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第449話
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永遠の毒薬 第454話
こんな関係、似ていないわけがない！ただ、璃音を見ていると、どうしても心が痛む。恵美のような母親を持って、彼女は本当に不幸だと思った。「よし、車に乗ろう。帰ろう」拓海は乃亜の腕から晴嵐を受け取って車に押し込み、乃亜の手を取って話し始めた。「いいか、もう怒らないで。子供はまだ小さいんだ。大きくなればわかるさ」乃亜は目の前の男を見て、ここ数年の彼のことを思い出し、心が温かくなった。彼との未来を試してみたいと思う気持ちもあった。しかし、心の中に引っかかるものがあった。「本当に怒っているなら、パソコン禁止にすればいい！」拓海と乃亜は、晴嵐がどれだけパソコンを好きか知っている。彼がパソコンを禁止されたら、きっと爆発しそうだ。「私は怒っているわけじゃない。ただ、怖くて......」乃亜はため息をつきながら言った。「あの時、彼が誘拐されたときは、本当に死にたい気分だった。あんなことをもう2度と経験したくない！」「晴嵐は賢いから、大丈夫だよ。心配しないで」拓海は男として、男の子は自由に育てるべきだと考えていた。過度に守りすぎるのは良くない。「分かっているけど、彼はまだ三歳よ！あんな危険な人に出会ったら、逃げられないじゃない！私は大きなことを望んでいない。ただ、彼が健康で幸せでいてくれればそれでいい！」乃亜は拓海を見つめ、目が少し赤くなった。この世で、晴嵐は彼女の唯一の家族だ。彼女はただ、彼が無事であることを願っている。「よし、泣かないで。晴嵐は大丈夫」拓海は乃亜の様子を見て、心が痛んだように感じた。そして、彼女をそっと抱きしめながら、優しく言った。「家に帰ろうか？」乃亜は彼を見上げて、少し考えてから言った。「啓太に晴嵐を迎えに行かせたけど、恵美はきっと晴嵐が私の子だって気づくわ。これから、彼に気をつけてもらうために、もっと人をつけておいて」拓海は頷いた。「分かった」「拓海、ありがとう」乃亜は彼に軽く寄りかかり、彼の鼓動を感じながら心が安らぐのを感じた。「俺たちの間で、ありがとうなんて言うのは、ちょっと遠慮しすぎじゃないか？」拓海は眉を上げて、微笑んだ。乃亜は明るい笑顔を浮かべて、目を細めて言った。「それなら、ありがとうって言わないわ！」拓海は彼女の目に引き込まれ、心臓が速く打ち始めた。その
永遠の毒薬 第453話
「他の人のママは、璃音のママにはなれないよ。璃音にはパパがいれば十分だから」凌央は娘の言葉を聞き、眉を少し上げた。晴嵐はしばらく考えた後、「じゃあ、璃音は僕のママを名付け親にすればいいんだ。君は僕の妹になるんだよ。これから一緒に遊ぼう！」と言った。凌央は晴嵐の顔をじっと見た。以前、璃音が自分に似ていることに気づいたとき、友達から「子どもは育てている人に似るのが普通だ」と聞いたが、あまり深く考えていなかった。結局、養子だから、血のつながりはないだろうと。ずっと一緒に過ごしていたから、当然似るはずだと思っていた。しかし、乃亜がいなくなった後、彼はその事実に向き合わずに生きてきた。真実を知ることが怖かったのだ。それが彼を絶望へと追いやるのではないかと......その瞬間、彼は気づいた。真実を避けてきた理由、それが大きな秘密を隠していることに気づいた。それは......璃音の身元、乃亜の死、そしてこの子の両親が誰で、璃音や自分とどんな関係があるのか......そのすべてを繋げて考えると、答えが見えてきた気がした。その時、ドアをノックする音が響いた。凌央は思考を止め、「入って」と一言。ドアが開き、啓太が顔を見せた。晴嵐は啓太を見て、急いで璃音に手を振った。「璃音、僕はもう行くよ！」そう言って、啓太の元に走った。短い足でも、驚くほど速かった。凌央は啓太を見つめて尋ねた。「あなたがこの子の親御さんですか？」啓太はうなずいて答えた。「はい、そうです。お騒がせしてすみません」「いや、間違って連れてきたのは僕の方です。すみません！」凌央は、まるでジェットコースターに乗ったように感情が上下しているのを感じた。啓太が親だとわかり、予想していたのとは違ったが、それでも璃音と晴嵐が似ていることはやはり確認するべきだと感じた。啓太は一瞥をくれると、晴嵐を抱きかかえ、病室を出て行った。病院の駐車場では、乃亜と拓海が心配そうに待っていた。啓太が晴嵐を抱えて現れると、二人は安堵の表情を浮かべた。「パパ、ママ！」晴嵐は遠くから声を上げた。啓太は足早に歩き、乃亜の前に着くと、晴嵐はすぐに乃亜に飛びついた。「ママ、ごめんね、心配かけて」乃亜は深く息を吸い、心の中の感情を抑えながら尋ねた。「
