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第4話

Author: 観月明
「この期に及んで、まだ嘘をつくつもりか!」

父は大股で私の前まで歩み寄り、その眼差しは凍りつくほど冷たかった。

「まだ言い逃れするつもりか!お前以外に、誰がそこまでしてこんなことを仕組むと言うんだ?

写真を神代家に送りつければ、昔みたいに揉み消すために、お前をあの家へ嫁がせるとでも思ったのか!

お前はあの欲深い母親とそっくりだ。こんな卑劣な手段で人を陥れることしか考えられない」

私は勢いよく顔を上げ、信じられない思いで見つめた。

「写真なんて送ってない!本当に私じゃない!」

和也が「この子は隠し子」と口にしたあの瞬間から、私はもう、この子を産むつもりなんてなかった。

その時、リビングのドアが開き、和也が入ってきた。

床一面に散らばる写真を目にした途端、彼の動きが一瞬とまった。

晴はすぐに彼の胸へ飛び込み、涙をぼろぼろこぼしながら言った。

「和也さん、やっと来てくれた……

見てよ。この女、あなたの子どもを妊娠しただけじゃなく、わざと写真を家に送りつけて、結婚を迫ろうとしてるの!」

その場にいた全員の視線が、一斉に和也へ向けられた。

私は最後の望みにすがるように彼を見つめて言った。

「違う……私じゃない。そんなこと、絶対にしないから」

彼は答えなかった。

ただ静かに身をかがめ、一枚の写真を拾い上げた。

そして顔を上げると、氷のような冷たい視線を私へ向けた。

その目は、私の腫れ上がった額も、血がにじむ腕も一瞬だけ映したあと、何の感情もなく離れていった。

そして彼の唇がゆっくりと開いた。

「お前、まさかここまで計算高い女だったとは思わなかった」

彼は……私を信じなかった。

分かりきっていた結末なのに、それでも胸は鋭く痛んだ。

今の彼は、記憶の中で太陽みたいに笑っていたあの少年とは、もう何ひとつ重ならない。

きっと彼の中で、私は最初から信じる価値のない人間だったのだ。

その時、窓の外で突然、風が激しく吹き荒れた。

ほどなくして、大粒の雨が窓ガラスを激しく叩き始め、バチバチと耳障りな音を立てる。

父は激しい雨を指差し、怒鳴りつけた。

「こんな恥知らずなお前には、この家にいる資格はない!外で跪いて反省しろ!私が許すまで絶対に立つな!」

言い終わるより早く、晴が突然私の髪をつかみ、無理やり外へ引きずろうとした。

容赦なく引っ張られ、頭皮が剥がれそうなほどの痛みに悲鳴が漏れる。

そのまま乱暴に放り投げられた私は、バランスを崩し、冷たい大理石の床へ激しく叩きつけられた。

私は必死に顔を上げた。

ぼやけた視界の先には、晴の隣に立つ和也の姿があった。

彼はハンカチを手に、晴の頬についた雨粒を、壊れ物でも扱うように優しく拭っている。

冷たい雨は一瞬で全身を濡らし尽くし、髪を伝って額の傷口へ流れ込み、焼けつくような痛みで体が震えた。

どれほど時間が経ったのだろう。

突然、下腹部に激しい痛みが走った。

私は体を丸め、お腹を必死に抱え込んだ。

次の瞬間、生温かい液体が太ももを伝って流れ落ちていた。

冷たい雨に混じりながら、足元には鮮やかな赤がゆっくりと広がっていった。

……

翌日、病院で目を覚ました時、私ははっきりと分かった。

お腹の子は、もういない。

病室のベッドの前には和也が立っていた。

眉をひそめ、複雑な表情で私を見つめている。

その隣では、晴が彼の腕にぴったりとしがみつき、まるで勝者のような顔をしていた。

私が目を覚ますと、彼女は申し訳なさそうな顔を作り、口を開いた。

「琴葉、やっと目が覚めたのね。昨日は私もカッとなっちゃって……まさか、あなたの子供がこんなにあっさりなくなっちゃうなんて思わなかったの」

そう言いながら、彼女は目を赤くして和也を見上げた。

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