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ローランドの長い夜.知らなかった感情

Author: Kaya
last update Huling Na-update: 2025-07-08 12:13:00

 ◇◇◇

 アデリナが、奴隷達を私に内緒で鍛えて精鋭部隊を作ろうとしていた。

 それを、実際にこの目で見た時はかなりの衝撃であり。

 「まさか……アデリナが謀反を?」

 きっと誰もがそう思っただろう。

 確かに由々しき事態だった。

 王妃が私に断りもなく、そんな事をしていたのだから。

 以前、アデリナが奴隷少年を購入したという情報が入った事がある。

 しかも彼女がその少年を王宮に招き入れてしまい、大騒動が起こった。

 その時、私自身も確かにその奴隷少年を目にしたのだ。

 奴隷売買を禁止していないこの国では、貴族が奴隷を買う事は珍しくはないが……

 まさか王妃という立場のアデリナが。

 しかしあれ以降、少年の姿を目にする事はなかった。

 だがここ最近、アデリナが再び複数の奴隷少年を囲っているとの報告が寄せられた。

 「王妃陛下は奴隷達をペット扱いし、ムチで叩き、酷い事をしていると噂が!」

 「いやいや、少年達を切り刻み、妙な実験をしていると!

 陛下!王妃陛下のこの様な行為をお許しになれば、国が乱れる要因となるでしょう!

 早く王妃陛下を処罰するべきでは?」

 元々アデリナを快く思わない臣下たちの言葉は、単なる憶測に過ぎないものだ。

 しかし、実際に、アデリナが奴隷達を大量購入する現場を見たという者がいる。

 王妃が複数の奴隷を購入するなど、王室史上かつてない大問題。

 最近やっと問題を起こさなくなってきたと思っていたのに……何故だ、アデリナ!

 ◇

 その日、東部地方で人々を悩ませている山賊の「レーヴェン」の一味が、なぜか王都外れの山間に現れたという情報が入った。

 この所、見回りを強化させていたのだが一体どうやって………

 「陛下。王妃陛下が、問題の場所の近くに出掛けられたそうです。どうされますか?」

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