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第202話

Author: 雨の若君
素羽は口元を引きつらせ、嘲るような笑みを浮かべた。

「私が司野に会うのに、あなたみたいな部外者の許可が必要なわけ?」

その言葉に、美宜は一瞬だけ目つきを変えたが、何かを思い出したのか、結局その場を退こうとはしなかった。

「司野さんに憧れる人が多いのは確かですけど……素羽さん、どうかご自分の行動をわきまえてください。頻繁に押しかけて、皆の仕事を邪魔しないでいただけますか」

その言葉は、はっきりと素羽に「恥知らずで、しつこい女」というレッテルを貼るものだった。

含みのある言い方を聞き流すことなく、素羽は声を低くして言い放った。

「もう一度言うわ。どきなさい」

すると、美宜の取り巻きである谷口里沙(たにぐち りさ)が、待っていましたとばかりに割って入ってきた。

「素羽、いい加減にしなさいよ。調子に乗るにもほどがあるんじゃない?人の話、聞けないの?この前追い出されたこと、もう忘れたの?

美宜、こんな女と無駄話しないで。あんな、ベッドに潜り込もうと必死な不倫女なんて最低よ。さっさと追い払えばいいの。話をしてあげてるだけでも、感謝されるべきなんだから」

素羽は特に表情を変えなかったが、美宜の顔にはわずかな変化が走り、目の奥に不快感がよぎった。

その視線を逃がさず、素羽は美宜を見据え、含みを持たせた口調で言った。

「彼女の言う通りだと思うわ。不倫女って、本当に最低よね。あなたも、そう思わない?」

里沙は美宜の表情の変化にまったく気づかず、なおも攻撃を続ける。

「自分が最低だって分かってるなら、外に出るときくらい、もう少し恥を知ったらどうなの?」

「罵る相手を間違えているわよ」

素羽の視線は、里沙を素通りして美宜の上に静かに落ちた。

「その『最低』って言葉、私に使うべきじゃないわ。美宜、そうでしょう?」

里沙からは見えない角度で、美宜は憎悪に満ちた眼差しで素羽を睨みつけていた。

この邪魔な女さえいなければ、司野の妻の座は本来、私のものなのに。

それなのに、よくも私を侮辱できるものだわ。

素羽は、彼女たちと口論するためにここへ来たわけではない。軽く身をかわし、そのまま司野のオフィスへ向かって歩き出した。

「ちょっと待ちなさい!誰が入っていいって言ったの!?」

美宜が反応するより早く、里沙が先に声を上げ、素羽の腕を掴んで引き戻そうとした。

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Comments (2)
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カナリア
もう家を出たのにまた繰り返すの? とりあえず逃げて偽装死まで持ってくと思ったわ
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敬江
マジで離婚までか長すぎ! クズ男と不倫女も早く地獄に落として!
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