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第27話

Author: ラクオン
「本当に俺に感謝したい?」

車のそばまで来ると、時雄は伊賀を後部座席に押し込み、車体にもたれかかりながら、静かに微笑んだ。

私は素直に頷いた。

「もちろん」

「じゃあ、これから俺に『ありがとう』って言うの、やめてくれ」

その言葉に、どこか違和感を覚えた。深く考える前に、彼はさらりと続けた。

「そんなによそよそしいのは、嫌だから」

私は思わず吹き出した。

「……わかった、もう言わない」

ちょうどその時、代行運転の車が到着した。時雄は鍵を預けながら、穏やかな声で言った。

「じゃあ、俺は行くよ。君も早く上がれ」

部屋へ戻ると、リビングはがらんとしていた。

――宏はいない。

胸の奥が、ふっと空っぽになった気がした。

……でも、それもほんの一瞬のこと。

何も言わずに立ち去るのは、彼のいつものやり方だった。

どうせまたアナが急用だと言って呼びつけたのだろう。

私はため息をつき、寝室へ向かった。ベッドに沈み込んだ来依の肩を、そっと揺すった。

「来依ちゃん、起きて。パジャマに着替えさせるね。そのままだと寝にくいでしょ?」

「ん……」

来依はうっすらと目を開け、私
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