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無表情で、果てる

작가: 中岡 始
last update 최신 업데이트: 2025-07-28 09:49:00

身体が揺れ、湿った音が部屋にこだました。

藤並は目を閉じなかった。

天井を見つめたまま、呼吸だけを続けていた。

規則的な動き。

それに合わせて、体内の熱が一定のリズムで高まるのを感じていた。

だが、その熱は心には届かなかった。

身体は、ただ物理的に反応しているだけだった。

美沙子の動きに合わせて、硬さは維持された。

内部で蠢く感覚も、今や習慣になっている。

何度も繰り返してきた動作だ。

数え切れない夜を過ごしてきた。

だから、恐怖も嫌悪も、もう何もなかった。

「蓮くん、そろそろね」

美沙子の声が耳に落ちた。

その声も、藤並には遠く感じた。

耳の奥で、くぐもった音のように鳴っているだけだった。

「はい」

藤並は、静かに答えた。

唇の端を少しだけ上げた。

営業用の微笑みと同じ表情。

完璧な笑顔だった。

だが、目の奥は焦点を結ばなかった。

何も映さず、ただ空間を見ている。

美沙子が腰を沈めるたび、藤並の身体は内側から膨らむような感覚を抱えていた。

だが、それは快楽ではなかった。

身体だけが、反射的に終点へ向かって進んでいる。

心は、そこにいない。

ただ、作業が終わるのを待っているだけだった。

その瞬間が来た。

熱いものが、奥へと流れ込んでいく感覚。

その感覚だけは、どうしても避けられない。

白濁が流れ込む瞬間、藤並は天井を見たまま、微笑みを保った。

心は静かだった。

波立つものはなかった。

ただ、身体の機能が終点を迎えただけだった。

絶頂による安堵も、恥も、快感も、もう感じなかった。

美沙子は、藤並の髪を撫でた。

指先が額に触れる。

その手つきは、どこか慈しむようだった。

「やっぱり、蓮くんは可愛い」

美沙子が囁いた。

唇が耳元に触れる。

湿った吐息が頬にかかる。

けれど、藤並の心は動かなかった。
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