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3. 「異世界ほのぼの日記」㉞

작가: 佐行 院
last update 최신 업데이트: 2025-02-09 09:09:03

-㉞子供の教育と食事-

 光はある人に電話をして午後に会う約束を取り付けた、メイスは横にいながらぽかんとしている。

 午後になって、光はメイスを連れ教会を出た。15分程歩いただろうか、田園風景が広がる場所に着きそこで約束を取り付けた人、ガイに声を掛けた。

光「お久しぶりです、ごめんなさい急にお願いして。」

ガイ「光ちゃんの頼みなら聞かない訳には行かないや、俺でよければ何でも言ってよ。」

メイス「あの・・・、これから何を?」

光「もう分かっているのかと思ってましたが、まぁいいか。子供たちの食育も兼ねて農業体験でもと思ったんです、土に触れ遊びながら自分達で食べる食糧を自分達で作りありがたみや大変さを学びつつ教会の食費を浮かすという作せ・・・、いや提案です。」

メイス「なるほど、良い提案ですね。早速教会に持ち帰って聖職者たちに話を持ち掛けてみます。」

 光の作せ・・・、いや提案は教会でも絶賛され即採用となった。早速次の日から子供たちがガイの田んぼで米を育て始めた。川から水を引き稲を1本ずつ大切に植え小さな合鴨を離した、これで害虫などによる稲への被害は減るだろう。田んぼを眺めながらメイスは光にお礼を言った。

メイス「ありがとう、これからは私もちょこちょこ見に来るわね。」

光「私もそうするかな・・・。」

 すると光はメイスに微笑みかけ、パン屋の仕事へと向かった。

 光が『作成』で作った肥料により米は1週間ほどで実り、早くから収穫の日を迎えた。合鴨のお陰で害虫の被害は無く無事にすくすくと育ち穂を垂れている。

 教会で面倒を見ている子供達が嬉しそうに田んぼへとやって来た、メイスも女の子に手を引かれほぼ無理くりの駆け足でやって来た。

 光も鎌を手に収穫に参加する事にした、子供達に教えながら1束1束丁寧に刈っていったが人数が多い分短時間で収穫が終わった。肥料のお陰で乾燥もすぐに終わってしまった。

光「これを脱穀と精米して炊いたら美味しいご飯の完成だね。」

子供達「はーやーくー!」

メイス「慌てない慌てない、炊けるまで皆で遊びましょう。」

 稲を刈った後の田んぼは子供たちの格好の遊び場となった。「空腹は最高のスパイス」だ、おかずに悩まなくて済みそうだ。シンプルな塩むすびで存分に喜んでくれるだろう。後は白菜の浅漬けでも出してあげるか、あれは日本酒の肴にする用に漬けたものだが米にも合う、
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    -㉟小さく大きな建設計画- メイスは光にある相談を持ち掛けた、流石に美味しくても毎日白い飯と漬物だけでは飽きてくる。そこで光は自宅の家庭菜園へ招待する事にした。先日米作りの時に使った肥料のお陰か野菜が豊富に実っていた。 庭にテーブルを出し汚れない様にゲオルの店で買っておいたラップを巻き付け、その周りに子供達を集めた。先日、ガイにお裾分けしてもらった小麦粉を使い生地を作り、薄く丸く広げる。そこに自宅で採れたトマトで作ったソースを塗り、切ったベーコンとナル特製のモッツァレラチーズを散らす。子供達にちぎりながら散らしてもらうべくナルに頼んで作り方を教えて貰いながら一緒に作っておいた。 ベーコンは先日『作成』で作ったタンドールを利用した燻製器で作った自家製だ。豚バラのブロック肉を仕入れて燻製し今回用に半分、そして自分の晩酌用に半分と分けてある。 さて、もうお分かりのはずだが光は今回、子供達とピザ作りをする事にしていたのだ。ただやはり子供達が嫌う野菜の代表格と言えるピーマンを彩りの為乗せたい、そこで見た目が分からなくなるまで木端微塵に刻み市場で買ったトウモロコシやツナと一緒に散らす事にした。 子供達が遊び感覚で小さなピザを各々で作り、それをメイスや丁度休日だったゲオルの協力で高温に熱されたピザ窯(これもタンドールの窯を利用したもの)に入れて焼いていった。 数分後、子供たちのピザが焼けたので配り、食事会の始まりとなった。子供達が先日と同様に祈りを捧げ食事を始める、焼きたてのピザは熱々だったが味は好評で子供たちは知らないうちにピーマンを克服していった。 食事会が終わり、メイスの引率で子供達が教会に帰った頃、光は何故か不服な気持ちになっていた。何かが足りない・・・、ただ何故か思い出せない。そこで改めて自分が焼いたピザを一口齧り咀嚼していった。光「マッシュルーム・・・、茸(きのこ)食べたい!」 唐突にそう思った光は庭の空いている土地に鋼鉄で作ったハウスを『作成』で建設し、内側にビニールを張り巡らせた。川から引いた水を利用し、まず水車を利用した簡易式の水力発電装置を設置して、普段家で利用している蓄電池に接続した上でハウス内の電力を確保する。流水を利用したシャワー設備を構築して年中茸が育つ状態にした。 空調に関しては苦労した。エアコンや換気扇は無事に設置出来たが、こ

