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第29話

Auteur: チョウドイイ
稔として旅立つ前、彼女はまだ穂乃花だった。俺の穂乃花だった。景司はカレンダーを見つめ、穂乃花がこの世界を去るまで、あと五日しかないことに気づいた。

景司はひどい別れの苦痛に直面しながらも、とんでもない決断を下した。残りわずかな時間を、できる限り穂乃花と一緒に過ごすことだった。

……

翌朝、まだ空が白む前に、景司は神崎家のインターホンを鳴らした。もうすぐ家族になるとはいえ、来る者は客。神崎家の面々は、景司の来訪で眠りから目を覚ました。

清貴は何か急用だと思い、あくびをしながら尋ねると、景司はただ休暇を取ったから穂乃花を遊びに連れて行きたい、と言うだけだった。神崎家の誰もが、信じられないという顔をしていた。

私も景司が冗談を言っているのだと思った。

「あと五日で結婚するのに、こんな時に遊びに行くって?」

「ああ、まさに今だよ」景司はきっぱりと言った。

私はしばらく彼をじっと見つめた。すると景司が尋常ではないほど真剣で、どこか執着しているように見え、私に荷造りを急かす。まるで私が一秒たりとも無駄にするのが許せないと言わんばかりだった。

いつもきっちりしている彼が、こんな突拍
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