二人はスクスクと成長しました。 二人が3才くらいの時に私とノービア様は結婚式を挙げました。 フラワーガール(?)として、二人が積極的に動いてくれて感無量です。 内緒にしているのですが、多分妊娠してるんじゃないかなぁ?と思ってます。 公表すると、また大仰に大変なことになりそうだし、結婚式が伸び伸びで遅れそうなので黙っていました。 ラファエルという立派な皇子がいるというのに、皇城では「もうひとりくらい皇子が……」等との声が上がっているよう。 現在お腹にいる子が男の子だろうと女の子だろうと私はいいんですけどね。男の子を望む声があるようです。そのような声を上げているのは、「結婚前に御子など…」と言っていた人ですね。覚えていますよ? ノービア様はそろそろラファエルにも剣術を教えようかなぁ等と言ってます。 アンジェリカは学習を好き好んでしています。読書が好きなようです。読めない文字、わからない単語など図書室に籠りがちです。 『アンジェリカに本が当たると危ない』とか言って、ノービア様はアンジェリカに専属の侍女を付けることに決めたようです。 3・4才で結構賢い子に育っているようです。「ノービア様。もしかすると、私は妊娠しているかもしれません」 そういうや否や、ノービア様は医師を手配。「そんな大事な事を黙っていたなんて!嗚呼、俺はどうすればいいのか?」 どうもしなくていいのですが、とりあえず部屋からは出て下さい。「アンリーヌ様、ご懐妊ですよ。おめでとうございます!「母上、僕はお兄さんになるのでしょうか?」「弟?妹?」 ラファエルもアンジェリカも速い…。ノービア様より早いじゃない。「ラファエルはお兄さんに、アンジェリカはお姉さんになるのよ。赤ちゃんの性別はまだわかんないなぁ」「「いつわかるのですか?」」 いつと言われても……。私はノービア様に助けを求め、目で合図を送った。‘タスケテ’と。「いっぺんに質問して母上を困らせるものじゃないぞ。赤ちゃんの性別は生まれたらわかるなぁ」「「いつ生まれるの?」」「「え?」」 来年の今頃には生まれてるけど、子供には長いのよね。「えーと、次の春くらいかなぁ?」「まだまだ先じゃない~」「お兄さんになるラファエルはもっと強くなってこの子を守ってよ!」「そうだね、時間はたっぷりあるもん。僕は頑張る!
長かった。 悪阻は苦しいし、陣痛もいたかった。 解放された。 私の子…は二人。 疲れで眠くてよく聞き取れなかったけど、男の子と女の子らしい。 皇子と皇女? まだ対面してないけど可愛いといいな。 ノービア様に似ていれば絶対に可愛いんだけど、お義母様も麗しい方だったし。「アンリ~~‼‼‼ありがとう‼‼‼‼私の宝が増えたよ。嗚呼、名前はどうしようか?」「落ち着いてください。ノービア様。私は実は私のこの顔を見たことがないのです」「何てこと⁈あの神がかった可愛らしい顔を‼何人の侍女があの顔でノックアウトされたことか」 まだ産まれて数時間なのに? 私はレアとリリーが連れて来てくれた我が子を初めて見た。 うん、確かにコレはすっごい可愛らしいね。欲目もあるんだろうけど。「いいえ、アンリーヌ様!お二人は非常に可愛らしく、さながら地上に舞い降りた天使のよう!」 それは堕天使?「そうか、それなら女の子の名前は‘アンジェリカ’だな。男の子は‘ラファエル’でどうだ?」「ノービア様の提案で良いと思います。国民は喜んでくれるでしょうか?」「何を言うんだ?この二人の可愛らしさでノックアウトだ。といってもそうそう会えないがな」 だよね。国民にお披露目するのっていつになるのかしら?「父う…陛下もすでにデレデレで、公務以外は二人の側につきっきりだ」 乳母が必要かしら?「ノービア様、乳母が必要になりますね。双子だし」「信用ならんものを二人に近づけるのは避けたい!レアとリリーとマイケルに交代で夜は看てもらうことにしよう」「3交代なら出来そうですね。母乳ではなく、近年増えているという粉ミルクというやつを夜間は使用してみよう。昼に起きている時は母乳で育てるというのはどうだろう?」「そうですね。なるべく親子でコミュニケーションを取りたいです。可愛いですし。このままだと、陛下を親だと勘違いするのでは?」「陛下は見過ぎだよな。仕事を猛烈な勢いで終わらせて、じーっと見てる。陛下の秘書官が「普段もあのくらいの勢いで仕事をしてくれれば」と嘆いたいたぞ」 私はそれを聞いて、ちょっと笑ってしまった。***************** さすがアンリーヌ様とノービア様の御子! 拝見させていただいたが、後光が差しているのでは?と思うほどの美しさ。 まだ、あどけなさがあ
