Compartir

第11話:復讐のブルーポピー

Autor: Kaya
last update Última actualización: 2026-02-02 05:06:00

一色蒼史。

容姿は悪くないし、どちらかというと大人の色気がある人。

いつも、そばを通り過ぎるとき、渋めの香水が香る。

またワイルドさもあって、会社でも密かに彼を見て騒ぐ女性社員もいた。

昔から朔夜とは折り合いが悪く、顔を合わせればお互い悪口ばかり。

私は朔夜の秘書をしていたから、彼とも顔を合わせる機会が多かった。

「鷹司朔夜さんは、山のようにお高いプライドをお持ちのようだ。」

特に一色は口が悪い。

しかも、私には変なことを言って絡んできてばかりだった。

「可哀想だな。あんな無愛想な男の婚約者だなんて。」

よほど朔夜のことが嫌いで、その婚約者である私のことまで、よく思ってはいなかったのだろう。

だからなのか、私は本当に彼のことが大嫌いだった。

しかし、彼もまた、『一色キャピタル・マネジメント』のCEOであり、グループの後継者だ。

事実上、鷹司グループと敵対する企業の代表でもある。

もしも、あの彼を味方にできたら――

アパートに帰ると、すぐにお風呂の準備を始めた。

全身が見渡せる大きな姿見の鏡の前で、おもむろにバスタオルを脱ぐ。

私の背中には――青いケシの花がある。

このアザは、こうして姿見の前に立って初めて気づいたことだった。

目にした時は本当に驚いて、思わず悲鳴に近い声まで出してしまい……

「え?何、これ……」

ケシの花は、透き通るような鮮烈な青色で、8枚の花びらが重なっていた。

調べたところ、これは「ブルーポピー」という珍しいケシの花のようだった。

植物界では青色のケシは非常に珍しく、この色は人工物とは思えないほど鮮やかだという。

“幻の青いケシ”とも呼ばれ、ヒマラヤの高山地帯など限られた過酷な環境にしか自生しないため、その存在自体が神秘視されるのだとか。

「タトゥーかしら?もともと光咲が……?」

居ても立っても居られず、

Continúa leyendo este libro gratis
Escanea el código para descargar la App
Capítulo bloqueado

Último capítulo

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第11話:復讐のブルーポピー

    一色蒼史。容姿は悪くないし、どちらかというと大人の色気がある人。いつも、そばを通り過ぎるとき、渋めの香水が香る。またワイルドさもあって、会社でも密かに彼を見て騒ぐ女性社員もいた。昔から朔夜とは折り合いが悪く、顔を合わせればお互い悪口ばかり。私は朔夜の秘書をしていたから、彼とも顔を合わせる機会が多かった。「鷹司朔夜さんは、山のようにお高いプライドをお持ちのようだ。」特に一色は口が悪い。しかも、私には変なことを言って絡んできてばかりだった。「可哀想だな。あんな無愛想な男の婚約者だなんて。」よほど朔夜のことが嫌いで、その婚約者である私のことまで、よく思ってはいなかったのだろう。だからなのか、私は本当に彼のことが大嫌いだった。しかし、彼もまた、『一色キャピタル・マネジメント』のCEOであり、グループの後継者だ。事実上、鷹司グループと敵対する企業の代表でもある。もしも、あの彼を味方にできたら――アパートに帰ると、すぐにお風呂の準備を始めた。全身が見渡せる大きな姿見の鏡の前で、おもむろにバスタオルを脱ぐ。私の背中には――青いケシの花がある。このアザは、こうして姿見の前に立って初めて気づいたことだった。目にした時は本当に驚いて、思わず悲鳴に近い声まで出してしまい……「え?何、これ……」ケシの花は、透き通るような鮮烈な青色で、8枚の花びらが重なっていた。調べたところ、これは「ブルーポピー」という珍しいケシの花のようだった。植物界では青色のケシは非常に珍しく、この色は人工物とは思えないほど鮮やかだという。“幻の青いケシ”とも呼ばれ、ヒマラヤの高山地帯など限られた過酷な環境にしか自生しないため、その存在自体が神秘視されるのだとか。「タトゥーかしら?もともと光咲が……?」居ても立っても居られず、

