Masuk最初から、心が移ったその瞬間に、正直に打ち明けるべきだったのだ。背徳の刺激を楽しみ、すべてが暴かれて血塗られた結末を迎えるまで放置するのではなく。「尋、最後にもう一度だけ言うわ……どいて」あの時彼が私に放った言葉を、そのまま返す。それは、想像以上に心地よいものだった。尋は硬直したまま、その場に崩れ落ちた。唯一の支えを叩き折られた人形のようだった。夜が明けてから日が暮れるまで、彼はそこに座り続けていたという。明け方、尋はふらつく足取りで帰宅する途中、車にはねられた。病院からの着信が、私のスマホに何度も何度も入った。私はふと考えた。私が出血多量で救急搬送されていた時、尋はあの着信画
私は美竹を恨んでいる。彼女に相応の報いを受けてほしいとも願っている。けれど、尋のようなやり方ではない。彼は一人の人間の人生を、道具のように老人に売り払い、涼しい顔で切り捨てたのだ。「尋、あなたはどうしていつも、他人の命をこれほど軽んじるの?」尋は私を見下していたからこそ、友人の前で平然と私を侮辱した。尋は私の子供を軽視していたからこそ、たった数言で子供を美竹の弟子にすると決め、その未来を蹂躙した。「違うんだ、栖、俺はただ……」彼は再び声を詰まらせた。「離して」私は彼の手を、冷たく見据えた。「私たちの間に、もう話すことなんて何もないわ。どうしてもあるとするなら、あなたはまだ私に
その時、玄関でカチャリと音がした。尋が怒りを滲ませた険しい表情で、そこに立っていた。美竹は気づかず、独白を続けていた。「本当は、記憶喪失なんかじゃなかった。適当な嘘をいくつか並べただけで、彼は面白いくらい簡単に私についてきたわ。……でも今、彼はまたあなたとやり直すって決めた。私にくれたものを全部取り上げて、私はまた、何もかも失った。栖、あなたってどうしてそんなに運がいいのよ!」尋は唇を固く引き結び、その瞳に猛烈な怒りの嵐を宿した。彼は大股で進み寄ると、美竹の細い首を掴み上げた。「この性悪女め!栖はお前にあんなに良くしてやったのに、どうしてお前は栖を傷つけた!どうして俺を、こん
栖、あなたは本当に図々しい女ね。ここは尋さんの家よ。あなたに勝手に決める資格なんてないはずでしょう!」美竹が口を開くたびに、うっすらと腐敗したような嫌な臭いが漂ってきた。そこでようやく、彼女が尋常ではないほどやつれていることに気づいた。「さあ、知らないわ。あなたの『尋さん』に聞けばいいじゃない」私は体を横にずらし、彼女が勢いよく家に入り込むのを冷ややかに見ていた。「今頃、得意絶頂でしょうね。子供が一人死んだくらいで、尋さんをあなたにべったりにできたんだから」美竹は慣れた手つきでキッチンへ入り、尋のコップを見つけて水を一杯注いだ。「これで勝ったと思わないことね。今の彼があなたに優し
……退院の日、尋はすべての仕事をキャンセルして迎えに来た。彼にこれほど甲斐甲斐しく扱われたのがいつ以来か、もう思い出せなかった。家の中は、すっかり様変わりしていた。以前は、棚の上に美竹の神楽鈴が置かれていた。主寝室にあった私の写真集は、すべて祝詞の本にすり替えられていた。私と尋の結婚写真は、いつの間にか尋と美竹のツーショットに替えられていた。クローゼットには、美竹の服まで何着か平然と並んでいた。けれど今は、それらがすべて消えていた。棚には私が一番好きなデイジーが飾られ、私たちの結婚写真が再び壁に掛けられていた。クローゼットには、尋が私のために仕立てさせた四季折々のドレスが整然と
かつての私も、家事など何一つできない箱入り娘だった。初めて料理に挑戦し、卵を三つ焼いた日のことを、今でも鮮明に覚えている。二つは焦げつき、一つは生焼けだった。手の甲には、跳ねた油で大きな水ぶくれができた。あの時、尋はおかしそうに私を見ていた。けれど不意に鼻をつまみ、二、三歩後ずさったのだ。「栖、お前、なんだか臭うぞ。お前みたいなどんくさい奴が料理なんて覚えられるわけないだろ。ちょっと火傷したくらいでメソメソ泣いて、自分が気持ち悪いと思わないのか?」尋もその出来事を思い出したのだろう。バツが悪そうに口を噤み、それ以上は何も言わなかった。「暇があるなら、早く離婚協議書にサインして」