死神上司の危ない…キス💋私に魔力は効きませんが?

死神上司の危ない…キス💋私に魔力は効きませんが?

last update最終更新日 : 2026-03-09
作家:  桜立風たった今更新されました
言語: Japanese
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概要

コメディ

甘々

溺愛

隠し身分

上司

人外

秘密恋愛

偽装恋人

以前から見えていた。 上司の背中に大きなカマが背負われているのが… 「それ…危なくないですか?」 ある日指摘してみたら、血相を変えた上司が詰め寄る。 「いつから見えていた?誰かに話したか?」 そして有無を言わさずキスをしてきた… それは忘却のキス、そして私を操るキス。 「…何してるんですか、初めてのキスなんですけど!?」 「特異体質か。めんどくさい人間だ!」 身分を隠した上司の正体は、寿命が来た人間に、カマを振って冥界へと誘う死神。 他の人間とキスをされたら正体がバレると知った上司は、恋人になれと言って、同居に持ち込みました… 毎日せっせと繰り返されるキスは、やがて甘くなって… 死神✖人間の恋。 最後はどうなるの…?!

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第1話

1.

「あの…神西課長、大丈夫ですか?」

ついに、言ってしまった。

…言ったそばからもう後悔する。

「…は?」

ゆっくり振り返った顔が怒っていて…

それより言いたいことがあると、その端正な顔に書いてあるのがわかる。

「そんなことより、企画書は?」

「はい!…わかってます。今、マネージャーに提出してちょっと見てもらってるところで…」

「…どうしてそんなまどろっこしい事をする?できたらすぐに俺に出せと、何度言ったらわかるんだ?!」

いつの間にか怒られるこの構図…予想できてたから今まで言えなかった…

「…だって!神西課長、背中に大きなカマを背負ってるから、ずっと気になって!」

マーケティング戦略部の神西蓮【かみにしれん】は、32歳という若さで課長に昇進した強者で、私…鈴原凛花【すずはらりんか】の目の上のたんこぶ…いや、直属の上司だ。

昼休み。外へランチに行く社員で賑わう1階エントランスで、流れに逆らうように前を歩く神西に気づいて、つい声をかけてしまった。私も、コンビニでサンドイッチを買ってオフィスに戻るところだった。

「…今、なんと言った?」

「え、あの…ずっと、危ないなぁって、思ってまして…」

早足で近づいてきて、大きな手が肩を掴む。クールで色気ある目元がたまらない、と言われている顔が、顔面蒼白になっているように見えた。

「とりあえず、こっちへ来い」

「…え、あの…」

勢いよく引っ張られて、サンドイッチが袋から飛び出してしまった。拾うことも許さず、階段を上がり始める神西。

「か、階段ですか?うちの会社、28階ですけど…」

2階あたりまでは何とかついて行ったが、3階になるともう息が切れる…

「ふん…運動もしてないのか。若いからって病気にかからないと思ってるな?」

「…え?運動不足で病気?」

「生活習慣病は、運動不足が原因のひとつだろう?」

だからって、今階段を登らせなくてもいいのに…ちゃんと、運動を習慣化するから…今はエレベーターに乗せてほしい。

心の声は届かず、結局引きずられるようにして、オフィスのある28階に上がってきた。

倒れるように床に座り込み、ゼェゼェと息をする凛花とは違い、神西はまったく息が乱れていない。

…嘘でしょ?あのスピードで階段を駆け上がって、汗もかいていないなんて…

トップアスリートか?