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第10話:ライバルの男

    契約書を交わすと、またふと、朔夜の刺すような視線を感じた。だが、今度は気づかないふりをする。「なぜあなたが、鷹司ホールディングスの芸術投資に関わりたがるのか、理解できない。こんな情報を流してまで……」彼は低い声で口を開いた。抑えた調子だが、その奥に鋭い刃を秘めている。「理解できなくても構いません。私の目的は意外とシンプルなんです。……純粋にビジネスに関心があり、利益を得たいから、とでも言っておきましょう。」そう答えれば、朔夜はやはり不満げに唇を尖らす。――突然現れた女。――会社の基盤を揺るがすほどの情報を携えた。――目的は不明、だが一歩一歩確実に迫る。彼の目には、間違いなく私は危険な存在として映っている。実際、鷹司ホールディングスにとって不利な証拠を握っているのは、偶然ではない。あらゆるものを駆使して、三年前のファンド事件を徹底的に調べたのだから。朔夜、この会社、誰かに狙われているわよ。そんな私の意思とは無関係に、粘着質な視線がいつまでも肌にまとわりつく。「それで、次はいつお会いできますか?」とにかく必死に話題を振って、彼の目線から逃れた。……なぜ、そんな風に見つめるの?まだ二回しか会ったことのない“光咲”を。それが、なぜかとても不愉快だった。理由は、この男が――かつて私の弁明に耳を貸すことなく、自らの手で私を深淵へ突き落とした張本人だからだろう。……だが今は、感情に流されるわけにはいかない。とにかく、朔夜を含めた

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第9話:手札は少しずつ

    あの日以降、朔夜に会うのは久しぶりだった。オークション会場で名刺と、連絡先を交換し、今こうして私は鷹司ホールディングスにいる。日本でも最大手の、複合企業体。鷹司一族が経営するグループの本社。悠然と聳え立つ巨大なビル。まるで、揺るぎない権力そのものを象徴しているかのようだった。つい三ヶ月前まで、ここで私が朔夜の秘書をしていたなんて、どこか信じられない。そして今――「月島光咲」という名を名乗り、私は再びこの場所に足を踏み入れていた。すれ違う社員の中には、見知った顔も。――でも、誰も“私”に気づかない。私は歩みながら、さりげなく彼らの表情を窺った。この中にも、私を裏切った人がいるんだろうか?誰もが、私の容姿に目を奪われた顔をする。特に男性社員の目線は分かりやすかった。確かに、光咲は振り返りたくなるほどの美人だ。凛音より背は低い。それに垂れ目で、始めは頼りない見た目だったが、磨けば変わる。髪は清楚感のある、黒のミディアムヘアにし、化粧は強い女性を演出するために、少し濃くし、服装はブランド品に。常に優雅さを保っている。私は歩みを整えながら、静かに前へ進んだ。豪華ホテルのようなエントランスホールから、一度地下駐車場に降りて、専用のエレベーターで一気に上階まで駆け上がる。つまりこのエレベーターに、他に社員が乗り込んで来ることはない。案内した秘書の女性が、頭を下げた。この女性は、私がいた三ヶ月前にはいなかった。「しばらく、こちらでお待ち下さい。」応接室。彼のオフィスではない。……いまの私はそこへ「迷いなく入る

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第8話:約束

    芳美さんは、心配そうに私の顔を覗き込む。 彼女の視線は穏やかで、どこまでも節度がある。「俺は深瀬新といいます。こちらは、家の家政婦で、芳美さんです。」 新たちから、それぞれ軽い自己紹介を受ける。でも、彼と同様、彼女もまた“私”には気づかない。 当然よね……彼女にとって私は、たまたま倒れ、御曹司に連れられてきただけの、素性不明の女にすぎない。 こんなにも近くにいるのに、完全に「他人」として扱われている。 またそれが、寂しくもあり、時々胸を締め付けた。「私は月島光咲と言います。」わずかな隙を見計らい、私は名刺を取り出し、新に自分の身分を明かした。「これは……?」彼は一瞬視線を落とし、名刺に目を通すと、わずかに眉を上げた。 「美術品のプライベートアドバイザー、ですか?」 聞き慣れないのか、新が物珍しそうな顔をした。 「はい。と言っても、つい最近始めたばかりですが…… 主に資産家の方に、美術品の専門知識などをアドバイスする仕事です。」 「なるほど。全く聞かないわけではないですが、珍しいお仕事をされているんですね。」名刺を見つめながら、新が感慨深そうに頷く。「美術品が好きな友達が身近にいるので、興味はあります……もしかしたら、改めてご紹介できる機会があるかもしれません。」 考えるまでもない。それが誰を指しているのかは、はっきりしていた。その時ふと、芳美さんは思い出したように「お茶を淹れますね。」と、奥に備え付けられているカウンターキッチンに向かった。 急に二人きりになり、しばらく静まり返る。が、先に口を開いたのは私の方。 「その、何から何まで、ありがとうございました。」私はそっとまつ毛を伏せ、やわらかく、けれど感情を押し殺すように声を整えた。「ここ最

