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第6話

Penulis: こなみ
瑛介は夕奈が今まで見たことのないような穏やかな笑みを浮かべ、杏と手を繋ぎながらインテリアショップを回っていた。

家具一つひとつを彼自身が念入りに確かめる。ソファの座り心地やベッドのマットレスの反発力、ワードローブの質感まで細かくチェックしていた。

杏が少しでも目に留めたものがあると、彼はすぐに店員を呼んでその場で購入する。

「このドレッサーが気に入ったのか?」

「すごく素敵だけど、少し高い……」

「気に入ったなら買おう」

夕奈はまるで空気のように、彼らの後ろに付いていった。

それでも心の奥のどこかが、どうしようもなく痛んだ。

結婚式を挙げたあの年、すべての準備は夕奈一人で行った。

ウェディングドレスも、会場の予約も、指輪選びも、新居のインテリアも……瑛介は結婚式当日の数時間を除き、あとは全部、「お前の好きにすればいい」と、夕奈に任せっきりだった。

てっきり、彼がもともと冷淡でそういうことに関心がないのだと思い込んでいた。

だが今なら分かる。彼が関心を持てなかったのは、自分との生活だったから。

愛しているか、愛していないか……その間には、自分が一生かけても越えられないほどの大きな隔たりがあるらしい。

だが、そんなことはもう関係ない。

インテリアショップを出ると、杏がウェディングドレスを着てみたいと言い出した。

杏は夕奈の手を引き、甘えるように言う。「夕奈さん、あなたは一度結婚式を挙げているし、一緒に付いてきてくれませんか?アドバイスが欲しいんです」

断りきれなかった夕奈は、杏と共にウェディングドレスショップに入った。

店内には美しいドレスが並び、純白の生地が照明に照らされ、幻想的に光り輝いていた。

ドレスに目を向けるたび、かつて自分が式のために店へ足を運んだ日の光景が思い起こされる。

一人で試着をしていると店員から、「旦那様はどうしていらっしゃらないんですか?」と聞かれ、「仕事が忙しくて」と笑顔で誤魔化していた自分。

本当のところ、瑛介はその時間、友人と釣りに行っていたのだ。

彼はただ来たくなかっただけ。

夕奈はゆっくりと視線を落とし、胸の内から込み上げてくる感情を必死に抑え込んだ。

杏はすぐに気に入った一着を選び、嬉々としてフィッティングルームへ消えていった。

しばらくすると中から、「夕奈さん、中に入ってちょっと手伝ってもらえませんか?背中の方に糸が出ているみたいで……」と呼ぶ声がした。

夕奈はそのまま中に足を踏み入れた。

鏡の前には、床までつくほどの白いドレスに身を包んだ杏が立っていた。咲き誇る百合の花のように美しい。

杏が振り返り、腰のあたりを指差す。「ここです、そこの糸を切ってもらえませんか?」

夕奈は近くにあったハサミを手に取り、少し身をかがめて糸を切ろうとした。

その瞬間、杏が突然話し始める。「夕奈さん。本当に瑛介と離婚しちゃっていいんですか?」

夕奈の手が一瞬止まった。

「瑛介と結婚するために相当尽くしたって聞きましたよ?」

それでも夕奈は顔を上げず、ハサミで糸を切り続ける。

糸を切り終えた夕奈はすっと背を伸ばし、淡々と言った。「自分を愛してくれない男に、時間を費やすのはもったいないでしょ?」

「でも、夕奈さんと瑛介は5年も一緒にいたんですよ。瑛介にだって少しくらいは夕奈さんに対する想いがあるはずです」そう言って杏が自嘲気味に笑った。「今、瑛介は私への負い目から一緒にいてくれています。でも……時間が経てば必ず夕奈さんのことを思い出すでしょう」

夕奈が眉をひそめ言い返そうとした瞬間、杏はふと顔を上げ、目に冷ややかな嫉妬の色を浮かべる。

「だから、夕奈さん。少し手伝ってくださいよ」

夕奈が状況を飲み込むよりも先に、杏が勢いよく夕奈のハサミを持っていた手首を掴み、力いっぱい彼女自身の胸へと突き立てたのだ——

グサッ——

真っ赤な鮮血が飛び散り、純白のドレスが一気に赤く染まる。

「きゃああああ!」

悲鳴と共に、杏の体は糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。

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