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第250話

作者: こいのはな
「村長……あの……」

拓海は、これほどまでにみじめな思いをしたことがなかった。

「……会社に用事があるので、これで失礼する……」

これ以上何かを言えば、言い訳になるだけで、余計に惨めになる。

そう思って歩き出したものの、途中でどうしても足が止まり、彼は振り返ってしまった。

「村長……」

村長は穏やかに笑った。

「森川さん、何かお力になれることがありますか?」

「……」

拓海は言いよどんだ。

自分の祖母の行き先を他人に聞くなんて。それでも、聞かなければ、誰も答えをくれない。

「その……うちのばあちゃんはどこへ行ったか?」

村長は申し訳なさそうに首を振った。

「分かりませんねえ。もう何日も戻ってきていません。どこへ行ったのかって……あなたも……」

本当は「あなたも知らないんですか」と言いかけたのだろうが、途中で言葉を止めた。

知らないからこそ、聞いているのだ。

「……ありがとう」

拓海は無理に笑った。

村長が口にしなかったその一言を、彼自身が一番よく分かっていた。

……ああ、本当に、笑ってしまうほどだ。

知佳は海外へ行き、良子は姿を消した。

自分の家族がいなくなっているのに、その行方を自分は知らず、他人に尋ねている。

笑えない話だ。

昨夜は完全に記憶が飛んでいる。車がどこにあるのかも分からず、迎えを待つこともできない。

今の自分は、あまりにも無様だった。

仕方なく配車アプリを開き、履歴を見て、初めて気づいた。最後の注文は結衣の住むマンションから良子の家まで。

時間を見ると――

自分は、良子の家の門の前で一晩を過ごしていたらしい。

こめかみを押さえた。

昨夜、何があったのか、本当に何も思い出せない。

とはいえ、食事した店は結衣の家の近くだった。彼女を送っていった流れで、そこからタクシーを呼んだのだろう。

今は、とにかくひどい状態だ。

濡れた服は中途半端に乾いてまだ湿っぽく、ズボンは泥だらけで肌に張り付いている。まずは家に帰って、シャワーを浴びて、着替えなければ。

車が来た。

ドアを開けた瞬間、運転手が露骨に顔をしかめた。

自分の姿を見て、納得する。これでは嫌がられても仕方がない。

「すみません、清掃代は払います」

それでも、今すぐ帰らなければならなかった。

「……乗ってください」

運転手は不機嫌
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