「…早く来い」

再び腕をつかまれ、凛花は無理やり立たされた。そして神西が引っ張っていく方向に仕方なく足を踏み出せば…そこは使われていない会議室。

背中を押され、やや乱暴に中に入らされ、さすがの凛花も怒りの表情で神西を見上げる。

「…いったい、何なんですか?ちょっと乱暴だと思うんですけど!」

汗もかかず、髪も乱れず、息も上がらず…ただ冷たい目で自分を見下ろす上司に、凛花は食ってかかった。

「いつからだ?」

「…は?」

「さっき言ったことだ。いつから、俺の背中にカマが見えていた?」

眉間に深いシワを刻む目元を、凛花は少し怖いと思う。…でも、言ってしまったものは仕方ない。

「2年前入社して、マーケティング戦略部に配属された時からです」

「…初めて会った時から、ということか?」

「あの…初めは、よく見えなかったんですけど…背後に何かが見える、といった感じで」

じっとこちらを見るまなざしに、驚きの表情が混ざった。

「それが、時間が経つにつれハッキリ見えるようになって…それが大きなカマだとわかったのは、」

一歩…神西が近づいてきた。反射的に、一歩…後ろへ下がる凛花。

「大きなカマだとわかったのは、いつだ?」

「3…ヶ月くらい前です…」

もう一歩進んできた神西。凛花はさらに後ろに下がった。

「…それを」

さっきと同じように大きな手が伸びてくる。今度は、両手だ。何とも言えない緊張感で、とっさにその手から逃れるようにさらにさらに後ろへ下がる。…が、背中に冷たい壁の感触が当たった。

「それを、誰かに話したのか?」

「…い、いえ…」

壁が、もう後ろへ下がれない事を知らせる。凛花は余計なことを言った自分を、激しく後悔し始めた。

「だ、誰にも言いませんし、その…もうこんなこと言いません。…忘れます」

ただ、大きなカマを背負う神西を見ても、誰も何も言わないことが不思議だった。

女子社員のほとんどは、神西に憧れて見惚れるばかりで、さりげなくその背中に触れる人もいたから、1人でヒヤヒヤしていた。

今ならわかる。…あのカマは、自分にしか見えていなかったのかもしれない。でもそれはそれでおかしなことだし、自分の目はどうなってしまったのか心配ではあるけど…

「…1人で忘れるのは無理だ」

ついに、神西の大きな手が、自分の両腕にかかった。

切りつけられそうな鋭いまなざしに捕らえられるくらいなら、こんなこと、言わなければよかった。

今も神西の背後に、大きなカマが見えている。

なんで私にはこんなものが見えるのよ…!

ギュッと目をつぶった瞬間、大きな影が…自分の上に降りてきたように感じた。

恐怖とは裏腹に…唇に柔らかい感触を感じる…

これは、もしかしたら…キス?

温度のない唇…なのに長いキスだった。

どうしてキス?…このタイミングでなんでキス?

「…鈴原」

名前を呼ばれ、目を開けた時には、神西はすでに凛花から離れていた。腕を組んで冷たい視線を向けている。

「どうだ…?」

「…は?今のキスでドキドキしたか、とか聞きたいんですか?」

…腹が立った。いきなり脈略のないキスをして感想を言えというのか?

初めてのキスだったのに…

「冗談じゃありませんよ?!女子社員は自分がキスをすれば皆言うことを聞くとでも?…べ、別にそんなものされなくても、言わないでほしければ言いませんよ!…背中のカマのことは!」