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊱

    -㊱違和感の世界で・・・、え?- パン屋での仕事を終わらせた光は街中を少し散策して帰ることにした、いつもさり気なく通る道を改めてゆったりと歩いてみると何かしら発見がありそうでワクワクしてくる。 先日、呑み会を行ったパン屋の裏通りを少し歩いてみよう。テラス席が沢山ありカレーハンバーグが人気のコーヒー専門店や東京の浅草にありそうな風格のある老舗っぽいカレーが人気のメイド喫茶、そして元々賄いだった裏メニューのカレー茶漬けが密かな人気になっているインドカレー専門店など日本にあっても違和感ばかりの店が並んでいた。 川に座敷と半分に切った筒を設置して「流しカレールー」をやっている店もある、ただ利用してもなかなか掴めないので客足が遠のくばかりで次の策を考えている様だ。 いつ考えていつ作ったのだろうか、蛇口を捻ればオレンジジュースやカルピス、焼酎、生ビール、そして変わり種としてカレールーが出てくるお店も発見する。ただこのお店、お水が出てくる蛇口は無いらしい。光「か・・・、カレーばっかりじゃん・・・。」 様々なお店の前を通り少し引きながら散策して行った、店員さんがいたら確実に店に引きずり込まれる。しかし、今は何となくカレーの気分ではない。 行き止まりになったので来た道を戻り街の中心部へと戻ることにした、鬱陶しい位に嗅ぎ飽きたカレーの匂いに包まれゆっくりと歩く。 先程通った蛇口のお店で見覚えのある女の子がご飯片手にカレーの蛇口の前にへばりついていた、またカレー茶漬けばかりを沢山頼んで他の料理も食べて欲しい一心の店主を泣かせている見覚えのある男の子もいる。老舗っぽい店で両脇に種類の違うルーを持つメイド2人を従えひたすらカレーをがっつく見覚えのある女性、そしてスプーンの代わりに中華料理で使う蓮華で流れるカレールーをすくおうと必死になる見覚えのある男性。ただとろみがあり中々流れてこない上に流れてきても蓮華では全て取れない。因みに「大き目のおたま」はオプション料金らしい。 しかし今着目すべきはカレールーのとろみ加減やオプション料金のおたまではない、カレーを食べている人たちを先日どこかで見たことがあるという事だ。全員が私服なので違和感が勝り正直誰なのか思い出せない、光はカレールーを必死に取ろうとしている男性に見覚えのある服装を頭の中で着せてみた。光「えっと・・・、まさかね・

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊲

    -㊲子供達のために?- 異世界に来てどれ位経っただろうか、光はコーヒーを片手にふと思った。神様には何もしなくていいと言われたが今まで色々ありすぎて自分で言うのも何だがそれなりに活躍してきたと胸を張って言える気がする。 しかしそれなりにこっちでの催しや遊びも楽しんできた、結構日本に近い物を感じていたが異世界なりの変化もあったのでそれはそれで良しとした。 1人の大人として楽しく過ごしてはいたが疑問に思う事がある。 この国に子供たちの為の遊び場ってあっただろうか、と。 大人たちは街の西側にあるレース場公園夜銭湯や呑み屋で楽しめるが、子供達が遊べる公園や遊園地などの遊び場は見当たらない。 たまに田畑の端を走り回る姿は見かけたがそれ以外は殆ど見ていない。 そこで、教会に行き、アーク・ビショップのメイスに相談を持ち掛けてみる事にした。メイス「確かにその通りかも知れませんね、隣国では公園や遊園地などで友達を得る子供達が多いですから。」 教会は孤児院を兼ねていて、子供達が勉学を学ぶ施設や少し狭めだが小学校の様に遊具のある運動場も併設している。 そこでメイスが国王のエラノダに相談を持ち掛ける事にした、アーク・ビショップには国王以上の権威や権利のある人間達もいてメイスもその内の1人だった。 翌日、メイスは王宮へエラノダに直接会いに行った。エラノダ「そうですか・・・、それは盲点でしたね・・・。」メイス「子供たちにはお友達やご家族の方々との楽しい交流の場が必要とされています、この機会にご検討をお願いいたします。」 エラノダは即決断し王国軍の将軍達を集め作業の指示を出した。初めの第1歩として光の家がある住宅地近くに公園を作った、決して大きくはないがブランコや滑り台、そしてジャングルジムなど子供達が楽しめる遊具が設置された公園だ。 次にインパクトのあるものをと考え、銭湯の向かいの駐車場の端に山の斜面を活かしたローラー滑り台を作ると一瞬にして子供たちの注目の場になった。 そして銭湯に引いている温泉を利用し年中通える温水プールを建設して親子連れでワイワイしながら楽しめる場所とした。 メイスはエラノダに直接相談を持ち掛けて正解だと思った、まさかこんなに早く解決するのは予想外だったがこれも王国軍の仕事の早さの賜物だ。 温水プールの利用客の為、街の洋品店が水着やプー

