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第963話

Auteur: 佐藤 月汐夜
警察はそう言い終えると、桃を外へ送り出し、それきり関わろうとはしなかった。

さきほどの言葉と、あの隠しきれない軽蔑のまなざしを思い返しながら、桃の心の中には冷たい風が吹いていた。

きっと、外から見れば、私は嫌な女に見えるんだろうな。

そう思うと、たとえ無事に解放されたとしても、気持ちが晴れることはなかった。

数歩歩いてから、彼女はタクシーを止めて乗り込み、自宅へと向かった。

車内で桃は、窓の外に広がる夜の風景をじっと見つめていた。今は深夜。街灯がちらほらと灯っているだけで、人通りも車もほとんどなかった。

ふとした瞬間、胸の奥にわびしさが広がる。けれど、幸いにも道中で何ごともなく、すぐに家にたどり着いた。

家に着いた桃は、そっと玄関のドアを開けた。音を立てないように気を配り、家族を起こさないようにと気を張っていた。

ところが、ドアを開けた瞬間――ほの暗い灯りの中、香蘭がナイトライトの明かりだけを頼りに、そこに座って彼女の帰りを待っていた。

その姿を見た途端、桃は鼻の奥がツンとして、思わず胸が詰まった。どんなときも、自分のことを一番に案じてくれるのは、やっぱり母親だった。
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