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#2

مؤلف: 七賀ごふん
last update تاريخ النشر: 2026-09-03 11:34:12

「貴島月仁です。これから一年宜しくお願いします」

クラスメイトに向けた貴島の自己紹介は、本当に短かった。

皆軽く呆気にとられている。

けど「転校生だから」というよりは、整然とした彼の一挙一動に釘付けになってるようだ。

無表情で黒板の前に佇む貴島は、本当に同い年かと疑いたくなるレベルで……大人びている。

このクラスもおしゃれな男子が多いけど、次元が違う。

またそんな人物を女子が放っておくはずがなく。休み時間に入ると、彼女達は一斉に貴島を取り囲んだ。

「貴島君、前はどこに住んでたの?」

「部活入ってたなら、こっちでも体験入部してみたら? 私達案内するよっ」

いつもよりワントーン高い声が後ろから聞こえる。

偶然にも俺の真後ろが貴島の席だった。話しやすい位置なのは嬉しいけど、これだと彼らの会話が嫌でも耳に入る。

ていうか、貴島は女子にわいわい囲まれるの大丈夫なのかな。昔と違って、今は静かに過ごすのが好きそうだけど。

内心焦っていると、水のように透き通った声が聞こえた。

「ありがと。でも大丈夫。藤間先生に、放課後は川音君に案内してもらうように言われたから」

貴島がやんわり断ったことで、盛り上がっていた女子達は残念そうに話した。

「そっかぁ。じゃ、他に困ったことがあったら何でも言ってね」

「川音君はねぇ、完璧な上に超優しいから安心だよ〜」

彼女達はそう言い残すと、和気あいあいと去っていった。

後ろを振り返ると、貴島は椅子の背にもたれ、息をついた。

「やっと解放された」

「はは、おつかれ。でもしばらくこんな感じだと思うぞ。ほら、他のクラスの子もお前のこと見に来てる」

ドアの方を見ると、何人も貴島のことを興味津々に覗いていた。恐らく女子達がイケメンの転校生が来たと吹聴してるのだろう。

「転校生の何が嫌って、目立つから嫌だよ」

貴島は目を細める。

それはその通りだけど、彼の場合それに輪をかけてイケメンだから。という言葉をグッと飲み込み、頷いておいた。

「だいじょーぶ! それなら俺が女子ガードになろう!」

ただでさえ慣れない場所にいる貴島を疲れさせてはいけない。ので、休み時間は彼の傍にぴったりくっつくことにした。

貴島が言った通り、学級委員長的立ち位置の俺が転校生といることはそれほど触れられず。おかげでどこへ行っても「川音君は面倒見がイイナー」、で済んだ。

「川音君、転校生ってその子? わー、身長たかーい!」

「そ、貴島月仁君。今ちょっと校内回ってるんだ」

「そうなんだ! 貴島君も頑張ってね〜!」

皆フレンドリーに話しかけてくる。

貴島は終始眉ひとつ動かす、やりとりを見つめていた。

「お前、本当に有名人だな。三歩歩いたら声かけられて」

昼休み。売店で買った大盛り唐揚げ弁当を開けていると、貴島は呟いた。

「アイドルって言われても違和感ない」

「いやいや。女子は刺激が欲しいんだよ」

この感じたと、どうやら人伝に聞いたらしい。貴島はもう、複数のファンクラブが存在してることを知っていた。

でも俺からすれば、貴島のファンクラブができるのも時間の問題だと思う。

「あ。ただ、男でも結構グイグイ来る。この学校、同性愛者も多いから」

ペットボトルのお茶を傾ける。貴島は一瞬こちらに視線を向けたが、すぐにさっきの話題を続けた。

「部活と委員会と、生徒会もやってるんだって? あれやってくれ、これやってくれって頼まれまくって。……大変そうだな」

「んー、ちょっとね。でもそのおかげで、こうしてお前といられるし?」

貴島は焼売弁当を開け、眉を寄せた。

「どういうこと?」

「いやいや。普段から完璧に振る舞ってれば堂々とできるだろ。昔の俺だったら、お前の隣になんていられないよ。何でこんなイケメンの傍に陰キャがいるんだ、って四方八方からクレームがくる」

