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第389話

مؤلف: 楽恩
鹿児島なんて、そう広い街じゃない。

帰国を決めたとき、また彼に会うことになるだろうとは覚悟していた。

ただ――まさか、こんなに早く。

私は反射的に手を引っ込めた。すぐに京極さんの少し驚いた声が聞こえる。

「江川夫人?」

「ええ」

「元妻です」

宏と私、ふたり同時にそう口を開いた。

私は気持ちを落ち着け、京極さんのほうを見て微笑む。

「京極さん、お忙しいところありがとうございました。そろそろ失礼します」

「ありがとうございました。何かあれば、またご連絡ください」

来依も穏やかに挨拶を交わす。

ふたりでホテルを出ようと歩き出したとき、後ろから京極さんの皮肉っぽい声がかすかに聞こえた。

「江川さん、どうやら元奥さんに嫌われてるみたいね?」

……

ちょうどホテルを出ようとしたその時だった。

一台の黒いベントレーが、車寄せから走り出ていく。

私は何も考えずに駆け出した。

見慣れたナンバープレートが目に飛び込んでくる。

来依が追いかけてきた。

「どうしたの、そんな勢いで……幽霊でも見た?」

「違う」

私は車の流れに紛れていくベントレーを指さす。

「あの車、前に療養院で鷹が乗ってたやつだと思う」

「服部が鹿児島に来てるの?」

「たぶんね」

私は鍵を彼女に渡す。

「先に帰ってて。私はちょっと、鹿児島マンションに寄ってみたい」

彼が死んだと報じられて、もう2年。

さすがに、あの部屋には住んでないだろう。

でも、それでも――もしかしたらという思いは消えなかった。

「付き合うよ」

来依は私を止めて、タクシーを使わせなかった。

鹿児島マンションに着くと、彼女は車を降りずにそのまま地下の駐車場で待つことにした。

「もし本当にまだ住んでたら、そういう久しぶりの再会って、私はいないほうがいい気がして。行ってきなよ。何かあったら連絡して」

「うん」

私は頷いて車を降りた。

エレベーターに乗り込み、なじみ深いフロアのボタンを押す。

数字が一つずつ上がっていくのを見つめながら、妙に落ち着かない自分に気づいた。

会えたとして――

その時、私は何を言えばいいのか。

何が言えるのか。

あの時、あの決断は、私の独りよがりだった。

……チン。

エレベーターが目的の階に到着する。

私は足を踏み出し、何度も彼が気だるそうにもた
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