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    -㊳学びの場- 温水プールではっちゃけた数日後、街中のカフェテラスでネスタが尋ねた。ネスタ「そう言えば、あんたはどこの魔学校に通ってたんだい?」 ネスタは光と一緒で日本からこの世界に転生して来た林田警部の奥さんだ。 この世界では住民が魔法を使えて当然との事だがどこかで学んでいた等の話は全く聞いた事が無かった、ネスタには自分がどうやってこの世界にやって来たかを伝えてはいる。 光は一応、大卒の会社員だが勿論魔法なんて日本で学んだ事は無い。 この世界では小中学校、高等学校、専門学校、そして大学という概念が無く学校と言えば魔法を中心とした勉学を学ぶ「魔学校」のみだそうなのだ。そこでは種族関係なく子供達が6歳から15歳まで学ぶことになっている。 夫の林田警部が転生者でありどこで学んでいたか知りたかったのだろう。光「私の元の世界には魔法自体が無くて、魔学校というものも無かったです。」 因みにこの世界での魔学校は隣のバルファイ王国に1校だけある、そう言えば街を見回しても学校らしき施設は孤児院の施設以外見当たらなかった。 6歳から15歳と言えば日本では大体義務教育の期間となる、その時期になれば出生届と住民票を役場と共有するバルファイ王国魔学校から連絡が来て学校に行くようになるのだ。 ただ、全寮制でも無いらしいので毎日隣国まで通うのは大変だろうなと思っていたが、学生証を家の玄関のドアにかざして開けるとすぐ教室に到着するとの事だ。 光はこの世界に来てから神様の恩恵で使える様になった『作成』のおかげで色々出来る様になったが林田警部は魔法が使えない。きっと、『作成』などのスキルの存在に気付いていないか本人が使おうとしていないかだ。 そんな事を考えていたら、ネスタが確信をつく質問を投げかけた。ネスタ「じゃあ、誰に魔法を教わったんだい。」 きっと神様のお陰だと言っても信じてもらえないだろう、光の場合誰かに教わった訳では無く『作成』で自ら作ったものだったからだ。光「この世界に来て、ネスタさんの家で眠っていた時に気づいたら出来てました。」ネスタ「そう言えば、朝ごはんの後に突然倒れた事があったね。あれと関係があるのかい?」 この世界に来た初日、ネスタの家で違和感を覚えながら全体的に和の朝食を食べた後、精神だけ神様に呼び出された折に、現実世界では廊下で倒れていた事

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    -㊴1つの鍋を囲む- 林田警部と会ってから数日、光はパン屋の仕事を昼過ぎまでこなし休憩時間に入る頃にネスタが店にやって来た。孤児院の子供達の事を聞いて自分にも何かできないかと相談を持ち掛けてきた、この事には林田警部も賛成していて本人も協力したいとの事だ。ネスタ「さっき街に来る途中でとても大きな鍋を見かけたんだよ、あれで料理をして皆で楽しく食べれないかと思ってね。何か良いアイデアでも無いかい?」光「やはり大人も子供も共通して食べたくなるものが良いですよね、それに各々の好きな具材を持ち寄って出来る・・・、カレーとかどうですか?」ネスタ「いいかもね、皆の好きな具材が入った大きいお鍋でカレーなんて美味しくて豪華になりそうね。」 光の仕事が終わり、ネスタとメイス、そしてゲオルとカフェテラスで会い具体的に話を詰めていく事にした。 ネスタは先程の鍋を自ら調達し、一旦家で保管してるという。最低限必要なカレールーはゲオルが自らの自腹でお店から寄付すると持ち掛けた。 米は子供達の農業体験で田畑を提供したガイがたんまりと用意すると意気込んでいるとの光に連絡があったそうだ、子供達が育てた米を沢山の人たちに食べて欲しいとの事だ。 とりあえずじゃが芋、人参、玉ねぎの3種類の根菜は用意して後の具材は皆が好きな物を持ち寄って入れようという話になった、様々な家庭のオリジナリティが集結した豪華なカレーを作ることになった。 数日後、稲を刈り取り乾燥したガイの田んぼに大量の薪で焚火を起こし、火を通すのに時間がかかる根菜類から入れていく事にした。 最初に話していた3種類に加え、ルーを提供したゲオルが持って来た蓮根を入れる。しっかりとした歯ごたえと甘みでルーの辛味に深みが増すとの事だ。 後から話を聞いた焼き肉屋の板長とヤンチが普段の調理で余り、普段賄いなどに使用する牛肉や豚肉の切れ端を提供してくれた。本人たちや他の従業員達も今日は店を休みにして全員が駆けつけてくれている、肉は切れ端と言えど普段店で出てくる物と変わらず旨味の溢れる物だった。 ネスタと光の話をこっそり聞いていたラリー達も普段コーンパンに入れているトウモロコシを提供して来てくれた。 ネスタは林田家で評判の良い鶏肉を2種類を沢山用意し焼き肉屋の肉と一緒に炒めてから鍋へ。 警察署内で林田からカレーの話を聞いたノーム刑事こと

