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第4話

Author: ほしよみ君
神様は、まだ私を楽にしてくれないらしい。

やっと終わらせると決めたのに、どうしてこうも次から次へと邪魔が入るのだろう。

胸の奥がざらついた。

「眞白の結婚式に出ていたんじゃないの?こんなところで何をしているの」

私は苛立ちを隠さず逸人を見た。今はただ、早く目の前から消えてほしかった。

逸人は整った顔立ちをしていて、物腰も柔らかい。声はいつも落ち着いていて、女の子には優しく、礼儀も忘れない。誰が見ても、育ちのいい好青年だった。

昔の私は、そんな彼に希望を託していた。

彼なら、私をこの世界につなぎ止めてくれるかもしれない。そう思わせてくれたのは逸人だった。

けれど結局、その希望を奪ったのも逸人だった。

「式に出ていたら気が重くなったんだ。少し外の空気を吸って、気分を変えたかった。それだけだよ」

私の問いが気に障ったのか、逸人の表情がかすかに強ばった。声も、さっきより冷えている。

そうだった。

彼も攻略対象の一人で、ヒロインを何より大切にする男なのだ。

眞白のために進学まで諦め、彼女のそばにいるためだけにH市へ残った。

今日は、その眞白の結婚式だ。沈んだ顔をしているのも当然だろう。

「それで、何があったんだ。どうして死のうとした。

まさか、私たちの気を引くためにこんなことをしたんじゃないだろうな。眞白の結婚式の日に騒ぎを起こせば、少しは構ってもらえるとでも思ったのか。

莉緒、眞白がうつだと診断されたからって、君まで同じように振る舞う必要はない。そんなやり方で同情を引こうとしても、もう誰も信じないよ」

昔の私なら、きっと傷ついていた。

けれど今は、もう心が動かなかった。

こんな言葉は、何度も聞かされてきたから。

逸人はいつもそうだ。

私が何をしても、眞白に張り合うための芝居だとしか見ない。

結局、彼らは眞白の言葉なら何でも信じる。嫌っている私の痛みになど、最初から目を向ける気もない。

私はもう、言い返す気にもなれなかった。

立ち上がり、今度こそ誰にも邪魔されず、静かに死ねる場所を探そうとした。

いつものように言い返しもせず、妙に落ち着いている私に、逸人は初めて不安を覚えたらしい。

彼はためらわず私の手首をつかみ、そのまま蓮也の家へ連れていった。

それから蓮也に電話を入れ、すぐ戻ってきて私から目を離すなと告げた。

蓮也が戻ってきたとき、その後ろには、なぜか眞白と遥真の姿まであった。

眞白は私を見るなりびくりと肩を震わせ、遥真の上着の裾をつかんで、その背中に隠れた。

遥真は私を見るなり、露骨に顔をしかめた。

「莉緒、何がしたいんだ。眞白と張り合うのもいい加減にしろ。今度はこんな騒ぎまで起こして。

今日は俺たちの結婚式だぞ。台無しにする気か。

昔あれだけ眞白を追い詰めておいて、まだ足りないのか」

またこれだ。

私が何を言っても、何をしても、誰も信じようとしない。

彼らの中で、私は最初からそういう女なのだ。人を傷つけ、眞白の幸せを邪魔しようとする、救いようのない悪役。

けれど今さら、そんな言葉で傷つくこともなかった。

ただ、その場にいる全員の顔に浮かぶ、隠しきれない嫌悪を見ていた。

私は冷たく笑った。

「じゃあ、眞白の話が全部嘘だったら?

あなたたちの前で被害者のふりをするために、作った話だったとしたら?

本当は、いじめられていたのが私のほうだったとしたら?」

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