支配されて、快楽だけが残った身体に、もう一度、愛を教えてくれた人がいた~女社長に壊された心と身体が、愛されることを思い出

支配されて、快楽だけが残った身体に、もう一度、愛を教えてくれた人がいた~女社長に壊された心と身体が、愛されることを思い出

last update최신 업데이트 : 2025-09-28
작가:  中岡 始완결
언어: Japanese
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支配されて、快楽だけが残った身体に、もう一度、愛を教えてくれた人がいた。 ――女社長に壊された心と身体が、愛されることを思い出すまで。 藤並蓮は、家族を守るために自分を売った。 支配され、壊され、快楽だけを刷り込まれた身体。 それでも、心の奥には「愛されたい」という願いが残っていた。 湯浅律は、その手を離さなかった。 守るだけではなく、共に並ぶことを選んだ人。 ただ抱かれる夜ではなく、「生きていい」と思える夜を、藤並に与える。 支配か、自由か。 快楽か、愛か。 壊れたまま終わるか、もう一度、立ち上がるか。 これは、傷ついた心と身体が、 「好きだ」と言っていい未来を選ぶまでの物語。

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1화

雨粒と名札

妊娠25週目の健診の日、中山美羽(なかやま みう)は夫の浮気を目撃してしまう。

黒いコートを羽織った背の高いハンサムな男性が、腕の中にいる可憐な美人をかばうように立っている。その女性は白いコートを着て、頬はほんのりピンク色に染まっている。ふわふわのマフラーに包まれた小さな顔は、まるでお人形のように精巧な顔立ちだった。

美羽は健診結果の用紙を指が白くなるほど強く握りしめた。冷たい風が頬をかすめる。だけど、体の芯まで凍えさせるのは、ズキズキと痛む心のせいだ。

中山翔平(なかやま しょうへい)は、遠くにいる美羽の姿に気づいた。でも、その表情は平然としていて、浮気現場を見られた気まずさなんて微塵も感じさせない。それどころか、彼はその女性のために自ら車のドアを開けてあげるなど、終始優しい態度を崩さなかった。

いつもは人を寄せ付けない冷たいエリートなのに、こんな風に誰かを気遣う優しい一面もあるなんて。

その女性は美羽の視線に気づいたようだ。一瞬動きを止めると、不思議そうに美羽を見てから、翔平に尋ねた。「翔平さん、あのおばさん、ずっとこっちを見てるけど、知り合いなの?」

冷たい風が耳元で低く鳴った。

美羽には、その女性が翔平に何を言ったのか聞こえなかった。

それでも、彼女の口の動きで「おばさん」と言われたことだけは、はっきりと分かった。

「おばさん」って?

きっと、自分のことを言っているのだろう。

美羽は、心の中で力なく笑った。

まだ今年で24歳になったばかりだというのに。

もともとぽっちゃり体型なのに加え、顔立ちもごく普通。黒のダウンに黒のニット帽をかぶれば、妊娠後期のむくんだ体は重苦しく見える。やつれた顔も相まって、たしかに30代みたいだ。若くてきれいな美人とは比べものにならない。

翔平は、その女性が車に乗るのを優しくエスコートした。

美羽は体がこわばって、その場に立ち尽くした。車が走り去っていくのを、ただ見送ることしかできなかった。

美羽と翔平は、お腹の子供がきっかけで結婚した。翔平のようなエリートにとって、この不本意な結婚は順風満帆だった人生に生じた唯一の瑕のようなもので、お腹の子も、美羽が自分を縛りつけるための手段にすぎなかった。

翔平は、美羽のことを心から憎んでいる。

美羽は翔平に8年間も片想いをしていた。でも、自分が翔平にふさわしくないことを、美羽は分かっていた。だから、必死に勉強して、翔平を人生の目標として、その後を追いかけ続けた。