まくし立てて脇をすり抜けようとした凛花を、再びつかまえる神西。

「…ちょっと待て。…お前まさか、効かないのか」

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「あの…神西課長、大丈夫ですか?」ついに、言ってしまった。…言ったそばからもう後悔する。「…は?」ゆっくり振り返った顔が怒っていて…それより言いたいことがあると、その端正な顔に書いてあるのがわかる。「そんなことより、企画書は?」「はい!…わかってます。今、マネージャーに提出してちょっと見てもらってるところで…」「…どうしてそんなまどろっこしい事をする?できたらすぐに俺に出せと、何度言ったらわかるんだ?!」いつの間にか怒られるこの構図…予想できてたから今まで言えなかった…「…だって!神西課長、背中に大きなカマを背負ってるから、ずっと気になって!」マーケティング戦略部の神西蓮【かみにしれん】は、32歳という若さで課長に昇進した強者で、私…鈴原凛花【すずはらりんか】の目の上のたんこぶ…いや、直属の上司だ。昼休み。外へランチに行く社員で賑わう1階エントランスで、流れに逆らうように前を歩く神西に気づいて、つい声をかけてしまった。私も、コンビニでサンドイッチを買ってオフィスに戻るところだった。「…今、なんと言った?」「え、あの…ずっと、危ないなぁって、思ってまして…」早足で近づいてきて、大きな手が肩を掴む。クールで色気ある目元がたまらない、と言われている顔が、顔面蒼白になっているように見えた。「とりあえず、こっちへ来い」「…え、あの…」勢いよく引っ張られて、サンドイッチが袋から飛び出してしまった。拾うことも許さず、階段を上がり始める神西。「か、階段ですか?うちの会社、28階ですけど…」2階あたりまでは何とかついて行ったが、3階になるともう息が切れる…「ふん…運動もしてないのか。若いからって病気にかからないと思ってるな?」「…え?運動不足で病気?」「生活習慣病は、運動不足が原因のひとつだろう?」だからって、今階段を登らせなくてもいいのに…ちゃんと、運動を習慣化するから…今はエレベーターに乗せてほしい。心の声は届かず、結局引きずられるようにして、オフィスのある28階に上がってきた。倒れるように床に座り込み、ゼェゼェと息をする凛花とは違い、神西はまったく息が乱れていない。…嘘でしょ?あのスピードで階段を駆け上がって、汗もかいていないなんて…トップアスリートか?「…早く来い」再び腕をつかまれ、凛花は無理やり立たされた。そして
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「…効かない?自分に惚れさせるためのキスだったってことですか?…だとしたら残念ですね?まったく効きませんし、むしろ…」丸い目を頑張ってつり上げて、神西を睨み上げる凛花。「…嫌いになりましたわ!ふんっ!!」つかまれた腕を振りほどこうとするのを、神西は力でねじ伏せる。…このまま離すわけにいくか…!「…ちょっと待て。もう一度…」忘却のキスが効かないとは、鈴原凛花…突然変異の人間か?逃れようとする凛花を抱きしめ、もう一度唇を合わせた。…今度はもう少し長く。…やがて、彼女の体から…フッと力が抜けるのがわかった。そっと体を離し、さっきと同じように凛花の様子を伺うと…意外な反応に神西は頭を抱えた。「…どうして2回もキスをするんですか?」ハラハラと涙が頬を伝っている。なぜキスくらいで鈴原が泣くのか、意味がわからない。「どうして泣く…?」「泣きますよ…いきなりこんな会議室に連れ込まれてキスなんて…」「…キス、されたことが悲しいのか」コクン、とうなずく表情は…わずかながら神西に罪悪感のようなものを植え付けた。「初めて、だったんですよ?なのに、無理やり2回も…ムードもなく、愛もないキスを…」…これは、どういうことだ?キスをされた記憶はあるようだが、背中のカマについての記憶はどうなった?「…鈴原、俺を見てみろ」凛花の正面に立ち、様子を伺う。「はい…何ですか」…背中のカマについて何も言わないということは、忘却のキスが2回目でやっと効いたということ。そんなの聞いたことないが…忘れたならそれでいい。「キスについては突然すまなかった。だがあれは、必要なキスだった。俺にとっては」「…どういう意味ですか?」「わからないならいい。ただ勘違いしないでくれ。君に対して、特別な気持ちはない」人間の女にとって、キスが特別なものだということはわかっている。だが普通、忘却のキスをしたら、キスをしたこと自体を忘れるものなのだ。だがこの鈴原凛花という部下には…「特別な気持ちがないのはこっちだって同じです」神西の言葉に、凛花はふふ…っと笑みをこぼした。「…神西課長はカッコよすぎて、私のタイプではありません。ファーストキスの相手が課長なんて、落ち込みますっ!」神西をキッと睨みつけ、凛花が会議室を出ていく。強めの音を立ててドアを閉めたのは、怒りの表現だろうか。…
