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第28話

Author: チョウドイイ
「おじいちゃん、最近お体の具合はいかがですか」と私はソファに腰掛けながら尋ねた。

「ただの風邪だよ、もうほとんど良くなった。まったく景司くんは大げさなんだから。穂乃花ちゃんにわざわざ来させてしまって」

ただの風邪だと言うものの、あまり元気はなく、私たちが来てから二言三言を交わした程度だった。

「おじいちゃんのお見舞いが、無駄足なんてことがあるわけないじゃないですか」

私はありったけの愛嬌を振りまき、景司の祖父・風間達郎(かざま たつろう)を喜ばせようとした。景司と二人で立て続けに賑やかに話しかけると、家の中はたちまち笑い声に包まれた。

達郎は笑いながら、ふと何かを思い出した。「穂乃花ちゃん、あの翡翠の腕輪はどうしたんだ?どうして着けていないんだ?そういえば、あれはお前の十八歳の成人祝いに景司くんがお前に合わせて作ったものだったな」

景司は笑いながら首を振り、何かを言おうとしたが、それを遮るように私が答えた。

「あの腕輪のことですか?壊したら大変なので、家に置いてきたんです」

すると、真由美がいつの間にか玄関に立っていて、靴を履き替えながら呆れたように言った。

「お義父さん、また勘違いなさってるわ。景司が穂乃花ちゃんへの成人祝いに贈ったのは会社の株で、翡翠の腕輪は去年、私にくださったものですよ!」

私は一瞬動きを止め、振り返って景司を見ると、ちょうど彼の探るような視線と真正面からぶつかった。

達郎が部屋に連れられて休むと、真由美は部屋のドアが閉まるのを確認してから、からかうように言った。

「お義父さんはご高齢ですから物忘れも激しいけれど、穂乃花ちゃんまでどうして間違えちゃったの?」

私が返事をしようとしたその瞬間、景司が代わりに答えた。声は淡々として軽く、感情の色をほとんど含まない。

「穂乃花の記憶力はとてもいいんだ。何年か前に春川ワイナリーに一緒にワインを預けたんだが、去年、彼女が忘れないようにと教えてくれたから」

私は笑顔で頷き、相槌を打った。この話題はこれで終わりだと思った。

しかし夜、風間家での食事を済ませ、景司と二人で車に乗っていると、彼は長い間黙り込んでいた。道半ばで、私の方に向き直った。

「実は、俺たちは春川ワイナリーにワインを預けたことなんて一度もない」

私ははっとした。景司が先ほど私を試していたこと、そして今、真相
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