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    -㊵異世界らしくない位の平和な理由- 光は違和感を感じていた、冒険者ギルドが存在し街を訪れた冒険者たちが魔獣達に困っている住民から依頼を受け各々の仲間と共に仕事へと向かって行く。仕事を終えると報酬を受け取り建物内で呑み食いを行っている。 しかし・・・、何かが変だ。ギルドに捕獲した魔獣を買い取ってもらったり、討伐したその場で魔獣の素材を剥ぎ取ったり、もしくは依頼者から報酬として素材を受け取り武器や防具を作っている様子が無い。魔獣の肉を食べている様子もなく普通に畜産業が存在している。冒険者達が農民たちからの依頼で魔獣の駆除をしているとの事だが駆除した魔獣はどうしているのだろうか。 700年以上生き、経験を重ねた上級魔獣達は東門から街へ出入りし人に混じって生活を共にしている。 では、それ以外はどうしているのだろうか。冒険者ギルドでドーラに聞いてみる事にした。 ドーラ「何言ってんですか、討伐なんかしちゃったら協定違反になってしまいますよ。」光「協定違反・・・、ですか。」 この世界に来てからそこそこ経っているはずだし、一応就職の為とは言え自分も登録しているが初耳だ。光は顔が赤くなり、ギルドから逃げ出して勢いのままに林田家に『瞬間移動』した。 部屋の床を箒で掃いていたネスタが驚きながら言った。ネスタ「ひゃぁっ!誰だい、いきなり入って来るなん・・・、光ちゃんかい?」光「はぁ・・・、はぁ・・・、ネスタさん・・・、はぁ・・・、すみません・・・、はぁ・・・、お水を・・・、はぁ・・・、下さい・・・。」 光は水を受け取ると一気に飲み干しお代わりを要求した。5杯、いや6杯程飲んでやっと落ち着いた光はネスタからチョコを貰って一部始終をほぼ早口気味になりながら話した。ネスタ「なるほどね・・・、知らなかったと言ってもね、そう言われても仕方ないわ。」光「協定違反ってどういうことですか?」ネスタ「あのね・・・、光ちゃんがこの世界に来る数年前の事さね。ネフェテルサ・バルファイ・ダンラルタの3国間で『魔獣愛護協定』ってのが制定されたんだよ。それ以前は素材目的の奴もいたけど殺戮目的で自由に暴れていた冒険者が多くてね、多くの種類の魔獣達が絶滅したんだ。その影響で上級魔獣にならずに死んでいった魔獣達が後を絶たなかったから3国の街での商売の売り上げがガクッと下がったりしてね。特に王

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊶

    -㊶ギルドにて- 3国間で結ばれた『魔獣愛護協定』の影響で冒険者ギルドでは他の冒険者に混じり王国軍の将軍達が毎日警戒をしている、警察も協力してこの協定を全ての冒険者が大切なルールとして守ってくれるようにセキュリティを万全としている。その対策の1つとしてギルドマスターの認可のもと、刑事のドーラが看板娘兼受付嬢を務める様になった。ドーラが働く受付には「『魔獣愛護協定』により魔獣から剥ぎ取った素材や肉、魔獣の死体、そして各種罠で捕獲した魔獣自体の買取はお断りさせて頂いておりますのでご了承ください」と書かれた大きな看板を掲げてもいる。 一応、出入口には「警察官巡回時立寄所」の立札を掲げていて、真実なのだが一部の冒険者が疑ってしまっている。ただ冒険者たちに警戒されないようにドーラや将軍達は粗悪な者たちがうろついていても平然を装う様にしていた。冒険者「お姉ちゃん、嘘ついちゃいけないよ。今日1日いるけど警察官なんて1人も来ないじゃん。」 ドーラは体を微細に震わせながらも笑顔で対応しているドーラ「何を仰っているんですか、私だって警察署の方々がいついらっしゃるか分かりませんし毎日制服を着た方々が来られるとは限りませんから。まあまあ気にせずゆっくりと呑んで行って下さいよ、あなた方のパーティーには隣国のギルドマスターから賞賛のお手紙と特別報酬が出ているので今日は私に1杯奢らせて下さい。」冒険者「嬉しいね、お言葉に甘えさせてもらうよ。」 ドーラはほっと一息つくと通常業務に移った。農民や住民、他国から来ている行商人などから毎日多数の依頼が冒険者ギルドに寄せられているのでそれらを振り分けたり斡旋したりなど大忙しだ。それに光と同じで就職の為だという人が多数なのだがギルドへの登録希望者も後を絶たない、ただこれは平和だという証拠だ。 そんな中、後ろに並んでいたどこからどう見ても『ヒャッハー!』なあの世界からやって来たように見える冒険者達が2人やって来た。どうやら兄貴分と弟分らしい。冒険者兄「お姉ちゃん、ここ冒険者ギルドだよなあ。僕達お願いがあるんだぁ。」ドーラ「何でしょうか、私で宜しければ承りますよ。」 ドーラはあくまで冷静に対応している。冒険者達は各々のアイテムボックスから大量の荷物を取り出して言った。他国での依頼で討伐したのだろうか、全て魔獣の死体だ。そう、この国ではご法