そうだ。

正直貴島といるのは緊張する。例え中身が変わってなくても……大人しくしてても溢れ出るオーラがあって、気圧されそうになる。

俺は優等生という盾があるから、彼の傍にいられる。

中学高校と自分改革をしていたのは、大人になったときに彼と胸を張って会う為。

だからその苦労が報われたことは嬉しいんだけど。

貴島は何故か、腑に落ちない顔をしていた。

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أحدث فصل

  • 恋人はあまえた(元)優等生   #4

    月仁の笑顔は眩し過ぎて、時々目を覆いたくなる。超強力な光のシャワー。加えて真顔で甘い台詞を言うもんだから、こっちも感覚が麻痺してきた。「じゃ、じゃあ……今日も一緒にいる」「ああ。てか、嫌がっても俺が居座るけど」月仁は不思議そうに肩を竦める。俺にとって「ずっと」、っていうのは相当なバカップルだと思うんだけど、彼にとっては違うらしい。「俺は月仁といるだけで幸せだし……幸せ過ぎて罰があたるんじゃないか、って思うんだ」「相変わらず殊勝だな。せっかく脱優等生したんだから、中身ももっとはっちゃけろよ」はっちゃける……。彼の言葉に少し考えて、確かにそれもそうか、と頷いた。優等生を演じていたときと同様、中身も見た目に合わせていくべきだ。ただ、俺はまだ怖がってる。本当の自分を見せて、周りに失望されることに。他人の評価を気にしてることが分かったのか、月仁は俺の前に屈み、小さな声で囁いた。「ちなみに俺は、取り繕ってないお前を好きになったんだからな」「あ……」そういえば……物心ついた時から一緒にいたから、月仁は俺の全部を知ってる。弱いところも恥ずかしいところも、分かった上で俺のことを好きになってくれたんだ。そう思ったら、やっぱり有り難いし……嬉しくてたまらない。素の自分を受け入れてくれた彼は、唯一にして最大の誇り。そして、愛しい存在だ。「月仁! ……好きだ!」「唐突な告白だな。でも、ありがとう」一応周りに人がいないことを確認した上で、彼に好きをぶつけた。恥ずかしいし怖いけど、尋常じゃなく心が躍る。胸の辺りが温かくなる。好きな人に想いを伝えるって、こんなにも大事なことだったんだな。─────川音君と貴島君って、もう学校公認のカップルだよね。「って女子達に言われてるぞ。もう隠しても意味ないから、堂々とイチャつけば?」「いやいや……」昼休み。月仁と中庭のベンチで昼ご飯を食べてると、都波がニヤニヤしながらやってきた。俺はできれば卒業まで目立たず、大人しく過ごしたい。月仁とは一緒にいたいけど、俺らのことで周りが盛り上がるのは避けたかった。ところが月仁は違うようで。「それはいいかもな。周りに気を遣わずに、深白を可愛がれるってことだし」「つ……月仁君? 何言ってるのかな?」彼は表情こそ変えないものの、腑に落ちた様子で腕を組んだ。目立つのが

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  • 恋人はあまえた(元)優等生   #2

    ひそかに懸想した。胸の高鳴りを掻き消すように、月仁は告げる。「好きだ、深白。友達としてとか、幼馴染としてじゃなく。恋人として、お前の傍にいたい」触れ合ってる部分が熱い。とけそうだ。深白は月仁の告白に耳を傾けながら、止まらない涙を拭った。こんな月仁、初めて見た……。俺と同じ。今にも泣きそうだ。でも力強くて、優しい声をしている。月仁もずっと苦しくて、ひとりで堪えてたんだ。「俺も……俺も、月仁が好き。大好きだよ。もう、絶対離れたくない……!」何年も想い続けたひと。愛しくて大切なひと。やっと言えた。越えちゃいけない壁なのかもしれない。でも、俺達は同じタイミングで乗り越えた。薄暗い倉庫室で、わずかに射し込む光を頼りに。膝を立てて、月仁と唇を重ねた。必死だったせいか、恥ずかしい気持ちはあまりない。嬉しくて、背中に添えられた掌が温かかった。学校でなんてことしてんだ……とか。月仁も同性愛者だったんだ……とか。色んな考えが頭の中でぐるぐる回ったけど、大した力にはならなかった。想いが通じた。全てはそこに辿り着き、集約される。子どもみたいに泣きじゃくる俺を、月仁は何も言わずに抱き締めた。「大丈夫」と、おまじないのように。そういえば昔も泣く度に月仁に抱き締められ、襟をぬらしていた気がした。彼はもう忘れてそうだけど、今頃思い出して恥ずかしくなる。何度か深呼吸し、ゆっくりと月仁から離れた(何故か彼の膝に乗せられてるけど)。「ごめん。一回落ち着くわ」「別にいいって。つうか俺も……」「ん?」「過去最高に荒ぶってる」また息が当たりそうな距離。秘密を打ち明けるように、月仁は囁いた。「お前のこと、めちゃくちゃに甘やかしたい」「おま……っ」思わず顔を手で隠す。両想いになれたのは嬉しいけど、月仁はいきなり甘い台詞を吐き過ぎだ。それともこれが普通なんだろうか。俺はまだ、そういう台詞は言えないのに。彼は慣れきってるみたいだ。落ち着いてるのはいつものことだとしても、俺に拒絶されるかも、なんて不安は少しもなさそう。自信がある、とは違うか。やっぱり、俺を信頼してくれてるんだ。「深白。したいこと全部言って」「えっ?」「いっぱいあるんじゃないのか? 一緒に遊びに行ったり、お揃いのもの買ったり」頬に手が添えられる。それは温もりを確かめるように、俺