そしてついに願いが叶い、翔平の秘書として、そばに居れるようになった。

あの夜は、翔平の人生を狂わせただけじゃない。自分が大切にしてきた誇りもプライドも、無情に引き裂かれてしまった。

後になって、翔平が自分に向けた、まるで汚らわしいものでも触ったかのような、あの嫌悪に満ちた目を、一生忘れない。

だから、翔平にふさわしいのは、あんな風に綺麗で可愛らしい女性だけなんだ。

熱い涙が目じりを伝ってこぼれ落ちた。その直後、下腹部に激痛が走る。美羽は慌ててお腹に手を当て、もう片方の手でそばの石柱に寄りかかった。

通りがかった看護師が美羽に気づき、すぐに駆け寄って支え、診察室へ連れて行ってくれた。

どうやら、強いストレスでお腹の子に影響が出たらしい。

しばらくして、落ち着きを取り戻した。

美羽は病院を出て、心身ともに疲れきった体を引きずり、一人で車を運転して月見ヶ丘の家へ帰った。

ここは、翔平の私邸だ。

本邸にいる中山家当主夫人の中山日和(なかやま ひより)が、経験豊富な家政婦をよこして、美羽の世話をさせていた。

その頃。

美羽の世話係であるはずの家政婦二人は、まるでこの家の主人のように、暖房の効いたリビングで食事を楽しみながら談笑していた。

家政婦たちは物音に気づき、ドアの方へ振り返った。

美羽が帰ってきたのを見ると、家政婦の一人が立ち上がって近づき、こう尋ねた。「検診の結果はどうでした?」

その態度は横柄で、口調には侮蔑の色がにじんでいた。

世話係という名目だったけど、実際は自分を監視し、この家の主人にふさわしいかどうかを見張るためだった。

美羽はただ冷ややかに家政婦を一瞥しただけで、何も答えずにまっすぐ階段の方へ向かった。

家政婦は不満そうに眉をひそめた。

「聞いてますか?」

美羽は、それでも無視を続けた。

家政婦は美羽の後ろ姿を見ながら、悪態をついた。「デブのくせに。本当に自分がここの女主人だとでも思ってるのかしら。気取っちゃって」

美羽は寝室に戻り、ベッドに腰を下ろした。心は空っぽで、どうしていいか分からなかった。

翔平も、中山家も、自分を嫁として認めていなかった。

日和の判断で、自分と翔平は入籍した。

でもそれは、ちょうど自分が妊娠して翔平の元を訪れた時に、彼の祖父である中山剛(なかやま つより)が重病だったから。病気の剛のために縁起を担いで、入籍と出産という重なる喜びにあやかり、せめて祖父の快癒を願いたかったのだ。

