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第4話

Auteur: ゆうしょう
目を覚ました時、清良は病室のベッドにうつ伏せになっていた。背中から内臓の奥まで、息もできないほどの痛みが走る。

「清良!」

龍一がすぐに駆け寄り、血走った目に心配の色を浮かべた。

「大丈夫か?まだ痛むか?」

清良は彼の心配そうな様子を見て、少しぼうっとした。

以前、肺炎で入院した時も、彼はこうして一睡もせずにベッドのそばにいて、目を真っ赤にして看病してくれた。

しかし今、彼女が入院している理由は、彼の両親に押さえつけられて三十発も杖で打たれたからだ。そして彼はその場にいて、終始、冷ややかに傍観していた。

清良は目を閉じ、会話を拒絶した。

龍一は一瞬こわばり、再び説明を始めた。

「俺を責めているのは分かる。でも、あの状況で俺が助けようとしたら――」

「龍一」

清良は聞きたくなかった。

声はかすれていた。

「あなたも、私が美佐子親子を飛び降りさせようとしたって、そう思うの?」

龍一の喉がごくりと鳴り、最終的に沈黙を選んだ。

空気が一瞬で凍りついたようだった。清良は目の前のベッドの板を見つめ、声を詰まらせた。

「龍一、覚えてる?どんな状況でも、私を信じるって言ってくれたじゃない」

「清良」

龍一は眉間を揉み、彼自身も気づかないほどの怒りと苛立ちを声に含ませた。

「あの時はあんなに危険な状況だったんだ。美佐子は妊娠もしてる。彼女は母親なんだぞ。まさか自分の二人の子供の命を使って、お前を陥れるなんてことがあると思うか!

俺たちはもうすぐここを離れられるんだ。どうしてわざわざこのタイミングでこんなことをするんだ?

美佐子たちの存在を我慢できないのは分かる。でも、彼女たちだって何の罪もないじゃないか」

清良の涙が、ふいにこぼれ落ちた。

もう痛みは感じないと思っていたのに、心臓はまだぎゅっと締め付けられる。

龍一の目には、彼女はもう理不尽で、手段を選ばない悪女にしか映っていないのか。

慌てて顔の涙を拭い、彼に惨めな姿を見せたくなかった。

「もう帰って」

声が震えた。

「清良、もう少しだけ待っててくれないか?」

彼の声が和らいだ。

「すぐに、昔に戻れるから」

昔に戻る?

清良は目を閉じた。胸に苦いものがこみ上げてくる。

もう戻れない。

龍一には他の女がいて、二人の子供がいる。

何度も他人のために自分を傷つけ、見捨てた……

そして彼女は、もう諦めた。

清良は背を向け、もう何も言いたくなかった。

龍一は彼女の髪を撫でた。

「もう少し休もう。俺が見守ってるから――」

言葉を言い終える前に、電話がけたたましく鳴った。美佐子の怯えた声が、はっきりと清良の耳に届いた。

「龍一……どこにいるの、すごく怖いの」

ドンという音と共に、椅子が倒れる音が聞こえ、龍一が慌てて走り去る音が聞こえた。

彼は一言も残さず、慌ただしく去っていった。

そして、そのまま二度と戻っては来なかった。

翌朝、清良はけたたましい電話の音で起こされた。電話に出ると、向こうからは耳を塞ぎたくなるような悪質な罵詈雑言が聞こえてきた。

胸に嫌な予感がよぎり、急いで電話を切ってインスタを開いた。

トレンドランキングの一位は、昨日美佐子が送ってきた、あのプライベートな写真だった。

ネットメディアは彼女が誰かの愛人だというストーリーをでっち上げ、彼女の個人アカウントまでタグ付けしていた。

誰かが清良の個人情報を漏らしたのだろう、わずかこの五分で、十数件もの迷惑電話がかかってきた。

罵倒のメッセージは数え切れないほどだ。

彼女は、ネットリンチの標的にされた。

清良は目の前が真っ暗になり、手足から力が抜けていくのを感じながら、無意識に龍一の電話を何度もかけた。

「龍一、私――」

電話の向こうから、美佐子の傲慢な笑い声が聞こえた。

「言ったでしょ。ひざまずいて土下座しないなら、あなたを破滅させてやるって。この結果、満足かしら?

龍一に助けてもらいたいの?でも彼は、私が怖い思いをしたからって、休暇に連れて行ってくれる準備をしてるのよ。今、私たちは空港よ。もうすぐ搭乗するわ。

この一週間、せいぜい楽しむことね」

電話は切られ、清良の心は谷底に突き落とされ、粉々に砕け散った。

迷惑電話の電話が次々とかかってきて、彼女の携帯が壊れんばかりに鳴り続けた。病室には、死んだネズミや不気味な人形まで送りつけられてきた。

携帯を開くことも、病室から一歩も出ることもできなかった。恐怖と羞恥心が、骨にまとわりつく蛆虫のように、清良を蝕んでいく。

浅井家から食事を運んでくる使用人は、一日三食、時間通りに現れ、龍一と美佐子が休暇を楽しんでいる写真を見せつけてきた。

彼らはビーチを散歩し、龍一は美佐子のためにシーフードの殻を剥き、そして彼女に日焼け止めを塗ってあげていた……

清良はその節くれだった手を見つめ、ふと、あの年のノスリン諸島でのことを思い出した。二人とも耳まで真っ赤にしていた。

龍一は彼女に日焼け止めを塗り終えると、荒い息遣いで彼女を膝の上に乗せ、息もできないほどキスをして、強く抱きしめた。その声はかすれていた。

「清良、お前以外に、日焼け止めなんて塗ってやらない。お前もだぞ。俺だけだ!」

あの年、恵子に郊外に拉致された時のことを思い出した。龍一は清良を長い間探し続け、疲れ果てた姿で彼女の前に現れると、赤い目で彼女を抱き上げ、震える声で慰めた。

「怖がるな、清良……何があっても、お前が俺を必要とすれば、必ず現れる」

しかし今、清良が龍一を必要としている時、彼の手は他の女の背中にあった。

清良は低く笑い、目を赤くした。

退院の日、龍一は真珠のブレスレットを持ってきた。

「美佐子が怖い思いをしたから、海辺で気分転換したいって駄々をこねてね。これは、俺がお前のために手作りした真珠のブレスレットだ」

清良は一目で、それが美佐子がネックレスを選んだ時の余りの材料だと分かった。

彼女は黙って受け取ったが、丸い真珠が手のひらに痛いほど食い込んだ。

ちょうど台風が上陸し、街は暴風に見舞われていた。

別荘に近づいた頃、美佐子から電話がかかってきた。泣きそうな声だった。

「龍一、赤ちゃんと買い物に出たら台風に遭っちゃったの。すごく怖い。迎えに来てくれないかしら……」

龍一はためらうことなくハンドルを切り、美佐子がいるショッピングモールへと急いだ。

ドアを開けて清良の姿を見た瞬間、彼女の腕の中の赤ん坊が急に泣き出した。

美佐子は後ずさりし、助けを求めるように龍一を見つめた。

「龍一、赤ちゃんが松永さんにトラウマがあるみたい。彼女と同じ車に乗りたくないんだけど、いいかしら……」

龍一は長い間黙っていたが、やがて清良のために車のドアを開けた。

「清良、先にモールで待っててくれ。すぐに迎えに戻るから」

清良は呆然と車を降りた。突風に煽られてよろめく。彼女が見つめる中、車のドアは素早く閉められ、車は走り去っていった。

かつては小雨にすら濡らしたくないと言った男が、今、自分を台風の中に置き去りにしたのだ。

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