に兄の袖を掴んだ。

「お兄ちゃん……」

兄は彼女の青白い顔を見下ろして、結局、その手を振りほどくことはできなかった。

母が兄の手にある紙に気づき、ためらいながら尋ねた。

「あれ、本当に危篤に関わるものなの?」

兄は喉を詰まらせるように答えた。

「医者が、非常に危ない症状って……」

「じゃあ、見てきなさいよ」と母がそう言った直後、陽菜が苦しそうに眉をひそめた。

ようやく緊張がほぐれかけた3人が、また一斉に陽菜を取り囲んだ。

父が兄の肩を軽く叩いた。

「栞は前にも危篤になったことがあるだろ。結局、毎回乗り越えてきたじゃないか。

陽菜はこんな大きな手術を受けるのは初めてなんだ。目を覚ましたときに誰もいないと不安になるだろう」

兄はもう一度、あの紙に目を落とした。

しばらくして、その紙を折りたたみ、ポケッ
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