「アンリーヌ様、ご懐妊です」 これは…お義父様もノービア様も喜んでくれるかもしれませんが、なにしろ結婚式の前での妊娠です。 王家がこれでいいのでしょうか?「いいのだ!アンリーヌ!よくやったな、二人とも‼くぅ~っ、これで私もおじい様というやつになるのだな?もう各国重鎮が揃った時に「カインド帝国の皇帝はまだお若いから、孫の可愛らしさがわからないのでしょうね」とか馬鹿にされないぞ。そしてさぞかし可愛いのだろうな。なにしろ、麗しいアンリーヌと我が息子の子供だからな。こうしてはいられない。急ぎ子供部屋の支度を!」 子供部屋って…気が早すぎます。自分の子も麗しいとか言っちゃうのは食堂にある肖像画のお義母様にノービア様が似ているからでしょうか?「ノービア様はお義母様にも似ていらっしゃいますよね。陛下にも似てらっしゃるんですよ。陛下自身は気づいていないのかしら?」「アンリはただ今は体を労わるんだっ。ああ、俺に出来ることはないのだろうか?」 うろたえてらっしゃるノービア様も素敵です。「ノービア様、アンリーヌ様に今必要なのは休息です。ノービア様がそんなに慌てていらしては心が休みません。どうぞ仕事にお戻りください」 さすが侍女は強いなぁ。ノービア様は泣く泣く(?)公務に戻って行った。この際に私の部屋には厳重な警備が敷かれた。皆さん過保護だなぁ。と思いながら、眠ります。********** ブラボー! 私が願って止まなかったお二人の御子をアンリーヌ様がご懐妊という話をリリーから聞いた。 生きていてよかった。 この国に来て良かった。 麗しいお二人の御子です。間違いなく可愛らしい御子が生まれることでしょう。 え?婚前なのに? そんなことは問題ありません。御子の可愛らしさを見れば、ノープロブレムです。 その後、リリーからは悪阻に苦しむアンリーヌ様の様子などを逐一報告を受けていました。 これも可愛らしい御子を目に入れるための試練です。 頑張っていただきたい。 私に今できる事など、口で応援することだけなのです。 微力な自分が恨めしい。 安定期に入ったとの報告も受けました。 一安心ですね。 天気のいい時は、レアとリリー、それに数人の護衛騎士を伴って皇城の庭を散歩しているとの話を聞きました。 軽い運動をした方がお産にいいといいますからね。
そういうわけで、ノービア様も私が‘常識’ある人間としてくれるようで…。 それはいいのですが、今夜は初夜ですか? 結婚式までまだあるし、あと半年くらい? 私がそう思うのは侍女の二人が用意した夜着。 スケスケネグリジェ……。 せっかく、湯浴みしてあったまったのに寒いじゃない! と、抗議すると「どうせ脱ぐんだから変わらないんじゃないですか?」「ノービア様が温めてくれますよ?」 等との声が。 それってやはりそういうことデスカ? 緊張していると、二人の部屋を繋ぐ戸からノービア様が現れました。 ノービア様もガウンを纏っただけのようです。 髪をキチンと乾かしたのでしょうか? 髪が湿っているように見えるのですが、錯覚でしょうか?「アンリーヌ、気が急いでしまってガウンの合わせが逆だよ。アハハ!」 やはり、慌てて来たようで、キチンと髪を乾かしていないようです。 といっても、タオルで拭くだけなんですけどね。「髪が濡れているようですよ?このままでは風邪を引いてしまうわ」 と、侍女を呼ぶベルを鳴らそうとした手をノービア様に止められた。「いいんだよ、このままで」 そのままベッドまで運ばれてしまいました。 あれよあれよとなされるがまま、気が付くと夜が明けていました。「あれ?もう朝なの?」 私は掠れた声した出ません。「ああ、無理をさせてしまったね。水はこれかな?はい、どうぞ」 ノービア様に水を渡され、喉が潤いました。「アンリ、体は大丈夫?」「ちょっとダルイかな?というか、今アンリって」「昨夜、さんざんアンリって呼んでたよ?嫌かな?」 私は首が取れるんじゃないかという勢いで首を横に振りました。「うん。それじゃあ、これからはアンリって呼ぶね」「そう呼ばれるのは、亡くなったお母様以来で懐かしく嬉しいです」「それは良かった。陛下にはアンリーヌって呼んでもいいって言おう。私はアンリって呼んでるけどね」 そう言ってウインクをするノービア様を見て赤面してしまうのです。「今日は体もダルイみたいだし。侍女の二人にシーツ交換してもらってゆっくりと体をやすませるといいよ」 ******************* その日のノービア様はご機嫌だった。 公務の進み具合もいつもより早いんじゃないか?ただ眠そう。 はっ、もしや…。 二人は遂に…⁉
