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第8話

Author: コーヒーミルク
和久は麗子を部屋まで送り、長い時間をかけて宥めた。

「ごめんなさい、全部私が悪いの。江津子さんにあんなに誤解させてしまって……」

麗子は彼の肩にもたれ、目元をわずかに赤くしながら言った。

「江津子さんのことが気になるなら、会いに行ってあげたら?一応、奥さんなんでしょ」

和久は眉をひそめた。

「必要ない。これは全部、あいつが自分で招いたことだ。頭を冷やせばそのうち戻ってくる」

口ぶりは冷たかったが、胸の内ではわけもなく苛立ちがくすぶっていた。

江津子が病院を出てから、書き置きも伝言も何ひとつ残されていなかった。

これは、どう考えてもおかしい。

以前の彼女なら、いくら機嫌を損ねても3時間も持たずに自分から折れて連絡してきたはずだ。

彼はポケットベルを何度も確認した。表示されるのは仕事関係の番号ばかりで、江津子からと思われるものは何ひとつない。

夜になり、和久はひとり書斎に座っていた。頭の中には、ここ最近の江津子の姿が次々と浮かんでは消えていった。

目の前で倒れたときの蒼白さ。寒風の中で跪き、震えていた細い肩。鮭の骨を取っていたときの、血に染まった指先。そして、彼を見
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