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第7話

Author: 飛魚(とびうお)
結衣の言葉が途切れると、辺りは重い沈黙に包まれた。

翔太ですら、彼女がプロポーズを断るとは全く予想していない様子だった。

翔太の合図で、広い個室には二人だけが残された。

翔太は目を赤くして、結衣をソファーに押し倒した。

「結衣、もう俺のことが好きじゃなくなったのか?」

その哀れを誘う姿は、まるで従順な子犬のようだった。だが、結衣は、目の前の男と、悪夢の中で彼女の家族を滅ぼしたあの男を重ねることはできなかった。

「違うの、翔太は気にしすぎよ......」

言葉が終わらぬうちに、翔太は強引に彼女の唇を奪った。

「違うなら、行動で愛していることを証明しろよ。

結衣、俺を見捨てるな」

翔太の哀れな姿に一瞬心が揺らぎ、結衣は唇を返そうとした。

しかし、翔太と唇を重ねた瞬間、ソファーの脇にあるビデオカメラが目に入った。

付き合って二年、翔太はこのカメラで二人の親密な瞬間を数え切れないほど撮影してきた。

それを見た途端、結衣は我に返った。

彼を突き放し、はだけた服のボタンを留め直した。

「翔太、ここはレストランよ。それに他の人も外で待ってるでしょ。こんな場所で、こんなことするのはおかしいわ」

「おかしい」という言葉に、翔太は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔を取り戻して頷いた。

「結衣の言う通りだ。プロポーズみたいな大切なことは、ふさわしい場所でやるべきだよな。お前の父の誕生日パーティーで、学校の連中に婚約を祝ってもらおう」

翔太は笑っていたが、結衣の心は底なしの闇に沈んでいった。

今度、結衣は嫌悪感を押し殺して、甘えるように彼の首に腕を回した。

「うん、そうしようね」

結衣の突然の積極的な態度に、翔太は嬉しそうに彼女の細い腰に手を回した。

「でも翔太、私と結婚するのに、スマホのパスワードさえ教えてくれないの?

もしかして、私のことを信じてないの?」

結衣は柔らかく、甘えた口調で尋ねた。

これまで結衣に何度も断られて傷ついていた翔太は、今の結衣の甘えた態度に、ためらいもなく承諾した。

すぐにラインでスマホのパスワードを結衣に送った。

翔太のあっさりした態度に、結衣は「0325」という数字を見て眉をひそめた。

もしかして、翔太のスマホのパスワードと、あの写真を隠しているフォルダのパスワードは違うのかもしれない。

考え込む結衣に、外からスタッフのノックする音が聞こえた。

結衣は何か取りに行くと言い訳して、翔太から離れドアへ向かった。

ドアを開けると、3メートルもの高さのケーキタワーが目に入った。

ケーキの上には「23歳の誕生日おめでとう」という文字が書かれていた。

結衣の誕生日は3月25日ではない。それに、彼女は今年22歳だったのだ。

明らかに、このケーキは結衣のために用意されたものではなかった。

結衣の黙り込んだ様子を見て、翔太は急いで説明を始めた。

「結衣、このケーキは確かにお前のために注文したんじゃない。

でも、これは俺のアイデアじゃないんだ。俺の友達が美咲と久しぶりに会いたがって、ちょうど今日が美咲の誕生日だから、勝手にケーキを注文しちまったんだ。俺たちの婚約と一緒に祝いたいと思ってるだけなんだ」

翔太は、まるで結衣が怒り出すのを恐れているかのように慎重に説明した。

この瞬間、結衣にはすべてを悟った。

あの連中のリーダーである翔太が許可しなければ、プロポーズの日に美咲の誕生パーティーなど開くはずがない。

こうする目的は、ただ今日、美咲を喜ばせたいだけだ。

最初、結衣はなぜ翔太のスマホのロックパスワードが「0325」なのか不思議に思っていた。

今、分かった。この数字は美咲の誕生日だったのだ。

我に返った結衣は、怒ることではなく、美咲に向かって笑顔で誕生日を祝った。

「美咲、ごめんね。急いで来たから、プレゼントも用意できなくて」
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