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    -㊷警察と王国軍、そして国民の友好関係-林田「では将軍、宜しくお願い致します。」将軍「かしこまりました。林田警部、お勤めご苦労様です。」 将軍の先導で冒険者達が王宮の下にある牢へと運ばれる、この国では刑務所や拘留所は王国軍の管理下となっているので常に連携を強く保っているのだ。将軍「そうだ、思い出しました。林田警部・・・、ちょっとお耳を・・・。」林田「どうしました?」 林田が将軍に耳を貸す、将軍が耳打ちで何かを伝えると林田警部は顔をニヤつかせ了承した。ドーラ「あの2人ったら・・・、相変わらずね。」 呆れた表情をしているドーラをよそに林田と共にニコニコしながら将軍が大隊長に犯人の連行を指示し、周辺で静かにしていた冒険者に向けて一言。林田・将軍「皆さん、お騒がせしました。今日は私たちの奢りです、じゃんじゃん呑んで下さい。」冒険者達「流石だぜ、いつも気前がいいな。2人に乾杯!」 冒険者達は片手に持ったジョッキを2人に向けて振り上げた、張り詰めていた空気が一気に朗らかになる。 ギルドの従業員からジョッキを受け取った林田はビールを飲み干した。将軍「林田警部、この後お仕事では?」林田「いや、休日出勤です。全く・・・、優秀な犯人ですよ。ねぇ、ノーム刑事・・・。」ドーラ「あ、いや、あの・・・、空いたジョッキ回収しまーす。」 警察署直通のベルと押し間違え、どうやら休日を満喫しようとしていた上司を呼び出してしまったと思われるその犯人のエルフはそそくさとした様子で客席へと逃げて行った。 女性「ニコフ、あんたも休みなんだろ?遠慮しないで吞みなって。」 女性の声に引かれる様に役目を終えた私服の将軍・ジェネラルのニコフが涙目になりながら振り向くと、パン屋で働く鳥獣人族で光の同僚であるキェルダがいた。仕事終わりにドーラから連絡を受けた光が林田の奢りで一緒に呑もうと誘っていたのだ。光「ニコフって・・・、キェルダ!!いくら何でも将軍に失れ・・・。」ニコフ「キェルダ・・・、会いたかった・・・。デート行けなくてごめん!」光・林田「え?!」キェルダ「こいつ・・・、あたしの彼氏。」ニコフ「ど、どうも・・・、お初にお目にかかります。お、王国軍でニコフをしてます、将軍と申します。いつも彼女と林田さんからお話を伺っており・・・。」キェルダ「何であんたが硬くなってん

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    -140 部下から先輩へ- 異世界と言っても神によって日本に限りなく近づけられた世界で、同じ様な拉麺屋台なので学生時代にバイト経験があったせいか寄巻部長はお手伝いをそつなくこなしていた。寄巻「拉麺の大盛りと叉焼丼が各々3人前で、ありがとうございます。注文通します!!大3丼3、④番テーブル様です!!」シューゴ「ありがとうございます!!おあと、⑦番テーブルお願いします!!」寄巻「はい、了解です!!」 寄巻の登場により一気に回転率が上がったシューゴの1号車は、今までで1番の売り上げを誇っていた。嬉しい忙しさにシューゴも汗が止まらない、熱くなってきたせいか寄巻はTシャツに着替えている。 数時間後、今いるポイントでの販売を終えシューゴが片付けている横で手伝いのお礼としてもらった冷えたコーラを片手に寄巻が座り込んでいた。シューゴ「寄巻さんだっけ?あんた・・・、初めてでは無さそうだね。」寄巻「数十年も前も話ですが、あっちの世界で拉麵屋のバイトをしていた事があったのでそれでですよ。」 いつも以上に美味く感じる冷えたコーラを一気に煽ると、寄巻はこれからどうしようかと黄昏ながら一息ついた。渚は隣に座り寄巻自身が1番悩んでいる事を聞いた。渚「部長・・・、家とかどうします?」寄巻「吉村・・・、さん・・・。こっちの世界では違うからもう部長と呼ばなくていいんだよ?それに君の方がこの世界での先輩じゃないか、お勉強させて下さい。」 寄巻は久々に再会した部下に深々と頭を下げた、渚は焦った様子で宥めた。渚「よして下さいよ。取り敢えず不動産屋さんに行ってみましょう、即入居可能なアパートか何かがあるかも知れません。」シューゴ「おーい、寄巻さんにまた後で話があるから連れて来て貰えるか?」 シューゴの呼びかけに軽く頷いた渚は寄巻を連れて『瞬間移動』し、ネフェテルサ王国にある不動産屋に到着した。以前渚もお世話になったお店だ。 寄巻は『瞬間移動』に少々驚きながらも目の前のお店に入ろうとした渚を引き止めた。不動産屋で契約出来たとしてもお金が・・・。渚「そうでしょうね、でも安心して下さい。部ちょ・・・、寄巻さんも神様にあったんでしょ?」寄巻「それはどういう事だ?「論より証拠」って言うじゃないか、分かりやすい形で見せて欲しいんだが。」渚「では、場所を移しましょう。」 渚は再び『

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    -139 懐かしき再会- その眩しい光は渚にとって少し懐かしさを感じる物だった、ただ花火か何かかなと気にせずすぐに仕事に戻った。今いるポイントで開店してから2時間以上が経過したが客足の波は落ち着く事を知らない。 2台の屋台で2人が忙しくしている中、渚の目の前に『瞬間移動』で娘の光がやって来た。スキルの仕様に慣れたのか着地は完璧だ。光「お母さん、売れてんじゃん。忙しそうだね。」渚「何言ってんだい、そう思うなら少しは手伝ってちょうだい。」光「いいけど、あたしは高いよ。」渚「もう・・・、分かったから早く早く。」 注文が次々とやって来ている為、調理と皿洗いで忙しそうなのでせめて接客をと配膳とレジを中心とした仕事を手伝う事にした。2号車の2人の汗が半端じゃない位に流れている頃、少し離れた場所から女性の叫び声がしていた。先程眩しく光った方向だ。女性①「大変!!人が倒れているわ!!誰か、誰か!!」 大事だと思った屋台の3人も、そこで食事をしていたお客たちも一斉にそちらの方向へと向かった。一応、火は消してある。男性①「この辺りでは見かけない服装だな、外界のやつか?」女性②「頬や肩を叩いても気付かないわよ、死んでるんじゃないの?」男性②「(日本語)ん・・・、んん・・・。何処だここは、俺は今まで何していたっけ。」 どうやら男性が話しているのは日本語らしいのだが、まだ神による翻訳機能が発動していないらしい。男性①「(異世界語)こいつ・・・、何言ってんだ?やっぱり外界の奴らしいな。」男性②「(日本語)ここは・・・?この人たちは何を言っているんだ?」 しかし光の時と同様にその問題はすぐに解決され、光達が現場に到着した時には雰囲気は少し和やかな物になっていた。すぐに対応した神が翻訳機能を発動させ、男性は皆に今自分がいる場所などを聞いていた。ただ、男性の声に覚えがある光はまさかと思いながら群衆を掻き分け中心にいる男性を見て驚愕した。光「や・・・、やっぱり!!」男性②「その声は吉村か?!何故吉村がここにいるんだ?!」渚「あんた・・・、ウチの娘に偉そうじゃないか?」 光は男性に少し喧嘩腰になっている渚を宥める様に話した。光「母さん、この人は向こうの世界にいた私の上司の寄巻さんっていうの。」渚「え・・・、上司の・・・、方・・・、なのかい?」寄巻「そう、今

