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深秋に散るアイリス
深秋に散るアイリス
Author: ドラゴンライド

第1話

Author: ドラゴンライド
結婚してからの七年間、星野晴奈(ほしの はるな)はずっと、自分がとある女性の「身代わり」にすぎないことを自覚していた。

日向浩介(ひなた こうすけ)に抱かれるたび、涙ぼくろに何度も口づけされるたびに、その事実が鋭く胸に突き刺さる。

彼女は知っていた――あの女性の愛称が、自分の名前と同じ発音であることを。

そして、自分こそが、亡くなったあの女性を偲ぶために作り上げられた完璧な「模造品」であることも。

浩介には自分という身代わりがいれば十分だと彼女は思っていた。

けれど、彼はまるでコレクターのように、あの女性を彷彿とさせるすべてを集め続けていた。

その姿に、晴奈は心から落胆し、ついに彼のもとから去る覚悟を決めた。

ちょうどその頃、浩介が新進気鋭の女優・黒澤レナ(くろさわ れな)とともにホテルに入る姿が、パパラッチによって激写された。

写真は瞬く間に拡散され、スキャンダルとして一週間、エンタメの話題をさらい続けた。

晴奈は黙って一週間も待ち続けた。彼が戻ってきて、何か説明をくれることを。

たとえ一通のメッセージでも、ひとことでも構わなかった。

しかし――何もなかった。

あの騒動の初日から、彼は家に戻ることもなく、連絡すら寄こさなかった。

怒りも、無力さも、やがて深い諦めへと変わっていった。

彼女は最初から知っていたのだ。自分は拾われただけの、仮の存在に過ぎないと。

十一年も一緒に過ごしてきたが、偽物はどこまでいっても偽物だった。

浩介が望めば、彼女の幸福な幻想など、いつでも壊すことができた。

だからこそ、捨てられる前に、自ら去ることを選ぼう。

晴奈は、かつて住んでいた小さなアパートへ戻った。物が積み上がり、横向きでしか通れないような狭い空間。

懐かしくもあり、どこか他人の部屋のようにも感じた。

浩介と出会ってから、一度も戻ることのなかった場所。

十一年の間に、彼は家も車も与えてくれたが、彼女はそれに心を動かされなかった。

なぜなら、彼女は彼を心から愛していたから――物で満たされる愛ではなく。

今になって思えば、癒しを求めるなら、この場所しかなかった。

簡単に部屋を片づけ、彼女はそこに身を置いた。

十五日間の逃避生活。仕事に没頭し、心も視線も設計図とスケッチに集中させた。

けれど、夜になると、胸の奥から痛みが押し寄せてくる。息をするのも苦しくなり、気づけば涙がこぼれていた。

結局、すべては自分が悪い。

身代わりだと分かっていながら、どこかで期待してしまった自分がいた。

だから痛むのだ。

「おい、開けろ!」

突然、浩介の声が響き、晴奈は反射的に左耳の補聴器を外した。

体温が残る金属の感触がぎこちなく、晴奈はしばらく呆然としながら、自嘲気味に笑みをこぼした。

もう彼を愛さないと決めていたはずなのに――習慣はそう簡単に消えたりしない。

彼女は五年間、左耳の聴力を失ったことを浩介に隠してきた。

知られれば、「欠陥のある身代わり」だと見なされ、捨てられるかもしれないという恐れがあったから。

たとえ聞こえなくなったのは、浩介のせいだったとしても。

鉄製の古びた門が二度蹴られ、浩介の苛立った声が飛ぶ。

「晴奈、十五日間も行方不明だとはいったいどういうつもりだ?俺に探させるのはそんなに気分がいいか?さっさと出てこい!」

彼の怒声を聞きながら、晴奈は涙をぬぐい、静かに微笑んでドアを開けた。

「ごめんなさい、私……」

言い終わる前に、浩介の腕が彼女の身体を引き寄せた。

七年の間も愛し続けたその温もりが、彼の体から伝わってくる。

けれど、そこには知らない女の香水の匂いが混ざっていた。

晴奈は彼を押し返すと、不満げな視線を向けられた。

「これは何の茶番だ?」

彼が自分の考えなどに無関心であることなど、今さら驚くことではない。

けれど、自分は去る時、離婚届に署名し、テーブルに置いていったはずだ。

なのに、彼はそれを「茶番」だと思っている。

晴奈は深く息を吸い込んだ。

「テーブルの離婚届を見た?時間があったら手続きをしに行きましょ?」

浩介の眉が冷たく寄せられる。

「離婚届……?」

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