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第4話

Author: 9月の風
陽葵の頭の中で、激しい轟音が鳴り響いた。まるで突然巨大な岩石で打ち据えられたかのような衝撃に襲われ、頭が割れてしまいそうに痛む。

「嘘よ……嘘でしょう!」

目の前が真っ暗になり、力なく佳代のベッドの前に崩れ落ちた陽葵は泣き叫んだ。「お金なら、用意できたのに。これでまた元気になれるはずだったのに!どうして待っててくれなかったの……どうして……」

火葬はあっという間に済んだ。魂を抜き取られた抜け殻のようになっていた陽葵が再び対面した時、佳代はすでに冷たい骨壺の中に収められていた。

骨壺を渡される際、看護師が一つの書類袋を差し出した。これが佳代が最後に遺したものだという。

陽葵が急いで中を開けると、そこには美香の写真と、陽葵自身の写真が入っていた。

さらに一枚のDNA鑑定書が同封されており、そこには美香と陽葵の名前とともに、二人が実の母娘であるという鑑定結果がはっきりと記されていた。

あまりの衝撃に手が震え、指先から書類袋が滑り落ちる。

佳代が言っていた人とは、他ならぬ美香のことだったのか。けれど、よりによってどうして、栞奈の母親なのだろう。

一方その頃、栞奈の父親である水瀬和彦(みなせ かずひこ)と美香を連れて病院へやって来ていた栞奈は、廊下の向こうから歩いてくる陽葵と鉢合わせた。

「どうしてどこに行っても、この忌々しい女に出くわすのかしら」美香は露骨に不快そうな顔を歪めた。

陽葵は目の前に立つ美香を見つめた。身に纏う衣服はどれも華美で上質、その指先は白く滑らかだ。一目で、温室育ちの恵まれた生活を送ってきたことがわかる。

陽葵は自分のこれまでの過酷な歳月を思い返した。ゴミの山を漁っては使えそうなものを探し出し、他人が食べ残した残飯を拾い食いして、冬になっても寒さを凌ぐ分厚い上着すらなく、凍傷で体中を青紫に腫らしていた日々。

もしあの時、孤児院に引き取られていなければ、とうの昔に道端で野垂れ死んでいたはずだ。

陽葵は涙を浮かべて美香に尋ねた。「あなたには……栞奈の他に、もう一人娘がいるんじゃないの?」

美香の目に一瞬、戸惑いの色がよぎった。栞奈を産む前、水瀬家には確かに別の娘がいたが、3歳の時に行方不明になっていたのだ。

それは和彦と美香にとって長年消えることのない心の傷であり、今日に至るまで水瀬家はずっとその子の捜索を諦めていなかった。

だが、美香はすぐに目を吊り上げた。「どうしてそれを知っているの?ああ、分かったわ。うちのことを嗅ぎ回ったのね?言っておくけれど、もし栞奈に少しでも危害を加える気なら、この私が絶対に許さないわよ!」

「お母さん、彼女に腹を立てるだけ無駄よ。あんな惨めなピエロに、私をどうにかできるわけないじゃない」

和彦が冷たく言い放った。「栞奈、お前は人が良すぎるんだ。あんな親なしの野良犬は、幼い頃からまともな躾を受けていない。どんな汚い手を使ってくるか分かったもんじゃないぞ」

栞奈は鼻で笑った。「お父さん、そんな言い方しちゃだめよ。正確に言えば、陽葵は親がいないんじゃなくて、実の親を見つけられない孤児ってだけだもの」

美香が同調する。「親が見つからなくてかえって幸いだったわね。もし実の親がこんな出来損ないの姿を見たら、さぞかし疎ましく思ったでしょうから」

その言葉を浴びるうちに、陽葵の瞳からボロボロと涙がこぼれ落ちた。

「ええ、そうよ。私には親がいないわ。そんなに私に何をされるか怖いなら、二度と私に構わないで!」

彼女は佳代の骨壺を抱きしめ、逃げるようにその場を走り去った。これ以上一秒でも長くここにいれば、耐えきれずに美香に向かって真実を叫んでしまいそうだったからだ。

この忌まわしい、出来損ないの私こそが、あなたたちの実の娘なのだと。

誰もいない片隅まで駆け抜けると、陽葵はようやくその場にしゃがみ込み、冷たい骨壺をきつく抱きしめながら声を上げて泣き崩れた。

――佳代さん。私のお父さんとお母さんを見つけてくれたのに、どうしよう。あの人たちは、私のことなんて少しも好きじゃないみたい。

この世界で一番私を愛してくれたのは佳代さんだけだったのに……今度は佳代さんまで、私を置いていってしまったのね。

ひとしきり泣きはらし、陽葵が立ち上がろうとしたその時、不意に目の前が真っ暗に沈み、頭の中が真っ白になった。

茫然と前を見つめたまま、彼女は自分が帰るべき道すら思い出せなくなっていた。

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