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    -137 人事部長の悪事- 夫婦は重い頭を上げヒドゥラにソファを勧めた、先程の入り口前にいた女性にお茶を頼むとゆっくりと話し始めた。夫人「初めまして、普段は学園にいるからお会いするのは初めてですね。私は貝塚結愛、この貝塚財閥の代表取締役社長です。隣は主人で副社長の光明です。」光明「初めまして、これからよろしく。」ヒドゥラ「しゃ・・・、社長・・・。そうとはつい知らずペラペラと、申し訳ありません。」結愛「何を仰いますやら、貴重なお話を頂きありがとうございます。」 実は最近の異動で人事部長が変わってから、やたらと人件費が削減されているので怪しいと思っていたのだ。削減された人件費の割には利益が昨年に比べて悪すぎると思っていた折、ヒドゥラの話を聞いた結愛は人事部長が怪しいと踏み、部の社員数人にスパイを頼み込んで調べていた。光明の作った超小型監視カメラを数台仕掛けて証拠を押さえてある。 調べによると金に困った人事部長が独断でありとあらゆる部署から人員を削り、余分に出た利益を書類を書き換えた上で自らの口座へと横流ししていたのだ。結愛「今回発覚した事件により貴女を含め大多数の社員に迷惑を掛けてしまった事は決して許されない事実です。人事部長は私の権限で以前の者に戻し、迷惑を掛けた皆さんには賠償金を支払った上で私達夫婦からお詫びの温泉旅行をプレゼントさせて頂きます。」光明「そしてヒドゥラさん、貴重なお話を聞かせて下さった事により我々にご協力下さいました。我々からの感謝の気持ちもそうなのですが、業務に対する責任感を感じる態度へと敬意を表し今の部署での管理職の職位を与え、勿論貴女にもお詫びの温泉旅行をプレゼント致します。」 ヒドゥラは今までの苦労が報われたと涙を流すと、全身を震わせ崩れ落ちた。2人に感謝の気持ちを伝えると自らの部署に戻り暫くの間泣いていたという。 問題の人事部長についての調査なのだが、以前から魔学校の入学センター長を兼任しているアーク・ワイズマンのリンガルス警部に結愛が直々にお願いしていた。そしてこういう事もあろうかと様々な魔術をリンガルスから学んでもいたのだ、屋台で使用した『変身』もその1つである。そのお陰でネクロマンサーとなり、多くの魔術が使える様になった結愛は魔法使い特有の念話も使える様になっていた(光は『作成』スキルで作ったが)。結愛(念話

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」136

    -136 優しく頼もしき老夫婦- 先程まで抱えていた悩みなどどうでも良くなってしまったと周りに思わせてしまう位の笑顔で拉麺と銀シャリを楽しむラミア、その表情に安堵したのか渚は屋台の業務に戻る事にした。でもその表情には何処かまだ疲労感がある、そこで冷蔵庫からとあるものを取り出してヒドゥラに渡した。ヒドゥラ「あの・・・、頼んでいませんけど。」渚「いいんですよ、疲れている時は甘い物です。貴女この後も頑張らなきゃなんでしょ。」 ヒドゥラは手渡されたプリンを食後の楽しみにすると、より一層笑みがこぼれた。ヒドゥラ「ありがとうございます。」 その数分前、渚が屋台を構える駐車場の前を1組の男女が通りかかり、その内の女性が小声で男性に一言ぼそっと呟くと、2人は頷き合いその場を離れた。 それから数分後、ヒドゥラがプリンを楽しんでいる時に1組の老夫婦が屋台を訪れ席に座った。老夫人「よっこらしょ・・・、お姉さんここ良いかね?」ヒドゥラ「勿論どうぞ。」ご主人「ありがとうよ、昼間にやってる拉麺屋台なんて珍しいから食べてみたくてね。」ヒドゥラ「美味しいですよ、お2人も是非。」老夫人「嬉しいねぇ。店員さぁ~ん、拉麺2つね。歯が悪いから麺は柔らかめにしてもらえるかい?」渚「はい、少々お待ちを。」 渚が老夫婦の拉麵を作り始めると夫人がヒドゥラを見てお茶を啜り、声を掛けてきた。老夫人「そう言えばこの辺りでラミアを見かけるなんて珍しいね。」ヒドゥラ「あ、これ・・・。普段は魔法で足に変化させて人の姿で働いているんです。」ご主人「それにしてもお姉さんどこか疲れているね、何かあったのかい?」 老夫婦の柔らかで優しい笑顔により安心したのか、先程渚に語った会社における自らの現状をもう1度語った。老夫婦は親身になってヒドゥラの話を聞き、時に涙を流しつつまるでそのラミアが自分達の孫娘であるかの様に優しく手を握り頭を撫でた。 ヒドゥラは涙を流し老夫婦に感謝を告げると、手を振りながらその場を後にして会社へと戻って行った。 老夫人がご主人に向かって頷くと、残った拉麵を完食してすぐお勘定を払ってその場を去っていった。渚「ありがとうございました、またどうぞ!!」 老夫婦が去ってからは昼の2時半頃までお客が絶えず、ずっと皿洗いと調理を繰り返していた。正直こんなに大変とは思わなかったと感