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…いったいどういうつもりなのか。本当に部屋にやってきた上司が、部下の部屋で普通にスーツの上着を脱ぐなんて…会議室での話は、役員たちが集まってきて呆気なく終わった。2人で中にいた事をごまかすように、とっさに会議の準備を手伝っているふりをした凛花。…お茶汲みまでさせられたところで、神西に声をかけられた。「ありがとう鈴原さん。もうデスクに戻っていいですよ」ドアを開けてくれる仕草が自然で、意外にジェントルマンだと感心したのに…バシッと強めにファイルを押し付けられた。「…このファイル、あとでよく目を通しておいてください」デスクに戻って確認してみれば…中味は小さなメモ1枚。『寄り道厳禁。帰宅後、すみやかに鍵をかけて俺を待て。帰りの予定は23時』…なかなか男らしい命令調だ。けれどこの時点で、凛花にはまだ余裕があった。なぜなら、住所を尋ねられていないし…他の手段を使っても、神西が私の自宅にたどり着ける可能性は低いから。実は引っ越して日が浅く…まだ新住所を人事部にも総務部にも伝えていないのだ。だから例えば…社内の個人データにアクセスして住所を調べようとしても無理だし、そもそも会社の人に引っ越した話すらしていない。どうやって住まいを突き止める気なのか…凛花はまず来ないだろうと高を括って、のんびり過ごしていた。なのに…メモの通り23時きっかり、部屋のチャイムが鳴らされた。…驚いて、座ったまま1センチくらい飛び跳ねたと思う。そして、本当に神西が来たのか確認したい気持ちが勝って、躊躇なくドアを開けてしまったのだ…「…よし、いるな」夜も遅くなっているのに、ざっくり後ろに流した髪に、乱れひとつ見当たらない。疲れた様子もなく、会社で会った時と同じ様子の神西は、凛花が何か言う前に部屋に入った。…そしてリラックスした様子でスーツの上着を脱ぎ、それを手渡してきたのだ。あまりに自然なので受け取ってハンガーにかける。つい、お食事は…?なんて、聞いてしまいそうだ。「シャワーを借りていいか」「は…」切れ長の瞳に見つめられると、ダメなんて言えない…それでも、わずかな勇気を振り絞って言った。「あ、当たり前みたいに部屋に入ってきて夫みたいに上着渡してきて、シャワーってなんですか?…次はご飯ですか?」…文句の言い方が少し違う気がする。神西もポカン…としているので、次の反撃
last update最終更新日 : 2026-02-28
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4.否が応でも
「今日から、俺の部屋においで」…妖艶な香りと共に寄り添うのは、神西。「い…いつの間に?」驚く凛花の目が、今朝は注がれなかった自分の背後を見ていると気づく。やはり…忘却のキスの効果は短いと知る。「…忘れ物に気づいて…取りに行こうと思って来た」「…え、何を、忘れたんですか?」「替えの…ネクタイを」取り返しのつくものだったとホッとしたのだろう。凛花はそれでも律儀に言った。「…こんなことになっちゃって…あの、お給料が出たら買ってお返しします」グスッと鼻をすすり、涙ぐむ目元を拭くのを見て、神西はわずかに首をかしげた。なぜ泣く…?引っ越したばかりでたいした荷物はなく、ほかの入居者もいないというので焼き払ったのに。…俺の魔力で。「こ…ここですか?」「そうだ。まぁ古いマンションだが、造りはしっかりしている」薄暗い廊下にオレンジ色の裸電球がぶら下がり、エレベーターの中の明かりも、切れかかってチカチカしている。「ひ、1人の時は…階段が良さそう…」…ここに住む気になったようだ。つい、口角が上がる。5階建ての4階に到着し、一番手前のドアを開け、まずは凛花に入るよう指先で示す。「あの、鍵は…閉めてないんですか?」「あぁ。盗られて困るものはないからな」本当は鍵などなくても、バリアを張れば…誰もこの部屋に入れないからだ。「君は、この部屋を使ってくれ」恐る恐る足を踏み入れた凛花に、神西は後ろから声をかけた。「…ヒィ…っ…!」と驚いた声を上げ、慌てて口元を押さえる凛花。神西が開けたドアの向こうに入っていく。明るさや日当たりなどを求めない死神の住まいは、夏はひんやりとしているが、冬なら極寒の寒さを誇る。「…わぁ…見晴らしがいい部屋ですね」そんな住まいのなかでも唯一陽射しが入る部屋を凛花に与えた。4月とはいえ…まだ寒い夜もある。彼女には長い寿命があり…わざわざ暗い部屋で寒さに耐える必要なはい。…死神でも、それくらいのことは考えるのだ。「シャワーも風呂も、好きなだけ使ってくれ。人間は、温まるのが好きだろう?エアコンも自由に操作して、快適を追求したらいい」「人間は…って、神西さんだって同じ人間じゃないですか!」「いや、俺は…死神だから」「死神って…!」笑う凛花に、自分の名前の由来を話した。「神西は…『しにがみ』を入れ替えて作った偽の名
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