永遠の毒薬 第452話
彼女は蓮見家の嫁になりたくて、璃音の母親になりたくて、必死に凌央とその娘に取り入ろうとしていた。3年間、完璧に偽装してきたのに、晴嵐の一言で、その全てが台無しになった。手首を掴まれ、激しい痛みが走る。彼女は一瞬固まり、顔を上げると、冷徹な目が自分を見ているのに気づいて、急に我に返った。心の中で「まずい」と叫んだ。さっき、あの小さな子供を叩いたとき、確実に怖い顔をしていたはずだ。凌央はその様子を見ていたに違いない。ダメだ、何とかしなきゃ！手を太ももに隠し、強く掴んで痛みで涙をこぼした。涙がまつげに絡み、すぐに落ちそうになる。涙を溜めた目で凌央を見上げ、涙声で言った。「凌央、ただ璃音のことが心配で......他には何も考えてなかったの。お願い、放してくれない？」無理に抑えた声で言ったその言葉は、どこかぎこちなく、気まずさを感じさせた。以前は粗野で怖い女性だった彼女が、蓮見家に入るために無理に優しさを装ってきた。凌央は冷たくその手を放し、彼女の顔を一瞥した後、厳しい口調で言った。「もう2度と璃音に近づくな。出て行け」恵美は焦りを感じた。もし彼女が璃音に近づけないのなら、凌央との関係をどう続けられるだろうか？それは絶対に許せなかった。恵美は本当に泣きながら言葉を絞り出した。「凌央、私は璃音のママよ。璃音から離れるなんて耐えられない！」けれど心の中では、この小さな子供が自分を苦しめている元凶だと考えていた。必ず仕返ししてやると心に誓った。凌央は眉をひとつ上げ、冷淡に言った。「名医は見つかった。璃音の手術はすぐだ。専属の看護師を雇うから、お前は来なくていい」恵美が何か言おうとしたその時、凌央は続けて言った。「どうしても病院で看病したいなら、上の階で自分の父親を看病してくれ」恵美は凌央の目を見て、背筋に冷や汗が流れた。彼女は、凌央が自分の全てを知っているのではないかと感じた。まるで彼の目が、自分の心の中を見透かしているような気がした。「おばちゃん、早く行ってよ！ここで邪魔しないで！」晴嵐は冗談のように恵美に向かって舌を出した。あのおばさん、どう見ても腹黒いし、さっさと行くべきだ。璃音は口を押さえて、笑いをこらえていた。兄ちゃん、すごいな、ママにあんなこと言っちゃうな
永遠の毒薬 第451話
「お兄ちゃん、来てくれたの！」病室の璃音は晴嵐を見て、嬉しそうに飛び起き、明るい笑顔を見せた。晴嵐は恵美の手を振り払い、ベッドのそばまで歩いた。三歳の小さな足で必死にベッドに登ろうとするが、何度試みても上れなかった。少しがっかりした顔で「もういい、これでいいや！」と言った。その言葉は、病床にいる璃音に向けて発したものだった。璃音は目をパチパチさせ、横にいる凌央に向かって言った。「パパ、お兄ちゃんを抱き上げてくれない？」凌央は晴嵐を見て驚き、その言葉にも気づかなかった。恵美は混乱し、焦りを感じていた。まさか、洗面所から引きずってきたのは璃音じゃなくて、璃音にそっくりな晴嵐だとは思わなかった。璃音にそっくりな子がこの場にいるということは、乃亜も戻ってきたのか？もし乃亜が戻ってきたら、蓮見家から追い出されるのは時間の問題だ。そのことを考えると、恵美は不安でたまらなかった。今、どうするべきか。凌央は賢いから、彼を騙すことはできない......恵美は、すぐに何通りもの方法を考えた。璃音は二人がぼーっとしているのを見て、少し不満そうに声を上げた。「パパ、私パパに言ってるんだよ！どうして黙ってるの？」その声は少し強めだった。凌央はようやく我に返り、娘の顔を見つめ、かすれた声で言った。「璃音、どうした？」この子は璃音とそっくりだ、まさか双子？この子がここにいるということは、親がすぐにやってくるだろう。もし親たちが来たら、璃音は俺から離れてしまうのか？そのことを考えると、胸が痛み、息ができないほどつらかった。「パパ、お兄ちゃんをベッドに抱き上げて！どうしてこんなこともできないの？」璃音は少し命令口調で言った。凌央に甘やかされて育った彼女は、自然とこういう言い方になってしまった。恵美は璃音の言い方に驚き、慌てて叱った。「璃音、そんな言い方しちゃだめ！すぐに謝りなさい！」「どうして怒るの？」晴嵐は恵美を睨んで言った。「大人が子供に怒鳴ると、子供が馬鹿になるんだよ。あんた、わざと彼女を馬鹿にしようとしてるんでしょ？」恵美は晴嵐の言葉に驚き、さらに怒りが湧き上がった。もし凌央がいなければ、すぐにこの小僧を蹴飛ばしていた。だが、凌央の視線を感じ、恵美は怒りを抑え、無理に笑顔を