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」135

    -135 大企業の事実- 以前の職場で噂されているとは知らない2号車の渚はシューゴに手渡された地図で指定された販売ポイントの駐車場に到着した、シューゴとは逆回りでこの後渚にとって懐かしきダンラルタ王国の採掘場での販売をも予定している。渚「この辺りだね・・・、よし。」 本来はとある職場の職員が使う駐車場で、管理人とシューゴが特別に月極契約している端の⑮番の白線内にバックで止める。何があってもすぐに対応できる様に「必ず駐車はバックで」と言うのがシューゴとのお約束だった。 渚は運転席から降車し、少し辺りを見てみる事にした。渚「ここはどこの駐車場なのかね・・・。」 駐車場から数十メートル歩いた所に大きな建物が2つ並んでいた、1つは大企業の本社ビルで最低でも20階以上はありそうだ。また、隣接する建物は15階建てのものらしく横に大きく広がっている。2つの建物は数か所の渡り廊下で繋がっていて窓の向こうから行き来する人々がちらほらと見えている。渚「大きいね・・・、何ていう建物なんだい?」 入口らしき門が見えたのでその左側に書かれている文字をじっくりと読んでみた、見覚えのある文字がそこにある。渚「「貝塚学園高等魔学校 貝塚財閥バルファイ王国支社」ね・・・、貝塚財閥ってあの貝塚財閥かい?!確か向こうの世界で教育系統に力を入れているって聞いた事があるけどこっちの世界にお目見えするとはね、こんな所で屋台をするのかい?贅沢だねぇ・・・、ありがたやありがたや。」 渚はハンカチで汗を拭いながら軽バンへと戻り営業の準備を始めた、屋台キットを展開しスープの入った寸胴を火にかける。暫くしてスープの香りが漂い始めると先程の建物から昼休みを知らせるチャイムが聞こえて来た。すると女性が1人、疲れ切った様子で屋台へとやって来た。へとへとになりながら渚が差し出した椅子へと座る、お冷を手渡すと砂漠を彷徨っていたかの様に一気に喉を潤した。目にはクマがあり、酷い寝不足らしい。聞くと人件費の削減でかなりの人数を減らされ毎日酷い残業らしく、今日みたいに昼休みを過ごせない日もあるそうだ。せめて今日の昼休みくらいは美味しい物をとスープの匂いに誘われてやって来た。女性「えっと・・・、拉麺を1杯お願いします。麺は硬めで。」 疲れ切った表情で渚に伝えると懐から手帳を出し、午後からの仕事の確認をし始めた。渚

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」134

    -134 懐かしの味- 常連さんの注文に応じ、新メニューである「特製・渚の辛辛焼きそば」を作り始めた1号車の担当・シューゴ。まずは豚キムチを作っていくのだがここで必ずお客さんに聴いて欲しい事があるそうだ。シューゴ「辛さはどれくらいがお好みですか?」 判断基準の為、ラミネートされた用紙を渚から手渡されていたのでそれをブロキントに見せる。辛さは5段階まで表示されており、それに応じて各々の辛さのキムチを使用する事になる。キムチはこの調理用に全て渚が特製で漬けていたのだが、シューゴには5種類とも試食する度胸が無かった。最高の5辛のキムチは色が尋常じゃない位に黒く、恐怖心をあおる様に唐辛子の匂いがやって来る。5辛以上の辛さを求められた場合は5辛の物に特製ペーストを加えて作る。 因みに最初のお客さんには1辛を勧める様にと伝えられており、1辛のキムチは多めに作られていた。シューゴ「最初は1辛をお勧めさせて頂いているのですが。」ブロキント「せやね・・・、丁度刺激が欲しかったんで敢えて3辛でお願いできまっか?」シューゴ「3辛で・・・、分かりました。お好みで辛さ調節できますのでね。」 3辛用のキムチを加え調理にかかる、後で炒めなおすので最初は軽く火を通す程度に。一度皿にあけ少し硬めに茹でていた麺をソースと辣油で炒め先程の豚キムチを加え一気に煽る。それを見た瞬間、ブロキントが何か思い出したかの様な表情をして聞いた。ブロキント「店主はん・・・、それまさか赤江 渚はんのレシピちゃいますのん?」シューゴ「はい、なので「渚の」が付いているんです。」ブロキント「渚はんって、ホンマにあの渚はんなんですか?」シューゴ「ど・・・、どうされたんです?」ブロキント「いやね、以前ここで事務と調理の仕事をしとった人がおったんですけどね、その人と同じ作り方やなぁと思っとったんです。」 そういうと幸せそうに、そしてどこか懐かしそうに微笑みながら調理を眺めていた。シューゴ「渚さん・・・、多分今日中にこの場に来るはずですよ。実は今日からウチの2号車としてデビューする事になったんで。」ブロキント「ほんまでっか?!ほな夕飯に渚はんの作った拉麺を食べてみます!!」シューゴ「ふふふ・・・、お楽しみに。さぁ、出来ましたよ。」 皿に炒めた麺を盛り付け辛子マヨネーズを振りかけて出来上がり、お客の

