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アデリナが愛されてる?あの子はまさか

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-07-04 06:07:00

 看病したのは妻(仮)だから仕方ないとして、あれからとにかくローランドを避けまくっているのに何故か向こうから凄く絡んでくる。

 それに全く離婚してくれる気配もない。

 あー!いやだー!この前なんてついに夕食時に捕まって強制的にご飯一緒に食べたし。

 何であんな無愛想な男の顔見ながら、ご飯食べなきゃいけないわけ?

 この世界ならではの罰ゲームなの?

 「アデリナ様。馬車の用意が整いました。」

 「……馬車?」

 午後のティータイムを楽しみにしている私の元に、ホイットニーがやって来た。

 彼女は普段とは少し雰囲気が違う、質素な格好をしている。町娘風という感じの?

 えっと。なんだっけ……馬車?

 何か出かける所あったかな?

 「あそこに出かけるのは久しぶりですね。

 お召し物を変えますか?

 準備ができたら行きましょう。」

 「あそこってどこ?ホイットニー…!」

 「もう、うふふ、アデリナ様ったら。

 お忘れですか?あの少年ですよ、あ、の。」

 相変わらずアデリナ様は忘れたフリがお上手なんですから〜とホイットニーにお上品に笑われてしまったけど。

 ……分かんないなー!どの少年かな!?

 身支度を済ませた私と一緒に、ホイットニーもなぜか地味な感じの馬車に乗り込む。

 これはよく、アデリナがお忍びの時に使う馬車らしい。

 いつもは付き添う護衛の兵もいない。

 「アデリナ…って……一体何したの?

 少年って何?」

 「うふふ、着いたらすぐ思い出しますよ。」

 私と向き合う形で台座に座っているホイットニーが、上品に笑う。

 「教えてよー、記憶全くないんだから。

 本当に私はアデリナじゃないんだって。」

 

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