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家族が隠していた秘密を死後に発見する

家族が隠していた秘密を死後に発見する

By:  今夜で大儲けCompleted
Language: Japanese
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飛行機が墜落し、遺体すら残らなかった。 5年ぶりに帰った家に足を踏み入れたのは、魂となった私だった。 家族は私がすでに亡くなっていることを知らず、正月に帰省するのを待ち続けている。 航空会社からの電話を受け取った母は、しばらく呆然として何も手につかず、やがて崩れ落ちて大声で泣き出した。 家族とともに再び事故現場を訪れたが、そこで思いがけず、みんなの頭上に浮かぶ「後悔値」を目にしてしまった。 弟の頭上には「後悔値:40%」 父の頭上には「後悔値:60%」 弟嫁の頭上にも「後悔値:30%」が表示され しかし、母の頭上には「後悔値:0」が点滅してい……

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Chapter 1

第1話

飛行機が墜落する前のあの瞬間、正直、私はあまり怖くはなかった。ただ、少しの後悔があっただけだ。

父と母との間にあった五年間の隔たり、やっとその氷が解ける日が来たのに、私は、大晦日のこの日、永遠に留まることになったのだ。

魂はずっと漂い続け、最終的に辿り着いた所は五年間帰っていなかった家の前だった。

家の扉には門松が飾られて、窓には綺麗な窓飾りが施されていた。

手を伸ばして扉を押し開けようとしたけど、なんと体がそのまま扉をすり抜けちゃった。

そうだ。

私は、もう死んだった。

数時間前のあの航空事故で、命を落とした。

あの飛行機に乗っていた140人全員が、誰一人生き残れなかった……

私はゆっくりと家の中に漂いながら入っていった。

家はとても賑やかに飾られていて、廊下の壁にはカラフルな電飾がかかっている。

両親と弟嫁はこたつに座りながら餃子を包んでいて、弟は奥でゲームに夢中になっている。甥っ子は新しい服を着て、手にした小さな電車のおもちゃで床を駆け回っている。

まさに「正月らしさ」が漂っている光景だ……

母が最後の一個を包み終わり、壁に掛かっている時計を一瞥して、少し眉をひそめた。すると、ゲームをやっていた弟に向かって言った。

「もうこんな時間なのに、楠子はまだ帰ってこないわね。

昨日、3時か4時には着くって言ってたのに、もう七時近いわよ。ちょっと電話してみなさい」

弟はゲームをしながら、目をちらっと母に向けて言った。

「ゲーム中。多分、飛行機が遅れてるんじゃないの?もうちょっと待とうよ。

だって今日帰ってくるって言ったじゃないの。急に予定を変えるわけないでしょ」

母は弟をじろりと睨んで言った。「五年前、あんたの結婚資金を出すために、お姉ちゃんの貯金を全部使ったんだよ。お姉ちゃんがどれだけ怒ったか、想像つく?五年間、一度も家に帰らなかったんだから。

今回、私が頼み込んだおかげで、やっとお正月に帰ってくるって言ってくれたの。

帰ってきたら、ちゃんとお姉ちゃんに気を使いなさいよ。わかってるでしょ?今年中に車が買えるかどうか、全てお姉ちゃん次第だからね」

母の言葉に、私はその場に立ち尽くしてしまった。

電話越しに涙ながらに「会いたい」と言い、「外で苦労してるんだからお正月くらい帰ってきなさい」と言った母の言葉が、まさか全部嘘だったなんて……

今回の帰省のために、同僚とシフトを交代して数日間の休みを取ったし、年明けには長時間の残業もしなければならない状況で、高いお金を払ってこの便のチケットを買ったのに。

もし母に急かされなければ、この「死のフライト」に乗ることもなかったかもしれない……

「お母さん、車のことなんて別にどうでもいいでしょう。大晦日にそんな話をしないでよ。

もし姉が怒ったら、また何年も帰らなくなったら困るでしょう。

それに、豪介ちゃんはあと二年で小学校に上がるんだから、結婚したときのマンションを売って学区の良い家に引っ越したいと思ってるの。やっぱりお姉ちゃんに手伝ってもらわないと」

弟嫁は袖をまくり上げながら言った。その手首には金色に輝くブレスレットがきらめいていた。

そのブレスレットを見て、私は冷笑を漏らした。

そのブレスレットは、初めて働き始めたときに母にプレゼントしたものだった。五年前に帰省したとき、母に「どうしてそのブレスレットをつけないの?」と聞いたら、「そういうのは苦手なんだよ」と答えた母、まさか弟嫁にあげていたなんて……

結婚のときに母に預けていた貯金を全部使い切ったかと思えば、今度は甥の小学校進学のために、また私に頼るつもりなのか。弟嫁の考え、なかなか計算高い。

やはり同じ穴の狢だ。

食い尽くし系の家族、まったくキモイ。

首を振り、一刻も早くその場を離れたいと思ったが、玄関まで行くとどうしても出られないことに気づいた。

振り返って家族をじっと見ていると、こたつで寝そべっていた弟が突然起き上がった。

携帯を握りしめ、母をじっと見つめて尋ねた。

「姉ちゃんのフライトってUM7838便だったよね?」

母は眉をひそめた。「そうだったと思うけど……どうしたの?帰らないって?」

弟はこたつから飛び出し、顔を真っ青にして叫んだ。

「この飛行機、墜落したんだ!」
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