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」133

    -133 お仕事開始- 夜明け前、弟・レンカルドの経営する飲食店の調理場を借り、毎日継ぎ足して使っている秘伝の醤油ダレをシューゴが仕込んでいた。 自らの舌で選び抜いた素材と独自に調合したスパイス、そして黄金比をやっとの思いで見つけ出し配合した調味料を沸騰させない様にゆっくりと火入れしていく。 幾度となく納得のいくまで味見を繰り返し、完成しかけたタレに煮込み前の叉焼を入れ肉の脂を混じらせつつ双方を仕上げていった。 シューゴ「これは味見・・・、味のチェック・・・。」 出来たばかりの叉焼を1口、十分納得のいく味付けと全体的にトロトロの食感が織りなす絶妙なハーモニーを口いっぱいに頬張って首を縦に振った。その味に堪らなくなってしまっていたのか数秒後には白飯に手を出していた、こうなると予想していたレンカルドが気を利かせて用意してくれていたのだ。シューゴ「うん・・・、これは仕事終わりにビールだな。」 数切れ程タッパーに残し楽しみに取っておき、屋台2台分の準備をし始めた。そう、これからは屋台が2台だから味付けの責任も2倍だ。 2台分の醬油ダレ、叉焼、そしてその他の具材を用意し終えた頃に裏の勝手口から渚が声を掛けた。渚「おはようございます、良い匂いですね。」シューゴ「おはようございます、宜しければ味の確認も兼ねて出来立てを如何ですか?」 そう言って1口サイズに切った叉焼を小皿に乗せて渡すと渚は目を輝かせながらパクついた、目を閉じてその味を堪能する。シューゴ「その表情だとお口に合ったみたいですね。」渚「これビールの肴としての叉焼単品や叉焼丼でも売れるんじゃないですか?折角辛子マヨネーズも持っていくのでそれをかけて。」シューゴ「そのアイデア・・・、採用しても良いですか?」 シューゴは調理場に渚を残しパソコンのある部屋に向かい、急ぎ電源をつけた。どうやらメニュー表や注文用のメモの改定と魔力計算機(レジ)のボタン設定を即座に行っている様だ、因みに値段は原価等を考慮して即席で決定した。渚「シューゴさん、いくら何でも早すぎないかい?私でも焦りますよ。」シューゴ「いや、折角のアイデアです。是非採用させて下さい、容器はまたいずれ作りますので今日は取り敢えず今ある分でお願いします。」渚「了解しました。」 新メニューが即席で誕生した所で屋台への積み込みだ、忘れ物

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」132

    -132 出来立ての屋台と焼きそば- 秘伝の醬油ダレとスープ、そして叉焼を含む営業用の商売道具を説明の為に一通り外に止めてあった新しい屋台に積むと一緒に積んでいた丼を1つ取り出し拉麺の作り方説明し始めた。シューゴ「まず最初に注文を取ってメモに書き、丼の底にゆっくりとこの醬油ダレを入れて頂きます。次に箸で溶かしながらスープを入れていくのですが、それと同時並行で別の鍋にて麺を茹でていきます。各硬さに対応する茹で時間はメモしてありますのでこれを見ながらやって見て下さい。」 茹で上がった麺を取り出し上下に振って湯切りする、これがきっちり出来ていないと折角のスープの味がゆで汁で薄くなってしまう。シューゴ「予め切ってある叉焼などの具材を乗せて完成です、提供する時に必ずお箸を一緒にして下さい。」 経費の削減の為、今回の屋台では割り箸ではなく洗って使う塗り箸を用意してある。しかし希望する客がいれば割り箸を提供する。 お箸と割り箸を入れている引き出しの真下にドリンク用の冷蔵庫が設置されていた、中ではグラスも冷やせる様になっており、固定して運ぶ為に移動中割れる心配がない。 この屋台には魔力計算機(レジ)が標準装備されており、各ボタンに値段が登録されているので記憶する必要が無い。トッピングや白飯、またドリンクのオーダーにも対応出来る様にもなっている。 因みに注文用のメモには各商品の名前が記載されていて、「正」の字を書けばいいだけになっているので大助かりである。各席の厨房側にメモを挟めるようにピンが付いていて、すぐに調理にかかれるシステムだ。 渚がメモをじっくり読み込んでいると「特製・辛辛焼きそば」の文字が。渚「シューゴさん、これ・・・。」 渚がメモ用紙の「特製・辛辛焼きそば」の箇所を指差しながら聞くと、シューゴは懐から看板らしき板を取り出した。シューゴ「そうそう・・・、これは私からの開店祝いです。それとこれからは渚さんにお教え頂いたあの焼きそばを新メニューとして取り入れる事にしました。」 シューゴがプレゼントの看板を裏返すと、全体的に黒の背景に赤い文字で「新メニュー 特製・渚の辛辛焼きそば」と書かれていた。右下には唐辛子や辛子マヨネーズの絵が描かれている。渚「いつの間に・・・、それに私の名前入りで・・・、良いんですか?」シューゴ「勿論です、渚さんの拘りのお

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