永遠の毒薬 第450話
「もう少し寝てていいよ、もうキスしないから」拓海は乃亜が毎日忙しく働いているのを見て、少し心配そうに言った。彼女は夜遅くまで案件の整理をしていることがよくある。この数年、乃亜はあまり法廷に出ていないが、重要な案件は必ず自分で取り組んでいる。調査、証拠集め、そして最終弁論まで。咲良は彼女に支えられて、桜華市で名高い弁護士になった。乃亜は、咲良を成長させることで自分も成長してきた。乃亜は本当に賢い女性だ。最近、彼女の周りには多くの男性が集まっている。「拓海、最近あなたなんだかベタベタしすぎよ。晴嵐よりもひっついてきているわ！」「だって、君があまりにも優秀だから。もし俺が君にべったりしなかったら、他の誰かに取られちゃうかもしれないじゃないか？」拓海は冗談っぽく言った。本心では、彼はあまり自信がなかった。こんなに優秀な乃亜が、いつ誰かに取られるかわからないからだ。「もう、そんなことばかり考えて変なこと言わないで！」乃亜は拓海の言葉に笑い、目を細めた。その笑顔はまるで少女のようで、可愛らしかった。息子ももう三歳なのに、彼女は若々しく見える。拓海は静かに唇を噛みながら笑っていたが、何も言わなかった。どうして彼はこんなに心配してしまうのか。三年以上一緒にいて、手をつないだり、キスをしたりすることはあっても、それ以上の進展はなかった。でも、乃亜にはまだその壁がある。拓海は彼女を心理療法士のところに連れて行ったり、薬を使ったりもしたけど、効果は今のところない。彼は無理に進めたくないし、プレッシャーをかけたくない。ただ待つしかない。乃亜がその心の問題を解決するのを。でも、桜華市に帰ってきてから、彼女の最愛の人である凌央が近くにいることが、拓海をますます不安にさせている。「晴嵐、まだ帰ってこないの？」乃亜は突然、晴嵐がトイレに行ってからかなり時間が経ったことに気づいた。拓海は慌てて言った。「ちょっと見てくる！」もし悪い人が晴嵐を連れ去ったらどうしよう？彼がどんなに賢くても、まだ子供だ。結局不利になってしまう。「私を下ろして、早く行って！」乃亜は拓海を見て、真剣な表情で言った。「わかった、すぐに行くよ」拓海は彼女をそっと下ろすと、急いでトイレへ向かった。乃亜は
永遠の毒薬 第449話
「秘密だよ、教えられない」拓海は穏やかな笑顔を浮かべて言った。「すぐにわかるから、心配しないで」「変なことしないでよ！」乃亜はふんと鼻を鳴らし、「驚かせないで！」と言った。「安心して、絶対に驚かせないから」拓海はうなずきながら、約束した。乃亜はしばらく彼の顔をじっと見つめていた。拓海は軽く笑って言った。「乃亜弁護士、俺に質問を始めたのか？」「着いたよ！」晴嵐が声を上げて、二人の会話を中断した。パパとママは二人だけで話して、僕のことなんて全然気にしてない......もしかして、僕は拾われた子供かも？乃亜はようやく目を離し、子供の保健科の看板を見て、拓海に言った。「あなたが中に入って、私は外で休んでいるわ」拓海は彼女の疲れた表情に気づき、少し心配そうに言った。「わかった。休んでおいて」拓海が晴嵐を抱えて診察室に入ると、乃亜は椅子に座って、深いため息をつきながらリラックスした。診察が終わり、拓海が晴嵐を抱えて出てきた時、乃亜はすでに椅子に寄りかかって眠っていた。「晴嵐、歩けるか？」拓海は晴嵐に聞いた。晴嵐は胸を張り、得意げに言った。「パパ、僕は大丈夫だよ！」拓海は腰をかがめて、晴嵐を地面に下ろした。「じゃあ、パパの服の端を掴んで、ついてきて。迷子にならないようにね」晴嵐は少し嫌そうに見上げて言った。「パパ、僕もうお兄さんだよ！ママとパパがいなくても、迷子なんてならないよ！」拓海は笑って言った。「ああ、君はもう四歳だもんな！」晴嵐は本当に頼りになる子供だ！誰も彼を騙せないし、連れ去ることもできない。彼が自分から望まない限り。「早くママを連れて帰ろう！」晴嵐は小さな声で言った。拓海は素直に歩み寄り、乃亜を抱き上げた。乃亜はぐっすり眠っていたが、抱き上げられたことでびっくりして目を覚ました。拓海を見て、乃亜は再び目を閉じ、ぼんやりと「少し寝かせて」と言った。彼女は、拓海がいると安心できるのだろう。拓海は彼女の穏やかな顔を見つめ、思わずキスしたくなった。「パパ、トイレに行きたい！待っててね！」晴嵐の声が耳に届く。拓海はハッとして顔を上げると、自分の鼻先が乃亜の鼻先に触れていることに気づいた。慌てて顔を離した。乃亜の澄んだ瞳が彼を見つめていて、彼は自分の姿
