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第2話

Author: 秋の一葉
悠斗が就任して最初にしたのは、俺のデスクへやって来ることだった。

彼は机を軽く叩き、わずかに顎を上げた。

「江川、規定により、停職期間中、お前の個人ロッカーにある特殊工具はすべて提出してもらう。鍵だ。今すぐ中を空にしろ」

その口調には、隠す気もない軽蔑がにじんでいた。

俺は何も言わず、黙ってロッカーを開けた。そして、改造したピンセット、特製のワイヤーカッター、超小型内視鏡を一つずつ取り出し、机の上に並べた。

悠斗は満足げにそれを眺め、さらに付け加えた。「今後、うちの班では標準化作業を全面的に推進する。お前のそういう手製の道具は、もう時代遅れだ」

俺は顔を上げ、彼を一瞥した。

「田崎班長、一つ教えてください。強力な接着剤と金属球を組み合わせた爆発物が、人質の動脈付近に貼りつけられていた場合、マニュアルでは薬剤を使うことになっています。でも、その薬剤は皮膚を傷め、二次被害を招く恐れがある。あなたならどうしますか?」

悠斗の表情がこわばった。彼はしばらく口ごもった。

「そ、それは……マニュアルの手順どおりにやるだけだ!マニュアルは何度も検証された、最も科学的なものだ!」

彼は自分に応用力がないことをさらけ出し、ただ規定をぎこちなく繰り返すことしかできなかった。

俺はふと、何年も前のことを思い出した。かつて俺の師匠だった、伝説の処理官、鬼塚源三(おにづか げんぞう)が、特例で俺を弟子に取ってくれたとき、肩を叩きながらこう言ったのだ。

「坊主、規則は死んでいるが、人間は生きている。俺が一番買っているのは、お前のその型にはまらないところだ」

今となっては、胸に苦いものが広がるばかりだった。

俺は完全に、投げやりな勤務を始めた。

数日後、ある銀行から通報が入った。標準型の「トール」時限式爆発物が見つかったという。

俺は後方支援に回された。

現場の画像が送られてくると、俺はただ静かにパソコンを開き、「トール」の標準処理手順図を呼び出して、現場の同僚に送った。

古参の隊員が電話をかけてきて、焦った声で尋ねてきた。「江川さん、こいつのB2回路には小さな罠があったんじゃないですか?前にちらっと言っていた気がします」

俺は受話器に向かって、感情のない声で答えた。「報告します。標準マニュアルによれば、B2回路は通常の起爆回路であり、特記事項はありません。マニュアルの手順に厳格に従って作業してください」

そう言って、俺は電話を切った。

その日、俺は初めて終業のベルが鳴ると同時に執務室を出た。

作業場にこもって忌々しい爆発物の研究をすることはなかった。代わりに射撃場へ行き、弾倉五本分の弾を撃ち尽くした。

一方、悠斗は班内で、ひどく煩雑な「出動装備確認リスト」を導入した。

そのリストは30ページ以上にも及び、出動の前後には必ず2人で3回、相互に点検と確認を行い、結果に署名して保管することが求められた。

この手順のせいで、出動準備にかかる時間は15分も延びた。

隊員たちの不満は、陰で少しずつ膨らんでいった。

「あの田崎ってやつ、頭おかしいんじゃないのか?あの確認リストを全部終える頃には、人質なんてとっくに吹き飛んでるぞ!」

「この前の化学工場の警報だって、あいつが手順にこだわったせいで五分も到着が遅れたんだ。危うく大惨事になるところだった!」

「完全に机上の空論だろ。現場の何が分かるっていうんだ!」

古参の隊員がこっそり俺のところへ愚痴をこぼしに来て、何か手を打ってほしいと言った。

俺はただ水を一杯注いでやり、静かに言った。「彼こそが班長だ。命令には従えばいい。すべて規定どおりにやろう」

俺が完全に戦意を失い、悠斗が的外れな指揮を執るようになったことで、班全体の出動効率も成功率も、目に見えて落ちていった。

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