偶然か、本当に縁起担ぎの効果があったのか、剛の病状は少しずつ良くなった。

それから、日和の自分に対する態度も少しは改まった。

それでも、中山家の他の人たちは、相変わらず自分を軽蔑していた。

今日、病院へ検査に行ったのも、お腹の子の性別を確かめるためだった。結果は、女の子。

翔平の母親である中山百合(なかやま ゆり)のもとには、もう病院から連絡がいっているだろう。

その時、スマホが震えた。

美羽ははっと我に返った。

バッグからスマホを取り出すと、表示された名前に少し驚いた。指導教授の佐野隆(さの たかし)からの電話だった。

美羽は通話ボタンを押した。

「佐野先生、こんにちは」

「エルスタンフォード大学で博士課程に進める枠が一つあるんだが、挑戦してみないか?」

隆の言葉に、美羽はしばらくの間、呆然としてしまった。

美羽からの返事がないので、隆は言った。「必要ないなら……」

「行きます」

美羽は我に返り、すぐにきっぱりとした声で答えた。

今度は隆の方が黙り込んでしまった。

美羽が翔平のそばに立つ資格を得るために、どれだけ努力してきたか、隆は誰よりもよく知っていたからだ。

今ようやく念願の思いが叶い、結婚して妊娠までしたのに。そんな美羽が、簡単に全てを捨てて離れるはずがない。

手元に残っていたこの枠について、ただダメ元で美羽に尋ねてみただけだった。

「佐野先生」

美羽は呼びかけた。

隆は言った。「それなら、明日の午前10時に私の研究室に来てくれるかな」

「はい」

隆はそれ以上何も言わず、電話を切った。

スマホを置くと、美羽は長く息を吐き出した。

突然、立ち込めていた暗雲が晴れ、明るい月が見えたような、不思議な解放感を覚えていた。

もう、目を覚まさなきゃ。

あなたを愛していない男にとって、子どもは彼をつなぎとめる理由にはならないし、振り向いてくれることなんてないのだ。

そこへ、日和から電話があり、本邸に来るように言われた。美羽は了承した。きっと、お腹の子のことで話があるのだろう。

美羽は気力を取り戻した。

まずバスルームへ向かい、ゆっくりとシャワーを浴びた。

ドレッサーの前に座ると、美羽は鏡の中の自分を見つめた。むくんでまん丸になった顔、目の下のクマ、たるみ、くぼんだ目元、両頬にできたシミ。

こんな醜い姿、誰が見たって嫌になるだろう。

こんな自分が、どうして翔平のような恵まれた人の隣に立つ資格があるというのだろう。

美羽は化粧をし、ピンクのダウンに着替えた。そして白く丸い帽子をかぶると、ずいぶん生き生きとして見えた。

美羽は、自分で車を運転して本邸へ向かうつもりだった。

しかし、ちょうど家を出たところで、翔平から電話があった。彼の平坦な声が聞こえる。「外へ出ろ」

美羽は驚いた。

きっと、日和が翔平にも本邸へ戻るように言ったのだろう。

美羽は答えた。「はい」

家を出ると、翔平のロールスロイスが入口の前に停まっていた。ほんの数時間前、この車は他の女を乗せていたのに。

美羽は息を深く吸い込んでから、車に近づき、ドアを開けて乗り込んだ。

車に乗った途端、ほのかに香水の匂いがした。甘く若い女性の香りだ。車内にはピンクのクマのぬいぐるみが置かれていて、いかにも若い子の趣味なのが分かる。

ふと顔を上げると、翔平の手首にヘアゴムが巻かれているのが目に入った。

これは、女性が「私の彼氏よ」と周囲に示すための印だった。

翔平は、きっとあの女性のことがとても好きなんだろう。

美羽は胸の奥の苦い気持ちを押し殺し、席に座ってシートベルトを締めた。

運転手がゆっくりと車を発進させた。

美羽は黙ったまま、窓の外を眺めていた。

以前なら、翔平と二人きりになれる時間を大切にして、関係を縮めようとしただろう。たとえ嫌がられても、めげずに話題を探して話しかけていたはずだ。

それは、自分たちがもう夫婦で、子供もいて、これから先も長い人生を共にする、という純粋な幻想を抱いていたから。良き妻、良き母親であれば、いつか翔平も自分を振り向いてくれるかもしれない、と。

