第479話

「晴嵐を連れてきて！」

園長は体を震わせた。

晴嵐は一体何をして、この人に目をつけられたんだろう？

恨みでもあるのか？

「園長、蓮見社長が晴嵐君に会いたいって言ってます、どうしますか？」

園長は我に返り、目の前の先生を見た。少し落ち着きを取り戻し、言った。「晴嵐君は、もう親に連れられて帰ったかもしれないわ。確認してきて」その後、先生に目で合図を送る。

まずはこの場をなんとか乗り切ろう。

「わかりました、すぐに確認してきます！」と、先生は冷や汗を拭いながら駆け出した。

園長は服を整え、少し歩を進めた。

「蓮見社長、こんにちは、私は......」

自己紹介をしたところで、鋭い視線が彼女に向けられ、その冷たい視線に背筋が凍る思いだった。

彼の発する圧迫感はあまりにも強すぎる。

だから桜華市の人々が裏で彼を「魔王」と呼んで恐れるのも無理はない。

「晴嵐を連れて来い」凌央は簡単に言った。無駄な言葉を省くように。

園長は無意識に背筋を伸ばした。「先ほど晴嵐君は迷子になってしまい、親に連絡して今迎えに来てもらいました。おそらく、今頃は家に帰っているはずです」

晴嵐が迷子だと言っていたが、どうしてあんな場所に行ったのか、どうしても理解できなかった。

そして彼は迷子になったと言う割には、一切の恐怖も見せず、顔にも涙一滴すらなかった。

まさか、迷子の話が本当じゃないんじゃないかと疑ってしまうほどだった。

だが、彼は三歳の子供だ。嘘をつくはずがない。

凌央は眉をひとつ寄せ、「帰った？」と冷たく言った。

もしかして、乃亜が彼の到着を知って、あえて早めに子供を連れ帰ったのだろうか？

「はい」園長はうなずいた。

凌央はますます怒りを募らせ、何か目的があって晴嵐を探しているのかもしれない。

園長は晴嵐がまだ帰っていないことを隠し、あえて「連れて帰られた」と言ってしまった。

万が一、子供が園内で何か問題を起こした場合、園長としてその責任は負えないからだ。

凌央の顔は急に真っ黒になり、怒りをあらわにしてその場を立ち去った。

園長は彼の背中が遠ざかるのを見て、冷や汗をかいた。

その圧倒的な気迫はあまりにも恐ろしい。

凌央は園を出ると、ちょうど一台のマイバッハが走り去るのが見えた。

彼の目は冷たい怒りに満ちていた。

その時、携帯電話が鳴り、思考