  • 恋人はあまえた(元)優等生   #1

    「何があったか言いなって。俺が力になるけど?」彼は地面に膝をつき、息が当たりそうなほど顔を近付けてきた。匂いのことも気になるけど、それ以上にこの空気はまずい、と思った。腰に手を当てられ、顎を掴まれている。まさか、同性愛者か。力が抜けて立てないものの、後ろに身を引いた。「ほ、本当に何でもないって」「強がんなって。そんな顔して言われても、むしろ逆効果だし」彼の手が、さらに下へと伸びる。こんな外で何かするわけない。そう思ってはいるけど、────どうしよう。「いやだ……っ」助けて。……月仁。瞼を伏せ、心の中で叫んだとき……彼の手が離れた。「……何してんだ?」「月仁……っ!」彼の腕を押さえ、俺から引き離したのは月仁だった。いつもと同じ無表情だけど、息を切らしている。走って来てくれたことはすぐに分かった。「いってえな! いきなり何すんだよ、ぶっ飛ばすぞ!」「かまわないけど、そしたら先生に来てもらうよ。殴ったことより、ヤニ臭い方を問い詰められると思うけど」月仁も気付いたようだ。バツが悪くなったのか、慌てて手を振り払い、少年は校舎の中へ去って行った。怖かったけど解放されて、また力が抜けてしまった。両手を地面について俯くと、目の前に月仁の靴が見えた。「深白」「月仁。さっきはマジでごめ……わっ!?」謝ろうとしたものの、突然視界が急上昇してパニックになる。有り得ないことに、月仁にお姫様だっこされていた。「ちょっとちょっと! 何だよ急に!」「暴れんなって。大人しくしてろ」月仁は静かに言うと、そのまま倉庫室に入っていった。一番奥まで向かい、棚の影に隠れる。ようやく下ろしてもらえたけど、大きな声を出してはいけない気がした。壁に背を預けながら、目の前に屈む月仁を見つめる。「大丈夫か? さっきの奴に何された」「あ……ううん、大丈夫。何かされる前に月仁が来てくれたから」少しはだけた襟元を押さえると、月仁は明らかに苦しそうな表情を浮かべた。「この学校は危険だらけだな」「あはは……たまたまだよ。何も心配ないって」「泣いてるのにか?」目元に月仁の指が触れる。教室にいた時はともかく、今はもう大丈夫だと思ったのに。……月仁の指と膝には、俺の頬を伝う雫が零れていた。嘘。そんな怖かったのか。っていうか……。月仁が助けに来てくれたことが、本

