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第6話

作者: 氷砂糖山芋
ただただ滑稽に思える。

「誠、確かにお守りをあんたにあげたわ。でも、気に入らなかったでしょ?とっくにゴミ箱に捨てたんじゃないの?」

誠は幼い頃から病弱で、私は彼の健康を祈り、お守りを授かってきた。

だがその後、彼は私を疎ましく思うようになり、当然私が贈った物も嫌うようになって、お守りも早々に捨ててしまっていた。

柚希が持っているお守りは、私がこの時代に戻ってきた直後、失ったものが再び手に入ったことを神様に感謝し、改めて授かってきたものだ。

「ママ……」豆粒のような涙が誠の頬を伝い落ちる。「誠を置いていかないで」

私は口元に嘲りの笑みを浮かべる。

「ママなんて呼ばないで。私には務まらないわ。

誠、私を拒んだのはあんたよ。どんなに尽くしても、全く知らない加藤には及ばなかった。どうして今ごろになって私をママ呼ぶの?新しいママはあんたに優しくないの?」

晴海の名前を聞き、誠の表情は一層泣きべそをかいたようになった。「あの人は……僕のことが全然好きじゃないの。酷いことばかりした……」

「あら、でもそれは私と何の関係があるの?」私は冷たく笑った。「それはあんたとあんたのパパが選んだことでしょ。言っておくわ、私の子どもは柚希だけ。これ以上邪魔をしないで」

そう言い終えると、私は彼の前に歩み寄り、柚希のお守りを彼の手から奪い返した。

「あんたはふさわしくない」

誠は私がここまで冷たくなるとは思っていなかったらしく、私を見つめる目には信じられないという色が満ちている

「知夏!誠」

なんと、遠くに慎也が追いかけてくる姿が見える。

彼は息を切らしながら私の前に走り寄り、いつもの冷たい顔には珍しい困惑と苦悩の表情が浮かんでいる。

私は彼を上から下まで見る。一年前に比べて、慎也は随分と老け込んでいる。

髪はぼさぼさ、ひげは伸び放題、メガネの下の顔は疲れきっていて、ワイシャツのボタンさえ一つ掛け違えている。

「知夏、久しぶりだ」彼は唇を噛みしめる。「誠に会いたかっただろう?」

私は眉を上げる。「頭おかしいんじゃないの?私には自分の子どもがいるわ。どうしてあんたの子どもに会いたがる必要があるの?」

私に詰め寄られても、彼はただ手をもみながら続ける。「知夏、あの時は悪かった。僕と誠にもう一度チャンスをくれないか?」

まさに太陽が西から昇るような話だ。

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