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第116話

Author: タヤスイ
扉に差しかかった瞬間、絵美里が腕を強く掴んできた。

「諒助さん、どこへ行くの?」

諒助は答えず、煩わしそうに絵美里の手を払いのけて廊下に飛び出した。

だが、廊下には数人の患者が行き交っているだけで、茜の姿はどこにも見当たらなかった。

こめかみを押さえ、苦笑いが漏れた。

仮に茜が本当にいたのなら、ここまで来た俺に会いに来ないはずがない。

諒助はスマホを取り出した。メッセージも、着信履歴も、何一つ残っていなかった。

なぜか、胸の奥がざわついて落ち着かなかった。

何はともあれ、雲海には過去に世話になった。顔だけでも見ておきたい。

ついでに、茜がこれ以上余計な真似をしないよう、しっかりと釘を刺しておく必要もある。

諒助は病室に戻り、スーツの襟を整えた。

「絵美里、休んでいろ。俺は少し出る」

どこへ行くかなど、絵美里は聞くまでもわかっていた。

それでも、未来の「諒助夫人」として、ここはあくまで穏やかに振る舞わなければならない。

名残惜しそうな瞳を向け、柔らかい声で言った。

「行ってきてください。無理しないでね。帰りは一人で戻るから」

諒助はその物分かりの良い素直な
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