  • 恋人はあまえた(元)優等生   幼馴染の本心

    「何があったか言いなって。俺が力になる」彼は地面に膝をつき、息が当たりそうなほど顔を近付けてきた。匂いのことも気になるけど、それ以上にこの空気はまずい、と思った。腰に手を当てられ、顎を掴まれている。まさか、同性愛者か。力が抜けて立てないものの、後ろに身を引いた。「ほ、本当に何でもないって」「強がんなって。そんな顔して言われても、むしろ逆効果だし」彼の手が、さらに下へと伸びる。こんな外で何かするわけない。そう思ってはいるけど、────どうしよう。「いやだ……っ」助けて。……月仁。瞼を伏せ、心の中で叫んだとき……彼の手が離れた。「……何してんだ?」「月仁……っ!」彼の腕を押さえ、俺から引き離したのは月仁だった。いつもと同じ無表情だけど、息を切らしている。走って来てくれたことはすぐに分かった。「いってえな! いきなり何すんだよ、ぶっ飛ばすぞ!」「かまわないけど、そしたら先生に来てもらうよ。殴ったことより、ヤニ臭い方を問い詰められると思うけど」月仁も気付いたようだ。バツが悪くなったのか、慌てて手を振り払い、少年は校舎の中へ去って行った。怖かったけど解放されて、また力が抜けてしまった。両手を地面について俯くと、目の前に月仁の靴が見えた。「深白」「月仁。さっきはマジでごめ……わっ!?」謝ろうとしたものの、突然視界が急上昇してパニックになる。有り得ないことに、月仁にお姫様だっこされていた。「ちょっとちょっと! 何だよ急に!」「暴れんなって。大人しくしてろ」月仁は静かに言うと、そのまま倉庫室に入っていった。一番奥まで向かい、棚の影に隠れる。ようやく下ろしてもらえたけど、大きな声を出してはいけない気がした。壁に背を預けながら、目の前に屈む月仁を見つめる。「大丈夫か? さっきの奴に何された」「あ……ううん、大丈夫。何かされる前に月仁が来てくれたから」少しはだけた襟元を押さえると、月仁は明らかに苦しそうな表情を浮かべた。「この学校は危険だらけだな」「あはは……たまたまだよ。何も心配ないって」「泣いてるのにか?」目元に月仁の指が触れる。教室にいた時はともかく、今はもう大丈夫だと思ったのに。……月仁の指と膝には、俺の頬を伝う雫が零れていた。嘘。そんな怖かったのか。っていうか……。月仁が助けに来てくれたことが、本当に嬉

  • 恋人はあまえた(元)優等生   #5

    「そうなの?」「そう。つうかそろそろ自分が可愛いこと自覚しろ」か……っ!?不意討ちの台詞に顔が熱くなる。「可愛くはない! 強いて言うならかっこいい、だ」「じゃあそういうことにしとくか。とにかく、今のお前はただ立ってるだけで狙われやすい。かわ……かっこいいから」何か言い直された気がするけど。月仁は変わらず、真剣な表情をしていた。「でも今度は絶対、俺が守る。だから俺の傍から離れな」「自分のことは自分で守る! もうガキじゃないんだから、大丈夫だよ」だけど、どうしても我慢できずに月仁の言葉を遮ってしまった。俺は自分どころか、月仁のことを守りたいんだ。なのに彼に守られるなんてこと、あってはいけない。使命感のようなものに支配されて言い放ったけど、月仁の表情も険しくなる。さっきより確実に強い語調で返してきた。「お前の気持ちは尊重する。でも今は意地張ってるようにしか見えない。……いや、初めからずっと……お前は何かを怖がってる」「……!」月仁の鋭い眼差しを受け、言葉を失った。きっと、図星だからだ。そして、それを否定する言い訳すら浮かばない自分に落胆している。月仁はどんな時も俺の本心を見抜いている。それに気付いたらいたたまれなくて、息が苦しくなった。「怖がらなくて大丈夫だ。もう離れることなんてない。ずっと傍にいるから」そっと指が伸び、俺の前髪を撫でた。でも俺は臆病で、それすらビクッとしてしまった。月仁の驚いた顔が見えた時……彼を傷つけてしまったんだと分かり、さらに頭が真っ白になった。「ごめん……!」「おい、深白!」考えるより先に、足が動いていた。廊下へ出て走り去る深白を追いかける為、月仁も扉へ向かう。そこには都波が佇み、腕を組んでいた。「取り込み中ごめん。貴島って、意外と熱いんだな」「……」月仁は足を止め、一旦呼吸を整える。彼の言うとおり過去最高頭に血が上っていたが、努めて冷静に答えた。「別に。親友だから」「親友? 嘘だろ?」都波は目を丸くし、今度は前に身を乗り出した。しかしそれは彼だけでなく、教室にいた数人も同じ反応で。「嘘じゃないよ。……でも色々熱くなってたから白状する。親友っていうか、深白とは幼馴染」「幼馴染? 嘘だろ?」都波含め、全員が先ほどと全く同じリアクションをした。隠していたことは申し訳ないけど、やや

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