夜も更け、二人は佐藤涼介(さとうりょうすけ)のオフィスにいた。「翔太、別の場所にしない?」周囲を見渡すと、見慣れた調度品があり、佐藤結衣(さとうゆい)はすぐに、ここが父のオフィスだと気づいた。付き合って二年、二人は様々な場所で関係を持ってきた。しかし、父のオフィスでこんなことをするのは、結衣には少し気が引けた。「どうした?恥ずかしいの?」加藤翔太(かとうしょうた)は結衣を抱き寄せながら、低い声で言った。「慣れれば大丈夫だよ。もういろんな場所でやってきただろ?それに卒業したら結婚するって、約束したじゃないか。その前に、もっとスリルのある場所で楽しもうよ」大学四年間、結衣はいつも恥ずかしがり屋で内気だった。一方翔太は違う。彼はイケメンで、女の子の扱いも上手かった。結衣が自己嫌悪に陥るたび、翔太はいつも優しく慰めてくれた。「好みは人それぞれだよ。俺は結衣が可愛いと思う」結衣は勉強はできたが、それ以外は何もわからなかった。だが、翔太は結衣をこっそりバーやカラオケに連れて行き、きらびやかな照明の下で、みんなの前で結衣のことが好きだと叫んでいた。わずか半年で、結衣は情熱的な翔太にすっかり心を奪われていた。「俺の家に代々伝わる勾玉までお前に渡したんだ。もう何も心配いらないだろ?」結衣の手のひらに、玉の冷たい感触が伝わった。結衣は小さく頷いて、翔太の提案に同意した。ふわりと浮かび上がるような感覚とともに、翔太は結衣を抱き上げ、机の上に押し倒した。結衣は思わず体の力を抜き、そのまま身を委ねた。しばらくして、オフィスは静けさを取り戻した。結衣は肌にまだ愛撫の痕が残る体で、散らかった書類を整え始めた。父は机の上が乱れるのが一番嫌いだったから、物も少なかった。片付けるのにそれほどの時間は掛からなかった。結衣はそう思いながら、ほっと息をついた。机を整理し終わったところで、結衣は翔太に後ろから抱きしめられた。翔太の熱い唇が結衣の首元に落ち、またしても彼女の口から甘い吐息が漏れた。「結衣、来週、お父さんの還暦祝いのパーティーだろ?彼は俺の担任教師でもあったんだ。その席で、俺たちの恋愛関係をみんなに知らせたい。その時のために、仲間と一緒に素敵なプレゼントを用意したいんだ」結衣は胸が熱くな
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