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第7話:変わらない御曹司

    懐かしい匂いが、胸の奥を強く刺激した。温もりを残した木の香り。乾いていて、どこか安心させる空気。——ここは。かつて私と新、朔夜の三人で、何度も休日を過ごした場所だった。深瀬リゾート株式会社のCEOでもある新は、あちらこちらに旅館や別荘、リゾートホテルなどを持つ、れっきとした御曹司である。名門校のほど近く、山々に抱かれるように建つモダンな邸宅。外観は控えめで静か。けれど一歩足を踏み入れれば、そこは別世界だった。内部は豪華なラグジュアリー・ログハウスである。冬の山景色をそのまま取り込む開放的なリビング。北欧のビンテージ家具と、無垢材のテーブルが置かれ、中央の壁際には大きな暖炉もある。暖炉には、まだかすかな余熱が残っている。昔はよくここで、三人で笑い合い、様々なことを語り合った。何も疑わずに未来を信じていた頃の——居場所。……それなのに。今の私は、その「思い出の場所」に、素性不明の女として連れて来られた。かつての名前も、立場も、居場所も失ったまま。まるで、ここに足を踏み入れる資格すらないかのように。(……皮肉ね)変わったのは、人生だけじゃない。私はもう、ここにいた“私”ではなかった。あの時――新は、「倒れた」私を一切の躊躇もなく抱き上げた。まるで私の身体が、重さなど持たないかのようにごく自然と。その瞬間、はっきりと感じてしまった。彼の胸の温度や、規則正しい呼吸のリズムを。その後、新は、意識のはっきりしない私を車で近くの病院へと連れて行った。診察した医者は、私に『軽い貧血』だと告げる。あまりにも都合のいい診断だった。結果的に疑わ

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第6話:幼馴染

    昨日のオークションから一夜明けた。とにかく、やるべきことはやった。 後は朔夜からの連絡を待つのみ。時間が空いた私は、事前に調べておいた自身の墓へと足を運んでいた。墓前に立ったその瞬間――私は、確かに自分が死んだことを実感してしまう。墓石に刻まれている名は「高遠凛音」。人目につかない、山の中腹――冷たい風が木々を揺らすだけで、墓地には静けさが広がっていた。 ここは高遠家の墓所ではない。ましてや、朔夜の家とも無関係の場所。最初からここは、人々に記憶されないために選ばれた場所なのだと気づいた。「そう――。さすがに両親も、私の存在を隠したかったのね。」遺骨を引き取ったのは私の両親だと聞いた。 事故直後の遺体は、かなり損傷していたと……死んでまでこんな扱いなのかと、思わず自嘲する。けれど分かっている。実の両親も、わざとこの場所に納骨したわけではないだろう。恐らく彼らは、そうせざるを得なかったのだ。 凛音は横領を働いた挙句、事故死したとされている。「婚約者を裏切った女」。「最低な犯罪者」。世間からそう批判されている娘の遺骨を、先祖代々の墓に納めるのには抵抗があったのだろう。 周囲から、もしくは親戚からの反対があったに違いない。不思議と涙も出なかった。 まるで感情が死んでしまったかのように。 唯一あるとすれば、静かな怒りだけ。なぜ罪を犯してもいない私が、こんな目に遭わなければならないの?私を地獄に突き落とした犯人たちは、今なお、何食わぬ顔で生きているというのに。 ――しかし、よく見ると、墓には比較的真新しい花が生けられていた。 全く手入れがされていない、というわけでもなさそうだった。「これも、両親かしら……。」そっと息を吸い込む。 高遠物産の社長である父は今、一体どんな思いをしているだろう。体が弱い母も……。私と朔夜の婚約は、鷹司ホールディングスと、長年付き合いのある高遠物産との間で決められた、いわゆる政略だった。半ば、まだ若くて力が及ばない朔夜のために、婚約を通して両親が快く手を貸してくれたのだ。 二人は、私が高校時代から朔夜のことが好きなのを知っていた。 そんな私たちを、彼らは温かく、心から応援してくれていたのに。朔夜。そんな両親の善意さえ踏み躙り―― あなたも、事件に関与した一人だというのなら、絶対に容

Más capítulos
Explora y lee buenas novelas gratis
Acceso gratuito a una gran cantidad de buenas novelas en la app GoodNovel. Descarga los libros que te gusten y léelos donde y cuando quieras.
Lee libros gratis en la app
ESCANEA EL CÓDIGO PARA LEER EN LA APP
DMCA.com Protection Status