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第7話

Author: ネイファ
「この女を追い出せ!二度と顔も見たくない!」

湊斗は紗月に対して、一片の慈悲も示さなかった。

大柄な警備員二人が紗月の口を無理やり塞ぎ、粗暴に引きずり出すと、車に押し込んだ。

湊斗が何を命じたのかは分からない。ただ、車は都市の最も賑やかな繁華街で止まり、彼女を路上に蹴り落とした。

紗月が顔を上げると、目の前の巨大なLEDビジョンに、見覚えのある映像が映し出されていた。

あの動画だ。

引き裂かれた衣服、絶望的な涙、男たちの嘲笑と共に響く「桐島夫人」という声。

彼女はスクランブル交差点の真ん中で立ち尽くし、巨大スクリーンに映る自分の顔を呆然と見上げた。

通行人の好奇な視線と、棘のような囁きが突き刺さる。

「清楚ぶってたけど、随分派手に遊んでるんだな」

「なるほどね、こういう手口で桐島家に取り入ったわけか」

「動画の声、すごい淫乱だったじゃん……」

LEDの人工的な光が、彼女の顔を明滅させる。画面の中の彼女は泣き叫び、現実の彼女は凍りついたまま動かない。

スマホが狂ったように震え始めた。母からだ。

通話ボタンを押すと、十秒ほどの沈黙のあと、嗚咽が聞こえてきた。

「紗月……白石家の面目は丸潰れよ……お父さん、あなたと縁を切るって……どうしよう、紗月、お父さんの怒りを鎮める方法はないの?」

電話の向こうから、父の怒声が響いた。

「そんな恥知らずに何の用だ!我が白石家に、あんな風紀を乱す娘などいない!」

プツリ。電話が切れた。

紗月は乾いた笑みを漏らした。

湊斗の徹底的な制裁の前で、彼女に何ができるというのか。

父の行動は迅速だった。十分もしないうちに、白石家からの絶縁声明がスマホのニュース速報として通知された。

紗月はその場にうずくまり、行き交う人波の中で膝を抱えた。

再びスマホが鳴る。今度は、湊斗からだ。

彼女は画面に表示された名前を長く見つめ、ゆっくりと通話ボタンを押した。

「見たか?」彼の声は平坦だった。

背景から、梨花の軽快な鼻歌が聞こえてくる。

湊斗は淡々と言った。

「お祖母様の件の償いだ。

よく覚えておけ。お前が、お前自身の手で、白石家の最後の誇りを踏みにじったんだ」

見上げたスクリーンの動画は最後のフレームで停止していた。ソファに押し倒され、泣き崩れる彼女の顔がアップになっている。

脇にはトレンドワードが流れていた。

#名門妻の裏の顔

#清純派セレブの転落

誰もが彼女を軽蔑し、この街全体が彼女を排除しようとしている。

もう、潮時だ。

唯一の心残りは祖母のことだけだ。

「最期を見送る」と約束した。葬儀にだけは、どうしても出なくてはならない。

……

桐島家の誰にも連絡する勇気はなく、紗月は黒いコートに身を包み、マスクで顔を隠して、葬儀場の裏口からこっそりと忍び込んだ。

だが、無駄だった。すぐに見つかってしまった。

湊斗が冷たい顔で立ちはだかった。

「どの面下げて来たんだ?

梨花に謝れ。お祖母様の御前で」

紗月は目を見開いた。

湊斗の瞳は静まり返っていた。

「お前が病院で発狂したせいで、あの子はトラウマを負ったんだ。毎晩悪夢にうなされて、朝まで泣き続けている」

祭壇の前では、喪服姿の梨花が膝をつき、肩を震わせて涙を拭っていた。親族たちが彼女を取り囲み、慰めている。

「どうして……?」紗月の喉が引きつった。

「お前がお祖母様を憤死させたからだ。

お前の汚らわしい行いが、梨花を怯えさせたからだ。今ここで、最後の償いのチャンスをやる」

彼は紗月の手首を掴み、祭壇の前へと引きずり出した。手首の骨が砕けそうなほどの力だった。

正面には、慈愛に満ちた祖母の遺影が飾られている。

「跪け」湊斗が命じた。

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