私はレアとリリーから男女の交わりについて勉強した。 ‘神が遣わせた奇跡’とかこの歳まで言っていたことが恥ずかしい。 なんでも、‘常識’という事だ。 私はすっと‘非常識’だった。という事か…。 アイリアでの扱いが免罪符のようになっているようだけれど、酷く常識外れだったことが忍ばれる。 過去の自分の言動を消すことができるなら消してしまいたい。 穴があったら入りたい! レアもリリーも「初心で可愛らしかったですよ」と慰めてはくれたけれど、恥ずかしい! そういえばノービア様はこの間、キ…キスをした時に「今夜はこのくらいにしておく」とか仰っていたような…。 それって……。 「次はもっと先まで」って事かしら? キャー‼‼ 陛下も孫の顔とか仰っていたし、そういうことよね? えーっと、二人が結ばれても出来ない時は出来ない。ということだったわよね。 あと、ハジメテのときは痛い。という事も言ってたわ。 二人ともどうして詳しいのかしら? 「侍女仲間の噂話とか自慢話を聞いていると、そうなるのですよ」「そうそう、あとは経験談かしら?」 二人とも私より若かったような…。 お相手は頼りがいのある殿方かしら? 遊びでお付き合いをするような殿方は信用できないわよ!******************* アンリーヌ様は閨教育を受けられただろうか? もともと賢い方だというのに、そっちの方の知識が欠落していたことに驚きを隠せない。 もう、あれから数日経っているし、十分な知識を手に入れていることだろう。 そして、過去の自分について恥じているのでは?と思う。 責任感の強いお方だからなぁ。 そんなアンリーヌ様をその包容力で包み込んでくれたらなぁと期待しているのですよ、すぐそこで公務をなさっているノービア様! ああ、ノービア様も美丈夫だなぁ。やはり二人の御子に想いを馳せてしまう。「なんだ?マイケルこっちばかりを見て。まさか、お前そっちのけでもあるんじゃないだろうな?」「大丈夫ですよ!私は100%恋愛対象は女性ですから」「俺のアンリーヌは渡さん。変な目で見るな」「変な目かどうかはわかりませんが、私にとってのアンリーヌ様は女神のような方ですから。神々しく、美しく、賢く、誰にでも優しく、素晴らしい女性です。殿下にこそ相応しい!」「うむ。まぁ?褒めると
「ナニナニ~?二人、アヤシイ~?」 皇帝陛下は好奇心が旺盛のようですが、そこには『皇帝の威厳』のようなものはありません。「陛下といえども、不躾ですよ」 誰もが言いにくいことでも、皇太子&実の息子であるノービア様は仰います。「そうですよね?アンリーヌ?」 そう言われると、微妙なんですけど? 不躾なのは事実かもしれないけれど、私のような立場で陛下に向かって『不躾』というのはなかなか不敬じゃないのかと思ってしまうのです。「ちょっと、アンリーヌにキスをしただけですよ」「なんだ~、孫の顔が見れるかと期待したのに~」「ご期待に沿えずに残念です。私も」 ふえ?最後に、「私も」とか言った?ノービア様が残念に思ったという事? 私の体温は上昇するばかりの朝食となりました。 結果、私はのぼせて倒れてしまいました。「さぁ、殿方はアンリーヌ様をあまり困らせないで下さいな」 のぼせて体温が上昇してしまった私を二人の侍女がテキパキと回収していきました。「全く、デリカシーがないのかしら?アンリーヌ様は初心でいらっしゃり、そこも魅力ですのに」「そうですよね!こんなのぼせてしまうような体温になるなんて。もう、初心で可愛らしい‼」 『可愛らしい』とは?セーラを形容するための単語ではないの?「美しいのに、初心で可愛らしい所が同居しているなんて…。創造主は随分と麗しい方をお作りになったものです」 えぇっ?!そこまで言う? 私は、アイリアにいた頃実家で酷い扱いだったんだけど? まあ…今は…ノービア様の婚約者ですけど。 そういえば、陛下が孫の顔とか言っていたわね。 結婚していない男女で子供が出来るわけないじゃない! 赤ちゃんというのは、神が遣わした奇跡よ。 そんなことは子供でも知っているのに、何を言っているのかしら? 婚約式を終えたばかりの私とノービア様の間で赤ちゃんが出来るなんてないのに。******************** ノービア様から「キスをした」という真実を思い返しただけでアンリーヌ様はのぼせて倒れてしまったと聞いた。 もしかしたら…もしかしたらだけど。いや、アンリーヌ様に限って。しかし、アイリアでの生活では考えられないこともないな。 アンリーヌ様は…閨教育を受けていないのではないのだろうか? 実践はないだろう。貴族令嬢の価値は貞淑さ