でも結局、それは全部、自分自身をだましていただけだった。

翔平は、美羽の今の気持ちなんて気にも留めていなかった。いつものように冷たい態度で、こう尋ねた。「子供の性別は?」

美羽は答えた。「女の子よ」

その言葉を聞いても、翔平の端正な顔には何の変化もなかった。ただ、淡々とした声で言った。「子供が生まれたら、離婚しよう」

その言葉が心を切り裂いた。

美羽は指先に力を込めた。

心臓をぎゅっとわしづかみにされたみたいに、息が苦しくなる。

この結婚が長く続くはずがないことは、もともと分かっていた。でも、いざ翔平自身の口からそう言われると、やはり胸が張り裂けそうに痛かった。

美羽は唇をきつく噛みしめて、答えた。「分かった」

翔平は美羽の方をちらりと見た。彼女があまりにもあっさりと同意したことに、少し驚いたようだった。

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雨粒と名札
小雨が降っていた。四月の終わりとは思えないほど肌寒い日で、ホテルのロビーには湿った空気が籠もっていた。藤並は、冷えた指先で資料を抱えながら、経営者向け講演会の控室へと足を運んでいた。黒いスーツの上着は肩のラインがきちんと整えられ、ネクタイも完璧に締められている。だが、胸元につけた名札の裏で、藤並の心は静かに擦り切れていた。「藤並 蓮」と書かれた名札は、白地に黒文字のシンプルなものだった。名札の文字を何度も指先でなぞりながら、彼は思っていた。自分は、名前で呼ばれることなんてほとんどない。ただ「顔がいい」と言われるだけだ。面接でも、企業説明会でも、いつも決まって同じことを言われる。「君は華があるね」「営業に向いているよ、顔で得するだろう」何度その言葉を聞いただろうか。最初は受け流していたが、だんだんと胸の奥に澱のように溜まっていった。「顔だけで選ばれるなら、いっそ商品になればいいのに」と、ふと心のどこかで思うことがある。資料を抱えた腕に、かすかな汗が滲んだ。冷たいのか、熱いのか、自分でもよくわからない。会場のドアの前で立ち止まり、深呼吸を一つ。口角を上げる。それが、藤並の「就活用の顔」だった。ガラス越しに見える外の景色は、ぼんやりと滲んでいた。小雨が窓を伝い、しずくがゆっくりと滑り落ちていく。その動きを眺めながら、藤並は思考を止めた。考えれば考えるほど、足が動かなくなるからだ。「…失礼します」低い声で控室のドアを開ける。中には、講演会を終えた経営者たちが談笑していた。スーツの色は濃いネイビーやブラック。時計は高級ブランドのものばかりだ。湿った空気の中で、あの人たちだけが別の時間を生きているように見えた。「こちら、次の資料になります」藤並は丁寧に資料を配る。目線は胸の高さ。相手の目は見ない。見れば、何を考えているかすぐにわかってしまうからだ。「君、学生さん?綺麗な顔してるね」やっぱり、そう言われた。にこりと笑って「ありがとうございます」と返す。これも就職活動の一環だ。ボランティアスタッフとして働くことも、業界の空気を知るためだと自分に言い聞かせていた。けれど、心のどこかが冷えていくのを感じた。何をしても、俺は商品にしか見られない。顔を褒められるたびに、内側が削られていく。資料を配り終え、最後の一冊を抱えて立ち止まる。鏡に映った自分
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契約のための夜
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白い手が首を撫でる
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濡れた身体、乾いた心
美沙子の指先が、藤並のズボンのホックにかかった。カチリと小さな音がして、ベルトが緩められる。その音が、耳の奥で何度も反響した。「力を抜いて」美沙子の声は、いつも通り柔らかい。その声を聞きながら、藤並は息を止めた。力を抜けと言われても、身体の芯が固まっている。けれど、抗えなかった。ズボンが、ゆっくりと膝まで下ろされる。下着の上から、股間に手が伸びた。指先が、生地の上から形をなぞる。その感触に、藤並は喉の奥でかすかに息を漏らした。「ほら、こんなに」美沙子が笑った。指が、下着の縁にかかる。一瞬、止めてほしいと思った。けれど、止める言葉は出なかった。下着が滑り落ちる。露わになった性器は、すでに熱を帯びていた。皮膚が張り詰めている。先端は濡れて、微かに光っていた。「やっぱり、可愛いわ。素直ね、蓮くん」美沙子の指が、そこに触れた。爪を立てるわけでもなく、ただ柔らかく撫でる。けれど、その優しさが、逆に藤並には苦しかった。「違う。これは違う」心の中で呟く。「俺は、こんなふうに反応したかったわけじゃない」けれど、身体は正直だった。触れられれば、熱くなる。快感が、じわりと滲み出す。拒絶したいのに、呼吸が浅くなっていく。「本当は…」唇を噛んだ。舌の裏側に、血の味が広がる。でも、痛みすらも、何も感じない。ふいに、野村の顔が浮かんだ。中学のとき。放課後の校舎裏で、肩が触れたあの瞬間。何も言えなかった。好きだなんて、言えるはずがなかった。「野村…」心の中で、その名前を呼んでしまった。唇を噛みながら、心の奥で、何度も。美沙子の唇が、藤並の性器を包んだ。湿った温度が、先端を覆う。
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檻の中で果てる身体
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